さて日頃は何かといたらぬ私に、

 それからというもの、SNSを介してのやりとりは続いた。


「め、面倒い」


「死ぬのが?」


「違ぇよ。馬鹿」


 諦めてくんねえかなぁ~。


「この講座もどきに裂くエネルギーがあるなら、生きようと思えない?」


「あ?」


 しまった。踏み込みすぎたか。

 睨まれてしまった。


「……生きるには、あたしはあまりにも出来損ないだ」


 彼女のつぶやき。

 言葉尻にかけ小さくなる。弱音を聞かせまいと強がる彼女らしい。


「なぁ、何かゲームやってない?」


 提案。さぁ、どうか。


「やってるけど、何で?」


 まぁ、そうなるよな。


「いや、このパーティー系アプリゲームやりたいんだけど……生憎あいにくぼっちでな」


「うわ、何かゴメン……」


「ガチで引くなよ」


 可哀想なものを見る目をするんじゃ無いよ。


「まぁさ。やってみたいんだよ~」


「それ二人以上じゃないと、割とヤバいぞ」


「確かこれやってなかったか~?」


「……」


 正直にいうと、彼女のTwitterアカウントをフォローすると、特定のゲーム情報をリツイートしてるのを見てしまった。それが故のカマカケ。我ながら気持ち悪い。


「しゃー無いな……フレコ教えろよ」


「フレコ??」


「フレンドコード!!」


 そういえば彼女は誰とこのゲームをやっていたのだろう。





放課後。


「お」


彼女からゲームのチャット欄にメッセージ。


『妹もくる』


「フぁっ?!」


 余りにも急な出来事に変な声が出る。


『こんばんわ! よろしくです!』


 直後、妹さんと思われるアカウントもチャットに入ってくる。


『お姉ちゃんと仲良くしてくれてありがとうございます!』


『おい!』


 姉妹の微笑ましいやりとりに思わず笑みがこぼれる。


『私、学校に行けなくて。お姉ちゃんに迷惑掛けてばっかで』


 いくつかのチャットが流れた後で、妹さんからの一言。


『いいって』


 遮るように姉のチャットが続く。


『毎日、お姉ちゃんがこのゲームの相手してくれるんです。私、ゲームの中でもどんくさいけど。お姉ちゃんは上手いんですよ!』


 文面から、彼女らの絆が読み取れる。

 込み上げる感情を抑えきれずに、


『尊い』


 そうチャットに打ち込んだもんだから、翌日彼女に。


「妹を変なこと吹き込んでみろ、ぶっ殺す」


 脅されちまったが悪い気がしないな。





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