“アイ”色の制服
朝。
いつものように制服に袖を通す君。
けれど、今日はどこか浮足立っている。
「はあ…。大丈夫かなぁ?変じゃないかなぁ?」
そわそわとした様子で、鏡とにらめっこしている。
いつも以上に、髪型にも気合が入っているようだ。
「変じゃないよね?大丈夫だよね?は~…緊張してきた…!」
「なつみ~?時間大丈夫なの~?」
下の階から、お母さんの声が聞こえる。
「え!?もうそんな時間!?も、もう出るよー!」
バタバタとスクールバックを手に取り、そしてまた鏡の前でチェック。
「…よし!」
呼吸を整えて少し気合を入れた君は、足早に部屋を後にした。
「いってきま~す!」
「は~い、いってらっしゃーい。」
元気よくお母さんに声を掛けると、お母さんの穏やかな声が返ってきた。
その声を聞きながら、君は玄関を出る。
まだ少し暑さの残る風にふわりとスカートが揺れた。
心臓をドキドキと弾ませながら歩き、昨日約束した彼との待ち合わせ場所まで歩く。
そこには、もう彼がいた。
彼は君に気付くと、にこりと微笑んだ。
「おはよう。」
「お、おはよう!」
君の激しい鼓動が伝わってくる。
「きょ、今日の英語の予習してきた?なんか難しかったよね…!」
ドキドキして緊張しながら、彼に話しかける君。
そんな君に、彼は余裕な様子でにこやかに答える。
少しちぐはぐな二人の、初めて一緒に歩く通学路。
青い春真っただ中の君に、藍色の制服がとても似合っている。
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