第7話

俺は森の中へと入っていく。

森の中は同じくらいの高さの木が視界に入るだけでも何十と生えていて木の枝と葉がすっぽりと蓋をしている。

そこを俺はりんごみたいな感じで木に実がなっていないか探す。


森を少し飛んでいると急に木がなくなった所に出た。

何もない空間というわけではなく、木が生えている代わりに川が流れている。


……昨日倒したスライムが川に打ち上げれている。飛べないやつらは川を渡るのも一苦労だろうが俺は飛べるので川なんて関係ない。


いや〜飛べるっていいね!









うーん。


俺は少し焦っていた。

もうかれこれ数分は飛んできのみを探しているのだが、時期がだめなのか全く見つからない。

それにずっと飛んでいて結構疲れた。

所詮はランクEの鳥、飛べると言っても体力がないから短い時間しか飛べないのかもしれない。

 

俺は一旦地面に降りる。


  はぁー


俺はかなり深くため息を付いた。

 

 いや、しょうがないでしょ。考えてみてほしい調達できる食料が虫しかなくなったときの気持ちを。

 嫌すぎてため息もつくだろ?

だが仕方ない、生きるか死ぬかだ、生きるためなら虫だって食うさ......嫌だけど。

 

 というわけで虫がいそうな場所を考えてみる。

 

 そういえば石をひっくり返したらダンゴムシとかがいたな。

 早速探してみよう。

 周りに俺がひっくり返せそうな石は......あった!

 

 俺はそこまで暗い気持ちで歩いていく。

 

 石の前まで来たら、これから虫を食べることを覚悟して石をひっくり返してみる。


そこには......何もいなかった。

 

いや、いないのかよ! さっきの覚悟は何だったんだ!

まあ一発で出るわけもないよな、他の石をひっくり返すか。


俺は覚悟を決めて石をひっくり返すというのを繰り返す。


 ちょうどこれで10個目というところで......


うんしょっと

おっ! いた。


石の下にいたのは、特徴は気持ちが悪いので言わないが一言でいうとカブトムシの幼虫みたいなやつだ。

鑑定によると種族名はワームというらしい。

さっきから全身をくねらせて逃げようとしているが、移動速度が遅すぎて逃げられていない。


さあ、食べるか。俺はできるだけ心を無にして食べる。

が、いい意味で予想外の出来事が起こる。


んぉ!?うまいぞ! 


まるで柔らかいエビを食べているみたいだ。


自分でも精神的にどうかと思うが、まだ食べたいという気持ちが出てきた。

 改めて人間じゃなくなっていることを実感して複雑な気分になるが、俺はまた食べ物を探し始めた。









ふうー食った食った!満腹だ!


うーんお腹いっぱいになったら眠くなってきたな。

前のように木の下で堂々と寝るわけにも行かないので寝床を探そう。

鳥の寝る場所といえば木の上だよな。


俺は再び空へと羽ばたき、いい感じの木を探す。


 




 1分ほど飛んだら、身を隠すのにちょうど良いたくさんの葉が茂った木を見つけた。

その木に近づき、割と高いところにある枝の根元に身を寄せる。すると妙に安心感を感じた。

 

あぁ疲れた。

 

 思い返せば転生してからずっと気を張り詰めていた気がする。そのため肉体的な面だけでなく、精神的な面でも疲れていたのだろう。気を抜いた途端に眠気が襲ってくる。

 

 おやすみ......ZZZ......

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