第6話 散り菊
「起きろよ。起きろよ。目を覚ませ」
目を開けると目の前に神楽君がいた。
「良かったー」
しかし、体はもう動かなかった。
「神楽君。今までありがとう。
私に最後、華を持たせてくれて。
線香花火のようになれたかな?
私は最後の最後まで
燃え続けたつもりだけど。
あの時、好きだって言ってくれたよね。
私もあの日考えたの。
そして、分かった。
私も神楽君のことが好きだ。
自分では気づいてなかったけど、
神楽君がいたから私がいる。
さようなら」
「お前の音は自分が一番感じたよ。
最高だったよ。もっと聞きたかった。
もっと2人でいたかったよ。
お願い。死なないでくれ。
あの日、死ぬって言われて俺は
どうしたらいいかわからなかった。
だから、
一旦現実から逃げる為に花火をした。
お前にあんな事言ったけど、
1番現実逃避をしてたのは俺だったんだ。
でも、元気を取り戻してくれて良かったよ。
今までありがとう。
また、天国で会おうね。
その時にまた、コンサートをしようね」
「ありがとう。さようなら」
私は静かに目を閉じていった。
私の線香花火は静かに落ちていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます