382.新暦0005年、新暦0006年


「以前にも言ったと思うけど、私の提案する方法は単純よ。陽滝を一気に星の・・『魔の毒に適応できる器』として――ああ、いまは『星の理を盗むもの』って言うのだったかしら? とにかく、それに完成させることよ。つまり、この世界の力を掻き集めて、《レベルアップ》させ続けるってことね」


 いつもの『呪術』を研究・練習をする塔に――いや、いまや城と呼べるほどに巨大となった建物に私たちは集まって、シス姉の話を聞く。


 いま大広間には、私と師匠とシス姉の三人がいる。


 その周囲には、今日までの研究成果を綴った本が大量に散乱していた。ディプラクラ様から治療を引き継ぐために、徹夜で読み切ったのだ。それらの情報を踏まえて、シス姉は力説を続ける。


「ディプラクラは何代も研究を重ねて、理想の『星の理を盗むもの』を一人だけ作るつもりだったようだけど……当時から、私は反対だったわ。だって、いつまでも私たちに十分な時間があるとは限らないのよ? いまの陽滝のように、何がどう悪化するのかわからない! なら、私たちは常に最短の道を選ぶべきだったのよ!」


 シス姉は純粋無垢な子供のような言動が目立つが、だからこそ物事の核心を突くことも多い。


 先を見通せるさかしさを持つと、まだ余裕があると先延ばしにしてしまいがちになる。いまの私やディプラクラ様のように。


「『星の理を盗むもの』になれば……いや、その過程で、陽滝は病全てを跳ね除ける身体を手に入れるはず。『全て』を得るということは、そういうことなのだから」


 そして、狡賢い私やディプラクラ様と違って、シス姉は隠し事ができない。


 その言葉の裏にある別の目的を、誰でも簡単に読み取れてしまう。隣にいる師匠の目が険しくなっていくのを見て、話が拗れる前に私は聞く。


「シス姉、質問……。それって陽滝姉に、この世界の『全て』を背負わせるように聞こえるんだけど……」

「ええ、そうね。そうなって欲しいって私は思ってるし、そのときは勧めるわ。……でも、強制はしない。魔力を集める途中で病が治れば、その時点で《レベルアップ》を止めていい。もし、何かの拍子で『星の理を盗むもの』になったとしても、絶対に主の代わりになれとも言わない」


 シス姉の性格ならば「その通りよ! 病が治った上に、世界のための礎にもなれるなんて万々歳じゃない!」と即答すると思ったが、違った。


 とても優しげに目を伏せて、静かに首を振った。

 その仕草には陽滝姉への友愛が、確かに感じ取れた。

 隣にいる師匠なんて目を見開いて、心底驚いている。


本当ほんとに? シス姉って、世界のことになると滅茶苦茶言うからなー。陽滝姉が『星の理を盗むもの』になったら、他になれるやつがいないんだから世界のために犠牲になれーとか言いそう」

「……他になれるやつがいない? それは違うわ、ティアラ! 『星の理を盗むもの』は何人いても困らないわ! きっと主も、たくさんの中から選べたほうが喜ぶに決まってるのだから! ふふふっ」

「えっ、『星の理を盗むもの』って、何人も作れるものなの……?」


 そう簡単に、ぽんぽんと世界を支配するような存在が生まれるのだろうか。

 『星の理を盗むもの』は世界に一人だけというイメージがあったのだが、専門家である使徒は違ったらしい。


「最終的に『全て』を背負うのは一人でしょうね。でも、候補を作るだけなら、いくらでも可能と思わない? だって、十分過ぎる魔力が、この世界には満ちているもの!」


 絶望ばかりの暗雲の世界を生きながらも、シス姉だけは希望を見て生きていた。


 その前向きな思考は、私や師匠にはないものだろう。人として足りない部分が彼女は多いかもしれないが、代わりに私たちにないものをたくさん持っている。


「私は盟友とティアラも、いつか『星の理を盗むもの』になれると思ってるわ。だから、もし陽滝を犠牲にしたくないのなら、どちらかが『代わり』になればいいんじゃないかしら?」


 その希望の果てに、ここに並ぶ師匠と私も候補であると宣言した。

 それは簡単には信じられなかったが、シス姉は私たちの手を一つずつ取って、励ましていく。


「あなたたちは本当に特別よ。だって、私が選んだ最高の友だ――じゃなくてっ、最高の盟友と『聖人』だもの! あなたたちが本気になれば、不可能なことはないって……。そう、信じてる!」


 その真っ直ぐ過ぎる好意を寄せられて、私と師匠の顔が赤くなる。

 彼女には裏表がない。

 たったそれだけのことで――


「だから、あなたたちも私を信じて。陽滝は絶対に治る。この私が常に、傍で状態を確認する。おかしなことにならないように、この使徒シスが全力で――」


 私たちの心を動かしていく。

 まだ不安と迷いは振り切れていないけれど、ゆっくりと師匠は頷いた。


「シス、信じるよ……。おまえなりに、僕や陽滝のことを考えてくれてるって、いまの説明でわかった」

「べ、別に! そんなことないわ! いつだって私は世界と主が最優先! 盟友と喧嘩したからって、ちょっと優しくしたほうがいいなんて、ちっとも思ってないわ!!」


 どうやら、今日までの師匠との口論が影響して、今回のシス姉の有情な処置があるようだ。

 その素直過ぎる成長と性根から、彼女の本当の年齢――十歳と少し程度であることを思い出す。


 師匠も同様の感想を抱いたようで、微笑ましそうにシス姉の言葉に頷く。


「ああ、そうだな……。今回はおまえが正しいって、僕は心底思う。悠長だったのは僕たちで……。掲げる目標は、おまえくらい高くないと駄目だったんだ……」

「私も信じるよ。師匠と私って、慎重すぎるところがあるからねー。シス姉と一緒にいるのが、丁度いい気がしてきた」


 いつも通り、私は師匠に同調した。

 その二つの返答を聞いたシス姉は、少し涙ぐみながら笑う。


「とーぜんよ! 最初から、この私に任せておけばよかったのよ! 気づくのが遅かったようね!!」


 これが使徒シスの計画の始まりの瞬間だった。


 計画内容は単純。

 病の原因の解明ではなく、陽滝姉の身体の強化を行い続けるだけ。


 それは余りに強引で乱雑だったが、師匠に正しいと思わせるには十分な計画だった。

 なにせ、師匠の根本には、陽滝姉への絶対の信頼がある。他人が余計なことをするよりも、妹自身に全ての力を委ねてしまったほうがいいと思っている。


 この計画に反対なのは私だけだった。

 直接的な害が私にあるわけではないが、ライバルである陽滝姉の強化を行うというのは不安しかない。しかし、ここで反対してしまえば〝魔力を集める旅に反対したティアラを除いた仲間たちだけで、新たな『冒険』が始まる〟という未来になってしまうとわかっていた。


 私の目の届かないところで、師匠の『冒険』が進む。

 それは私にとって、大好きな本を取り上げられるに匹敵する敗北だ。

 さらに言えば、強化される陽滝姉から目を離したくないという理由もあった。


 私が反対を口にできないまま、話が決まってしまったところで、師匠は陽滝を呼んで来ると大広間から出て行った。


 その後ろを、私はついていかない。

 私は慎重に、残されたシス姉を遠くから見つめる。


「――ふ、ふふっ。そうよ、ディプラクラと私は違う……。最初から、私が正しかった。ディプラクラじゃなくて、このシスが。なのに、みんな臆病で卑怯なディプラクラばかり褒めて……。本当は私のほうが正しかったのに――」


 陽滝姉だけじゃなく、シス姉からも目を離せない。

 私という駒は、どうしてもみんなから離れては動けなかったのだ。


 ――そして、この日を境に、急速にシス姉の計画は進んでいく。


 まず、いつもの各地で病で苦しむ人たちを救う作業を、呪術《レベルアップ》ではなく魔力を吸う石によって行った。その魔力を溜めた石を何度も、陽滝姉の病室まで運んで、肉体強化を意識した《レベルアップ》を繰り返す。


 その成果は、すぐに出た。

 たった一ヶ月程度で、陽滝姉の病状は快方に向かっていった。

 あれほどディプラクラ様が梃子摺っていた病を、シス姉の考えた単純な計画が解決してしまった。


 その驚くほど好調な結果に、師匠は感動していた。

 陽滝姉が再び動けるようになった日、師匠はベッドに座った妹に抱きついて、薄らと涙を流す。


「――よかった! これで間違ってなかったんだ……! ああっ、陽滝……!!」

「すみません、兄さん。また心配をかけました……。本当に弱い妹で、すみません」


 そのとき、師匠の腕の中にいる陽滝姉の視線が、こちらに向いた。咄嗟に私は身構えかけたが、続く言葉に緊張を解いていく。


「シスもティアラも……、本当にありがとう……」


 この一ヶ月ほど、魔力集めに協力していた私たちに頭が下げられる。それには、すかさずシス姉が胸を張って答える。


「ええ、とーぜんよ! まだまだ陽滝にはやってもらいたいことがたくさんあるのだから、こんなところで死ぬなんて私が絶対に許さないわ!」

「え、あ、うん。私と陽滝姉の間柄だからね。このくらいは当然当然!」


 と私も続きながら、陽滝姉の表情を窺い続ける。


 正直なところ、今回の病の悪化は、私を追い詰めて殺すための布石だと思っていた。

 この計画の最中に何かしらの大事故が起きて、私は過去最悪の窮地に陥るような気がしていたのだが……陽滝姉が「片手間ではない本当の最終章の始まり」と口にしてから、もう丸二年経っている。


 もしかして、本当に陽滝姉は病だったのだろうか?

 あの強気な台詞は、全部時間稼ぎのハッタリ?


 そんな考えが浮かぶほどに、いまの私は順調だった。


 ずっと私につきまとい続けていた『呪い』だが、もう私は臓器に穴が空いて死ねるほど弱くはない。

 亡きヘルミナさんから受け継いだ『血の力』は、数値で言うところの2.00まで鍛えられて、致命傷だって修復できるようになっている。


 それを行うための魔力だって潤沢だ。


 私自身が成長したというのもあるが、なによりも『ルフ・ブリンガー』に大量の魔力を私は隠し持っているのが大きい。

 これを腰に佩いてから、ずっと私は事あるごとに、色んなところから魔力を横取りしていた。今回の魔力集めの旅でも、きっちりと陽滝姉が強くなる分以上の魔力を掠め取っている。


 ――つまり、いくら『呪い』が私を殺そうと頑張っても、私を事故死させる存在自体が少なくなってきている状況だ。


 これが順調でなければ、何が順調だと言うのだろう。

 逃げながら成長していくという作戦は大当たり。

 あの恐ろしい『呪い』を些事扱いにできて、『理を盗むもの』たちにも負けない魔力が溜まっている。


 その順調な展開に、自然と私の不安は薄まっていく。

 そして、陽滝姉が動けるようになってから数日後、いつもの大広間にて師匠とシス姉は今後について話す。


「――うんうん。なかなか、元気になってきたわね。陽滝の《魔力変換レベルアップ》は順調みたいね。盟友」

「いや、まだだ。まだまだ完璧じゃない。足りないんだ」


 順調という言葉に対して、師匠は首を振った。

 いまの陽滝姉は、悪化した分を帳消しにしただけで、完治とは言えない。

 一度、油断で妹を苦しめてしまった師匠は、同じ事を繰り返すまいと意志を固める。


 シス姉の当初の方針通りに、悠長とせずに次へ次へ、二人は進んでいくことになる。


「……わかってるわ」

「シス、北へ行こう。もっともっと集めないといけない」


 南の国々は師匠と私が救済して回ったために、集められる魔力が少ない。

 なので、次の目的地は、北の地に決まった。


 ――こうして、スキル『読書』で見たとおりに、陽滝姉を連れての四人旅が始まる。


 この最後の『冒険』が私の人生の絶頂期だったと、後になって私は思っている。


 なにせ、この年まで来ると、もう私に敵う人間はそうそういない。

 ずっと陽滝姉を目標にしてきたせいで、私は強くなり過ぎていた。腰に佩いてある『ルフ・ブリンガー』を使えば、各地の『理を盗むもの』たちにも勝てただろう。


 陽滝姉とは水面下で師匠の押し付け合いをしているとはいえ、ここまでくると慣れたもので――むしろ、その刺激スパイスのおかげで、一層と『冒険』が楽しくなったと思った。


 ちょっとした危険の中、見たことのない広い世界を、大好きな仲間たちと一緒に、最高の『冒険』していくなんて――


〝――新暦五年〟


 この年の『冒険』は、過去最高だった。


 各地で人々を救う師匠とシス姉を、後方で陽滝姉と一緒に眺めては「流石、師匠ー」「まったく兄さんは……」と言い合う。

 それは一つの本の感想を言い合っているかのようで、二人旅ではなかった楽しさだった。


 そして、その冒険の果てに、私たちは『北連盟』の最奥であるヴィアイシア国まで辿りつく。

 そこで初めて『風の理を盗むもの』を遠目に見ることができた。


 『狂王』という噂以上に荘厳で高貴な女性だったが、どこか心に皹が入っているのは間違いなかった。

 それを師匠は心配していたが、結局は安全を考慮して手を引いてくれた。


 もし師匠が一人で北に来ていれば、間違いなく敵地のど真ん中だというのに彼女を助けようとしていただろう。

 しかし、師匠の操縦コントロールのプロである私と陽滝姉がいたおかげで、北の『冒険』の終わりは、とても穏便な結末で閉じられていく。


〝北に向かったカナミ一行は、道中で病で苦しむ人々がいれば『魔人』だろうとも差別なく救済していった。ひっそりとカナミたちは『冒険』していたつもりだったが、少しずつ『呪術』の生みの親である『始祖カナミ』の名が、北の地でも広まり始める。北の『救世主』は『統べる王ロード』だったかもしれないが、国々の垣根を越えた『救世主』と言えば『始祖カナミ』であると、世界で噂され始めていく――〟


 その旅が終わったとき、私たちは当初の目的を完全に達成していた。


 魔力を集めに集めて、陽滝姉は誰よりもレベルが高くなっていた。

 それはつまり、誰よりも丈夫な身体を手に入れたということでもある。


 ずっと陽滝姉を苛んでいた病の症状が、もう微かにしか残っていないと思える頃には、無事フーズヤーズまで私たちは帰還できていた。


 計画は順調どころか、完璧。

 私の戦いも順調どころか、完璧と言えるほどに前進していた。


 こっそりと『ルフ・ブリンガー』に溜め続けた力は、もはや測るのが末恐ろしいほどの量だ。その潤沢な魔力による抵抗力は、陽滝姉の『糸』全てを逆に引きずり回すほどの出力がある。


 ここまで来れば、もう陽滝姉と肩を並べるに十分と私は思った。

 まだ例の『冒険』後の答え合わせを行ってはいないが、もう十中八九は例の『決闘』は私の勝ちだ。


〝結局、相川渦波の『呪い』は相川陽滝の思惑を超えて、誰一人死ぬことはなかった。誰よりも強くなったティアラ・フーズヤーズが背負い続けることで、『次元の理を盗むもの』の『呪い』の問題は決着した。そして、その私の姿を見た陽滝姉は、とうとう『対等』であることを認める。こうして、病を乗り越えた相川陽滝、『呪い』を乗り越えた私、そこに師匠を加えた三人の『冒険』は、どこまで続いていく――〟


 そんな『最後の頁』を、スキル『読書』が捉えかけたとき――

 あの事件は起きる。


〝――新暦六年〟


 新しい年に入ったばかりのある雨の日のことだった。


 その夜に、陽滝姉が境界を越えてしまった。

 それは『人』と『化け物』を区切る線。

 数値にすれば、陽滝姉のレベルが30となった瞬間。

 『決闘』の勝利間近で油断していた私は、それに気づくのが遅れた。


「――――ッ!?」


 就寝中に異常な魔力の波動を感じた私は、飛び起きる。

 そして、すぐさまフーズヤーズの城を駆け回った。師匠の『次元の力』を借りようとしたけれど、寝室には誰もいない。続いて、陽滝姉の部屋に向かったけれど、ここも空っぽ。


「……え?」


 薄まっていた不安が、ここに来て最大に膨らむのを感じた。

 私の体は『糸』に引っ張られるよりも先に動いていた。


 嫌な予感のままに走って、いつもみんなで『呪術』を練習している大広間までやってきた。

 そこに辿りついたときには、もう全てが終わっていた。


 シス姉と師匠が険しい表情で向かい合っている。

 二人の諍いは、ここで何度か見たことのある光景だ。


 しかし、今日まで繰り返してきた喧嘩とは比べられないほどに、この日の空気は凍りついていた。


 いままでと違うと決定付けるのは、師匠が抱えている一匹の『化け物』。

 それは人型の『魔人』に近くはあるが、決して同じものではない。まず皮膚が真っ黒に染まり、竜のような鱗が生え並んでいる。手足の指の数も、人間とは違う。その『化け物』の体は『氷の力』によって霜が張り付いていて、胸に剣が突き刺さっていた。

 そこまで確認したとき、その『化け物』が相川陽滝であると私はわかってしまう。


 陽滝姉の死体を抱きかかえた師匠が、手に剣を握って叫ぶ。


「――あ、あぁあアア!! よくもっ、よくも騙してくれたな!! シス!!」


 その光景を前にした私は、呆然とする。


「え……?」


 な、なんだ……?

 この結末は……?


 そして、私のスキル『読書』は――このとき、この状況を私に説明するためにあったかのように働く。


〝魔力を変換し過ぎてしまった相川陽滝は、とうとう境界を越えてしまった。『人』から『化け物』となった相川陽滝は、その精神さえも歪ませていく。皹に入った器が、満たされた水の重さによって砕けたかのように、何もかもが壊れてしまった。全てを悟った相川陽滝は、その『氷の力』を全て解放させて、自分自身を凍らせる。たとえ『化け物』となってしまっても、『人』として死にたいと兄である相川渦波に願い――その心臓を貫かれる〟


 陽滝姉が『化け物』になった……?

 心臓を貫かれるって、死んじゃったってこと……?


 いや、死んではいない。それだけはない。

 死んでいれば、こんなにも例の『糸』が渦巻いていない。

 理由はわからないが、あの状態でも陽滝姉は生きている。


 だが、そう判断できるのは――いま、私しかいない。


「――――ッ!!」


 そこまで思い至ったとき、久しく感じていなかった悪寒が背筋に走る。


 急いで私は振り返った。

 例の『呪い』の取立人――『切れ目』を注視する。


 『切れ目』の奥に潜む意志は、私以上に困惑していた。

 なにせ、やっと『呪い』に相応しい少女が一人死んだというのに、全く『相川渦波の想い人の死』という『代償』が支払われている気配がない。

 その様子を見て、背筋を這う悪寒が膨らむ。


 ――不味い。


 人の気持ちすらわからないと馬鹿にされていた世界それが、果たして『何を以って人は生きているのか?』という哲学的な答えを持っているだろうか。

 間違いなく、世界それは人の生を『生物としての生』のみでしか捉えていない。

 ならば、心臓のない陽滝姉からは『代償』を取り立てられないと判断した世界が、次に狙いをつけるとすれば、私しかいない――?


「陽滝姉っ……!!」


 このとき、私は陽滝姉の狙いを理解する。


 今日まで私が『呪い』から逃れてきた大前提として、私と陽滝姉と二人で『代償』を分け合っていたからという理由がある。

 その積み木にも似たバランスが、いま完全に崩れてしまった。


 迷いに迷っていた『切れ目』の視線が、ゆっくりと私に向く。

 それは本能的に獣が最も近い獲物に食らいつくのに似ていた。私にしか見えない『切れ目』が、目を見開くかのように大きくなっていく。私を呑みこもうとするかのように、どこまでもどこまでも大きく――


「はぁっ、はぁっ、はぁっ――!!」


 途端に息が切れ始めた。

 急激な体調の悪化も感じる。


 かつてない『呪い』が全身に圧しかかっている。

 咄嗟に腰の『ルフ・ブリンガー』から力を抜き取って、それに抵抗しようとした。だが、つきまとう異常な脱力感は全く拭えない。


 五年前と比べると私は成長した。

 しかし、それ以上に『呪い』も肥大化していた。


 あのとき、『闇の理を盗むもの』ティーダは『呪い』を金銭で喩えた。

 それに釣られた私は、「利子」という言葉が頭に浮かぶ。


 支払いを後回しにしてきてせいで膨らんだ上乗せ分が足されて、いま要求されてしまっている。

 それも陽滝姉と分け合うのではなく、私一人だけの支払いで――


 不味い。

 不味い不味い不味い――!


 間違いなく、これが『決闘』に勝つための最適解だ。

 死を押し付けあう『決闘』ならば、相手が死ぬまで――自分が生きるのを・・・・・・・・止めればいい・・・・・・

 それも強くなった相手を確実に殺せるほどの利子を溜めて、「順調だ」と油断した隙をついて、一気に――!!


 そんな単純にて明快な必勝法を、陽滝姉は実行した。

 普通、やるか?

 ああ、陽滝姉ならやる。

 そう自分で即答したところで、急ぎ私はスキル『読書』に未来予測をさせていく。

 もう選り好みや制御などしている余裕などない。とても乱雑に、とにかく先の展開を読み取る。


「な、なにこれ……!」


 まず北と南で大戦争が始まってしまうのが見えた。


 いままでのような国の境界線を押し合う戦いではない。

 国の利益や打算を全て捨てた『人』と『魔人』の生存競争だ。何よりも問題なのは、その戦いの中心に〝過去も未来も全て捨てた『始祖カナミ』が、『化け物』として立っている〟という光景だった。


 否定はできない。

 その未来を裏付けるかのように、いま目の前で師匠は声を荒らげ続けている。


「治るって言ったじゃないか! 信じてたのに! おまえの言うことを陽滝は信じてたのに!!」

「理論上はそうだったわ! 私も治すつもりだった! けど、いつも何もかも上手くいくなんて限らない! 試さなければわからなかったことだったの!!」


 妹を失った相川渦波は、六年前のロミス戦のときのように、心が崩れ切っていた。

 シス姉は最愛の異性から向けられる殺意に耐え切れず、いまにも泣きそうだ。


「盟友、私のことも解って! 私のことを理解して! そう、少しだけ歩み寄れば、誰だって解り合える――」

「ああ、おまえのことはわかってる! 目的のためなら手段を選ばないやつだってことはわかってるさ! わかってる上で言ってるんだ!!」


 このままだと師匠は、この世界の全てを恨む。その下地が完成する。

 自分の妹の後を追うかのように師匠は、死した陽滝姉から漏れる魔力を吸い取り、《レベルアップ》で自分の力に換えていく。


「おまえは僕たちを利用したんだ! 陽滝を実験に使いやがったんだ! 絶対に許せるものか!!」


 とうとう師匠は、握った剣の先をシス姉に向けた。

 その瞬間、とても弱々しくて小さな声が漏れる。


「ぁ、あぅ、ぁ……、違――」


 その彼女の声は、激昂した師匠まで届いてはいないだろう。

 涙を滲ませたシス姉は『呪術』を構築しながら、一言呟く。


「……なんで解ってくれないの?」


 それを最後に、シス姉は有事にしか使わない光の翼を広げた。

 対話を諦めた彼女は、急いで大広間の窓に向かって駆け出す。


 師匠は光に目を眩ませながらも、そのあとを追おうとする。


「逃がすか!」

「師匠、待って! このままだと師匠も自分を見失う! それ以上、変換を続ければ、師匠の身体も同じになっちゃう!」


 すかさず、私は止めた。

 シス姉しか見えていなかった師匠の服の裾を掴み、必死に首を振る。


 だが、その私の声を聞いた師匠は荒れる。


「それがどうした! うるさいんだよ、ティアラ! おまえに何がわかる! おまえには関係ないだろう!!」


 初めて聞く師匠の敵意の混じった言葉に、ずきりと胸の奥が痛んだ。


 私もシス姉と同じように涙が出かけた。しかし、それは決して師匠の本音ではないと、今日まで『冒険』を共にしてきたからこそ、私には確信できている。


「か、関係なくなんかない! 私だって一緒に作った! 私は師匠の一番弟子だから――!!」

「は、はははっ、そうだなっ、おまえと一緒に作ったんだ! ははははっ!! 何が《レベルアップ》だ! 『ステータス』だ! とんだお笑い種だ! おまえたちに唆されて『呪術』を作って、最後はコレだ! こんな結末だ! まるで馬鹿みたいだ! 全部、おまえたちの思い通りっ、手のひらの上のことだったんだ! やっぱり、『呪術』は『呪術』、『呪い』は『呪い』だったんだ!」


 同時に、いま誰よりも悲しいのは師匠ということもわかっていた。

 なまじ相川兄妹の事情を知っているからこそ、私の痛み以上に師匠の痛みが深刻だとわかる。


 ――いま師匠は、この世界で見つけた『自分』というものを失いかけている。


 このままだと、いつかと同じように、師匠が壊れる。


「けどっ、師匠の考えた『変換』の術式のおかげで、多くの人が救われた! 師匠は英雄になった――いや、世界の『救世主』になったんだよ!? あれは『呪い』なんかじゃない! もっと神聖なものだって私は信じてる!!」

「ははっ、『救世主』? 神聖? ああ、そうだな、僕は『救世主』だ! 全部っ、使徒のやつの思惑通りにな! これで空に溜まった魔力を一箇所に集められるな! よかったな! これで世界を救えるな! はははっ! !? それで・・・!? それでどうなる・・・・・・・!? ああ、よかったよかった! 本当に良かったな、おまえらはな・・・・・・! 僕はよくない!! この世界が助かって、で、僕は何を得る!? 陽滝の病気が治るって聞いて、僕はここまでやってきたんだぞ! 自分を殺して他人を殺して、やりたくないことに手を染めて、ここまできたんだ! その報酬がこれだ! 助けたくもないものを助けて、助けたいものを助けられなかった!! ふざけるなっ、ふざけるなよ!!」


 師匠の仮面の下から、ぼろぼろと涙が零れ落ち始めた。

 その奥にある表情を想像するだけで、私の胸の奥にある熱が増す。


 ――ああ、熱い・・


 ファニアで師匠に告白したときと同じ想いが、溢れ出す。

 それは冷たい文字では表現できない本物の感情だ。


 その感情が、師匠の涙を止めてあげたいと訴えていた。

 スキル『読書』を暴走させて、未来が読み取られていく。


〝――ここから先は、ただ狂った男が復讐する話。『理を盗むもの』たちを騙し殺して回り、魔力によって誰よりも強くなった男は、妹と同じ『化け物』に成り果てる。徐々に失われていく意識の中、男が見たのは世界の敵を屠るために集まった英雄たちの姿だった。そこに、かつて『冒険』を共にした少女ティアラの姿はない――〟


 その英雄たちを殺して、理性を失った師匠は世界全ての魔力を食らい尽くすだろう。


 それは陽滝姉から聞いた『師匠を強くする』という目的から外れてはいない。

 もし生物が死滅したあとに陽滝姉だけが蘇って、師匠を正気に戻せる方法があるのならば、これは最善過ぎる一手だ。


 確かに、最善の一手――だけれど、本当にこれでいいのか……?

 師匠が壊れて直って、壊れて直って……、こんなにも悲しんで、苦しんで、泣いて……、そんなやり方で陽滝姉は平気なのか?


 私は平気じゃない。

 陽滝姉と違って、そんな師匠は見たくない。


 最初の『冒険』で誓った。

 好きな人の笑顔が見たい。

 好きな人を幸せにしてあげたい。

 もし師匠が『みんな一緒に』なんて甘い夢を抱いていたならば、それを全力で叶えてあげたいと――!


「〝師匠、待ってて……〟」


 だから、演技をする。


 スキル『読書』で次の頁を読むのではなく、いまの頁に即興で――書き足していく。

 熱い・・感情が、そのままスキルの数値に加わっていくのを感じた。


 名付けるとすれば、それはスキル『執筆』だろうか。

 陽滝姉が書いた冷たい作品の上を、私の文字の羅列が上書きしていく。


「……待つ? 何を?」


 私は私の全ての本の知識を総動員させて、この主人公を引き止めるためのティアラ・フーズヤーズを書き記していく。


「〝これから私が全部を変えてみせるから……。私が『理』の全てを解明して、新しい魔力の法を作るから……。一緒に目指した誰もが幸せになれる『魔法』は私が作る……。だから、もう少しだけ待って……。きっと陽滝姉も――〟」


 それを聞いた師匠は、見るからに動揺した。根っこにある優しさのせいで、涙目で献身的に訴えかける少女の手を払い除けられないのだ。


「〝――私が師匠を一人にしない……、絶対……! 師匠が私を一人から救ってくれたように、私も師匠を救う……! 何年かけても、たとえ何千年かけても追いつくから……!!〟」

「っ! な、なんでおまえは――!」


 私の目論見どおり、師匠は反論できずに言葉を詰まらせた。

 そして、子供のように当り散らし始める。


「ああ、うるさい! うるさいうるさいうるさいうるさい――!」


 私との会話を嫌って、この場から逃げ出そうとした。

 そうはさせまいと私は、また師匠の服の裾を掴もうとして――硬直する。


 師匠の身体から立ち昇る死の香りが、私の身体を止めた。


 ――いま、ここで師匠に追い縋れば、確実に死ぬ。


 自暴自棄になっている師匠は、自分の力が制御できていない。

 あの『地の理を盗むもの』ローウェンと同じように、その過ぎたる力で誰かを殺める可能性が高い。


 いまも、後方で『切れ目』が私を見つめている。

 どんな些細なチャンスだろうと見逃さずに、私を殺そうとしている。


 私は止む無く、伸ばした手を戻し、玄関から出て行く師匠を見送った。


 そして、雨に打たれながら呟く師匠の呪詛が聞こえなくなった瞬間、大広間の上から鉄製の天井照明シャンデリアが落ちてきた。

 私は力の入らない身体を叱咤して、それを転ぶように避ける。


「――――っ! はぁっ、はぁっ、はぁっ……!!」


 鉄の質量が大広間の床を砕き、大量の蝋燭が散乱する。

 シャンデリアの部品を見回したところ、老朽した様子はない。

 何かの不運で、偶然にも弱った私の頭上に落ちたようだ。


 早速、利子の溜まった『呪い』の支払いをせっつかれている。

 六年前を思い出す。

 あのときと同じ気持ちで、また私は一歩踏み出していく。


「私は生き残る……! 生き残らないと、師匠を助けることもできないんだから……!!」


 師匠にはついていけないが、先ほどの会話で楔は入ったはずだ。

 これから先、師匠は何をするにしても私の〝待ってて〟という言葉に足を引っ張られ続けるだろう。


 ほんの僅かだとしても、私の見た未来から運命は変わるはずだ。


「いつか絶対に、私は『最後の頁』を見る……! 読むんだ……! 陽滝姉と師匠の二人に挟まれて、一緒に……!」


 たとえ、この世界が滅ぶとしても、私だけは生き残ってやる。

 今回は陽滝姉にしてやられた私だが、その初志だけは変えない。

 後方に振り返り、いつかと同じように『切れ目』を睨もうとした。

 だが、その途中で――



不可能だ・・・・。どれだけ待とうとも、『相川陽滝』の『最後の頁』は見ることなどできない。――あれに、そんなものは存在しない」



 聞き覚えのある若い声に遮られる。

 声と共に、大広間の暗がりから一人の少年が姿を現した。

 その姿と言葉に、私は心底驚く。


「なっ――!?」


 余りに思いがけない登場人物だった。

 私は腰の剣に手をやりながら、その少年の名を呼ぶ。


「レ、レガシィ様……? いらっしゃったのですか?」


 三人目の使徒が、この大広間に隠れ潜んでいた。


 しかし、どうして彼の存在に気づけなかったのがわからない。

 私だけならまだしも、さっきまで『次元の力』を持った師匠が「使徒は許さない」と息巻いていたのだ。

 師匠の《ディメンション》を掻い潜るには、同等の力がなければ不可能だ。


 その私の警戒と疑問をレガシィ様は無視して、自らの話を続ける。


「『理を盗むもの』は不老。その先にあるのは、おまえの老衰死だけだ」


 自分の言いたいことだけを喋る使徒相手に、私は最低限の礼儀を尽くしつつ答える。


「それは……、もう気づいています……。だとしても、終わりがないなんてことがありません。すべての物に、限りはあります」


 まだ師匠あたりは《レベルアップ》によって若々しさが保たれていると思っていそうだが、『理を盗むもの』が不老であることはわかっている。

 身長に過敏だった私は、最初の数年で全く成長しない陽滝姉の身体を確認している。


 だが、この死の危険の多い時代だと、不老だけでは大して価値はないだろう。その私の意見を、すぐさまレガシィ様は否定する。


「限りがない存在もある。『理を盗むもの』の中で陽滝だけは不老の上に、不滅だ」

「不滅? ……しかし、私は少し前に、不滅と噂される一族を根絶やしにしています。そのとき、不滅なんてものはないと強く実感しました」


 西の地で悪さをしていた吸血種たちは、不滅に近い生命力を持っていた。

 だが、攻略法は、いくらでもあった。

 それを例にして私は否定したが、すぐさま否定し直される。


「吸血種とは次元が違う」

「次元が違うと、言われましても……」


 私は一歩後退りながら、レガシィ様を注視する。

 明らかに様子が違ったからだ。

 纏う魔力の濃さだけでなく、その佇まいも言葉遣いも以前と違いすぎた。


「……ああ。ティアラ、悪かった。これは使徒レガシィの言葉じゃない。ただの伝言なんだ」


 その私の危惧をレガシィ様は察知して、悲しそうに口元だけ歪ませた。

 そして、より一層と自分の言いたいことだけを、叫び散らす。


「つまり、結局俺は俺を見つけられなかったってことだ。……笑えるだろ? ずっと俺には俺があると思っていた。おまえと一緒で、『作りもの』じゃないって思いたかった。……けど、違った。俺はただの保険だった。こうなってしまったときに、言葉を詰め込んで運ぶだけが俺の仕事だった! ああ、俺に俺なんて、最初からなかったんだ! は、ははっ――、ははははははははっ――!」


 とても苦しげにレガシィ様は大笑いした。

 その姿は、他の使徒たちと同じように、何者かに弄ばれているようにしか見えなかった。


 レガシィ様は存分に笑ったあと、顔を俯けてから呟く。


我が主・・・……。いま、指示通りに、ティアラ・フーズヤーズと接触しました。『取引』の準備もできています」


 その小さな身体に似合わない低い声で、誰かに語りかけた。

 同時に、その懐から一つの石を取り出す。


 腰の剣『ルフ・ブリンガー』を作った際に利用した鉱石と似ていると思った。ただ、私の知っている石とは、まるで純度が違うとわかる。


 その石は見惚れるほどに透き通っていて、中に刻まれた膨大な『術式』が異常に複雑でありながら、心臓のように活き活きと鼓動していた。


 まるで、人一人の命を閉じ込めたみたいだと思った瞬間――その石の中に閉じ込められていた『術式』が解放されて、大広間に広がっていく。

 たくさんの見えない筆が踊るかのように、床に文字が書き込まれる。それは文章でありながら、一つの絵画だった。円状に『術式』の密集した巨大な魔法陣が、目の前に完成する。


 さらに周囲の魔力が固まっていき、魔法陣の中心部に扉が一つ出来た。

 それは木造でも石造でもなく、魔造と呼ぶしかない重々しい紫色の扉・・・・だった。


 見たことのない『呪術』だ。

 私は身の安全を最優先しつつ、その扉の危険性を問う。


「レ、レガシィ様……!? これは一体……」

「主は、おまえに全てを伝えたがっている。その伝言のついでに、一度だけ世界の視線を完全に切るそうだ」

「世界の視線を、切る?」


 言っている意味がわからなかった。

 師匠と同じように自暴自棄となってしまったレガシィ様は、私の話を余りに聞かなさ過ぎる。


「主の『次元の力』ならば、そういうことができる。視線を切るのは、昔から得意らしい」

「いや、得意かどうかじゃなくて、『次元の力』は師匠のもので……。いやまずは、その主って人のことを、わかりやすく――」

「悪いが、これは伝言だ。――これから、おまえは簡易ながらも、異邦人召喚の『取引』を行う。それが、いま・・ならできる」


 私の質問が答えられることはなかった。それどころか、異邦人召喚という単語まで投げつけられて、私の混乱は最大に達した。


 ゆえに、その紫色の扉の隙間から漏れる冷気に気づくのが、少し遅れた。


「気をつけろ。向こう・・・は、昔、石の世界とでも呼ぶべき様相だったらしいが……」


 レガシィ様が口にする言葉の意味も私は呑みこめなかった。

 ただ、冷気を浴びて、背筋だけでなく全身を震わせる。


「――いまでは、もう氷の世界だ」


 冷気で凍りつきかけた紫色の扉が、軋んだ音をたてる。

 師匠と陽滝姉の生まれた異世界への道が、いま開かれていく。

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