第8話 秘密の密談
海深く、人魚族の軍事作戦会議室にて。
「まさか私達の切り札がいとも簡単に倒されるとは…」
翡翠色の鎧で上半身を包み、宝石のように輝く鱗、魚の下半身を持つ、【
「仕方ないさ。あれは試作品でしかないんだし。第一、あれは乱戦の状況で放出するものだろ?」
その人魚の向かい側に座る、ゴシックロリータファッションの【
「だからと言って、あの耐久力の化け物がいとも簡単に崩されるとは…」
「いやぁ、獣人達だったらあんな事思いつかないかもしれないけどねぇ。今度作る時は口でも縫うか?」
人魚の将軍は真面目に、吸血鬼は笑いながら、先日の戦況について談笑する。
「…お前の支配領域は戦場から離れているから、悠長にしていられるけどなぁ、こっちの国は戦場のド真ん中で、お前の冗談に付き合っていられる余裕はねぇんだよ!」
「困った時は、僕達は君達を裏切って、戦況が落ち着くのを待つとするかな。」
「…お前、そんな事言っていると、本当に同盟関係を切るぞ?」
「冗談、冗談。もし君達が危険な状況になったら、僕達も全力で加勢するから。今は武器と資金での支援しか出来ないけど。」
二人の談笑は続く。
…その内、吸血鬼の持つティーカップの中身が無くなり、食べるマカロンが無くなってしまった。
「そろそろ時間だし、僕は退席させてもらおうかな。」
そう言って、吸血鬼は離席する。
軍事会議という名の、二人のお茶会は終わったのだ。
「…そう言えば、帰る前に一つ。あの魔獣の死体を使いたいんだけど、貰っちゃうよ?」
背中の羽を広げ、帰りかけた吸血鬼が人魚の将軍に聞く。
「ああ、いいぜ。どうせ私にはあっても意味ないものだしな。」
「サンキュ!
…また一緒にお茶会しようぜ!」
吸血鬼は空を飛んで帰っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます