「芝」と「言葉」と「台所」
「んー!今日は風が気持ちいいなぁー!」
大きく伸びをしながら相方が河川敷の芝生に仰向けになった。
「そうだなぁ。」
相槌を打ちながら隣に座って風の心地良さを感じる。
「最近さぁ、なーんか気が滅入ることばっかだったから、こんな風にのんびりできると落ち着くわ。」
「そうだなぁ。こないだ近所で殺人事件が起こるなんて物騒な話もあったしなぁ。」
「あー、居酒屋の店主が殺害されたって話だろ?行ったことない店でも近所だとビビるよなぁ。」
「犯人まだ捕まってないらしいしな。」
「まじか。早く捕まるといいな。」
そんな他愛のない話をしながら、心地いい風を感じていた。
「こないだ仕事関連で調べてて思ったんだけどさ、日本語って面白いよな。」
相方が仰向けになったまま唐突にそう話した。
「日本語が面白いか…例えば?」
「家の金銭のやり繰りを任されることを『台所を預かる』って言ったり、家計の事情を『台所事情』って言ったりすんじゃん。『台所』って言葉だけ聞くと飯を作る場所を連想するのに、家計に関する言葉になるって面白いよなと思ってさ。」
「確かにな。日本語ってそういう一見意味がわからないことわざとかあるよな。」
「そうそう。外国人にとっては日本語が難しいって言われるのも頷けるわ。」
「あー、『曜日』の『日』って漢字とかそうだよな。『にち』とか『ひ』とか色んな読み方あるからなぁ。」
風がさあっとふく。
「日本語使えてる俺たちすげえわ。」
「そうだな。」
そう言って顔を合わせて笑った。
相方は立ち上がるとまた伸びをして言った。
「さーて、休憩したところでそろそろ行くかー!」
「おう。」
休息の時間は終わり、俺たちはまた歩き出した。
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