第3話
孵化まで
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ピキ パキパキ
カウントがゼロになった瞬間自分の頭がなにかを突き破るようなかんじがしてくる。
無我夢中で体を動かして、卵のからを割っていく。体の半分が出たというところで卵が傾き、それと同時に俺は卵からすぽっと出た。
自分の体液でベトベトかと思ったが不思議なことに、そのような感じはない。
無事に孵化できたようだ。
そして特に意識せずに目を開けると、
「ピピィ!?」( 眩し! )
視界が白で埋め尽くされた。
……十秒ほど悶えていたがだんだんと周りが見えてきた。
あーびっくりしたー。
まだちょっとチカチカするなぁ。
あ、そうだここはどうなってるんだ?
周りの状況を把握するために首をぐるぐるする。
……どうやら俺は森と草原の境目にいたようだ。
一見地球と変わらない感じもするがよくみると違うところがたくさんある。
例えば昼ではあるが空には月のようなものが3つあったり、植物の色や形がおかしかったりする。
俺は改めて異世界に転生したことを実感した。
次に自分の近くはどうなっているのか観察する。
……卵の殻が木の幹の下に隠すように置いてあるが、周りには巣があることもなく、親鳥がいたような感じもなかった。
はい、前世と同じくぼっちです。 はぁ……
変なところで落ち込みつつ先のことを考える。
その前にさっきから視界に入っていた卵のからを食べたい。
いや、突然どうしたと思うかもしれないけどなぜかあの殻が美味しそうに見えて仕方がないのだ。
例えるなら腹が減っているときに肉を焼く映像を見せられてるような感じだ。
人間、いや、元人間として抵抗があるが俺は一口かじってみる。
パキ
うまっ!
ちょっと固いバター味のクッキーみたいな感じだ。
パキッ ボリボリ パキパキ バキッ ごっくん
〜お食事中〜
ふぅ 食った食った。
自分で自分の行動にドン引きしながら殻を食べていたがすげえ美味かった。
もっと食べたいな。もうないけど。
よし、ひと段落したからステータスを見てみよう。
ステータスオープン!
個体名 : 未定
種族:ベビーバード
年齢: 0歳
Lv : 3/5
HP : 8/8
MP : 8/8
攻撃: 9
防御: 6
俊敏: 5
スキル: 言語理解、鑑定、成長、魔力感知、魔力操作Lv.極、精密魔力操作Lv.1、飛行Lv.1、くちばしアタックLv.1
称号: 転生者、早すぎる者
おぉ、なんか増えてる! 鑑定してみよ。
鑑定!
ベビーバード〜産まれたての鳥の魔物。生態系最弱クラスだが、潜在能力はトップクラス。
攻撃〜攻撃力を表す数値。高ければ高いほど攻撃の威力が上がる
防御〜防御力を表す数値。数値が高ければ高いほど傷つきづらい。
俊敏〜スピードを表す数値。数値が高ければ高いほど素早い。
飛行Lv.1〜空を飛ぶとき、飛行能力に補正がかかる。レベルが上がるほど補正がかかる
くちばしアタックLv.1〜くちばしを対象に突き刺す。レベルが上がるほど威力が上がる。
なるほど、まあ予想はしていたが、俺は生態系最弱クラスなようだ。ただ潜在能力が高いのは不幸中の幸いだな。レベルが上がっているのはからを食べたからかな?
スキルの効果は名前のまんまだな。……くちばしアタックという名前はカッコ悪い気もするけど。
ん?
ふと後ろに気配を感じて、振り返ってみる。
そこで目に写ったのは、自分と身長が同じぐらいののぺぇっとした綺麗な水色の何かが触手のようなものを俺に向かって伸ばしてきている光景だった。
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