第一章 新たな時代の幕開け
Episode4 繰り返される過ち
地球と宇宙を二分化した人類史上初の戦争は、双方が大きな痛手を負って停戦協定が締結された。大川元首相とイゴール議長の動きと死は重要な歴史の項目として記録されることになる。世界各国の現行政府が次々と消滅していく激しい戦闘の中、大川元首相が全世界、宇宙へ生中継した演説は多くの人類の心に刺さった。こうして新たな時代の戦いを経験した地球は新たな舵取りへ移行していくことが決まった。
2997年8月14日_____
「さて、ここまでが次の試験の範囲だからなー。登校日だからって気ぃ抜くなよー、しっかり覚えとけー」
そういえば今日は丁度2年戦争が終結した日だと先生が言うと、授業終了のチャイムが鳴りそのまま教室を後にした。高3の夏も終わりに近づき、進路に悩んでいた頃だった。帰り際、教員室や教室に先生、生徒が大勢群がっていた。自分も覗いて見ると皆、テレビやスマートフォン端末でニュース速報を観ているようだった。画面から聴こえてくるアナウンサーの声に耳を傾ける。
「2年戦争終結から50年の今日、地球防衛条約機構事務局長の会見が開かれることで注目が集まっています。」
画面が切り替わり会見会場の様子が映し出される。するとスーツ姿の関係者が着席して会見が始まった。
「50年前の停戦後に当機構が提唱した地球連邦政府ですが、このたび漸く施行される運びとなりました。これに伴い西暦から宇宙西暦(C.C.)となります。また、明日10:00より日本の東京にて式典を執り行いその模様は全世界に中継されます。。詳細は当機構ホームページでもご案内しています。」
いつの間に僕のスマートフォンを覗いていた世界史のエドワード・ウォーレン先生が「遂にこの時が来たか…」と呟く。僕がぽかんとしているとあれこれと説明をしてくれた。
「さっきの授業でもやったろう、やれやれ」
と言い苦笑いして先生は自席に戻っていった。
それから少し時間が経ち、夏休みが明けた。僕が通うのは日本にあるボーディングスクールだ。日本の技術や様々な能力は素晴らしいと昔から言われていることと、両親が日本の文化などが好きだからこちらで生活している。この学校で僕はパイロットを目指している。5年後に導入予定の地球連邦軍人型機体兵科のパイロット養成を目的に3年前に設置された。昔のアニメでいくつも題材にされたロボットに触発され、実際に開発しようと長年にわたり研究されてきたらしい。
入学時からベータ版、正規版と訓練も繰り返してきた。この後期には適性検査を含めた卒業試験に向けて準備していくことになる。
「進路決めた?俺やっぱりパイロットやめようかなーって考えてるんだよな。ウェインは?」
僕はパイロット一択だと答えた。周りの何人かは他にやりたいことが出来たり、戦争に行きたくないという思いが出てきたらしい。僕は、変わっていないだろうか。この先に戦争が待っていたとしても。
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