第36話 インフェルノ大陸での狩り――2
といっても別に、3発撃ったら魔力が底をつくようなレベルの魔法を解禁するわけではないが。
流石にそのレベルは、さっきの魔物相手でも完全にオーバーキルだ。
……というか、速射竜閃光50発分以上の魔力消費の魔法なんか使ったら本末転倒だしな。
今俺が使おうと思ってるのは、術式こそ速射竜閃光とは比較にならないほど複雑だが竜の息吹2発分くらいの魔力消費で撃てる魔法だ。
まあその魔法を使うかどうかは……そもそもさっきの猿レベルの魔物がまだ他にいるかにもよるんだが。
などと考えつつ、さっきの猿の死体を収納する。
そして、次なる魔物を目指して移動を開始した。
奇しくも……次に見つけたのは、さっきと同じ、雲に乗った猿の魔物だった。
じゃ、いきますか。
術式を組むと……目の前で、全長4メートルほどの巨大なロケットランチャーが具現化された。
それを肩に担ぎ、照準を合わせ……そして、引き金を引く。
すると……ロケットランチャーから眩い光線が放たれ、視界は一瞬ホワイトアウトした。
あまりにも眩しくて何も見えないが、探知魔法から反応が消えたので、討伐できたのは確実だ。
流石のあの猿も、この射撃を避けきることはできなかったみたいだな。
引き金を引いてからやく三秒後……ロケットランチャーは、無数の光の粒子となって消えた。
まあこれは魔道具ではなくあくまで攻撃魔法のエフェクトだからな。
一度作ったら残るものではないのだ。
今俺が使った技は……「魔素加粒子砲」。
魔法で具現化した専用のランチャーから、光速以上に加速された高エネルギーの魔素の塊を射出する攻撃魔法だ。
光より速いのだから、引き金を引く瞬間を「見て避ける」ことは物理的に不可能。
引き金を引くタイミングを先読みでもされない限り、照準が合った瞬間に撃てば命中するのが、この攻撃魔法の大きな利点の一つである。
その上……威力は最低出力でも竜の息吹の100倍に上る。
消費魔力はたったの二倍なのにも拘わらず、だ。
それでも消費魔力がちょっと多いことに変わりはないし、何より雑魚相手だと魔石ごと蒸発させかねないので、普段使いは竜閃光の方にしているが。
速射竜閃光の乱射でいい勝負になる敵となると、やはりこっちの方が圧倒的に便利だな。
などと考えつつ、魔石を回収する。
要塞に五~六基くらい兵器を設置すると考えると……あと四体くらいは今の猿の魔物と同格の奴を倒しておきたいところだな。
◇
それからやく一時間半後。
俺はもう四体猿の魔物を倒し……目標としていた個数の魔石を集めることに成功した。
これで材料は揃ったので、正式に兵器の納品の方も契約することができるな。
などと考えつつ、アシュガーノ岬に戻るために竜化の術を使おうとする。
が……術式を組んでいる途中で。
突如俺は……こんな声を耳にしてしまった。
「そ、そこの方……はじめまして! あの、オラのこと舎弟にしてください!」
……ん?
一体何だ。
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