第6話 海戦開戦


 人魚の国への進行が始まった。


 今回の作戦の目標は、指揮系統の破壊だ。

 陽動部隊が派手に戦っている横で、コッソリと敵本陣に向かい、ぶっ壊す。



 小型の軍用船に乗ること数十分。

 月の出ない夜に進軍した事が功をなし、敵に気づかれることなく、本陣にかなり近づけた。


「…て、敵襲だ!向かえ!」


 見張りがボク達に気づいたようだ。

 彼女等の号令に合わせ、水で出来た弾丸が、ボク等の乗る船に向かって放たれる。


…魔法、人族には扱えない奇跡の力。詳しい原理までは知らないが、大気中の魔力を操つることで火を起こしたり、水を操ったりと何でも出来るらしい。

 大岩程の大きさを持つ、水弾。そんなものがこの船に当たったら、ボク達は海の藻屑になってしまうだろう…


…だが、ボク等が魔法の対処を怠っているわけないだろ。

 水弾に向け、ボクは狙撃銃に込められた紫紺の弾丸を、『魔法阻害弾』を打ち込んだ。

『魔法阻害弾』、人族の叡智が生み出した、奇跡への対抗策-大気中の魔素の動きを不規則にすることで、魔法の発動を妨害する代物だ。

 デメリットとして、その弾の周囲では魔法が一律使えなくなるらしいのだが、元より魔法の使えないボク等には関係ないな。


 弾丸が打ち込まれ、ボク等を狙う水弾は全て消滅した。目の前で起きた現象を理解出来ず動きを止める人魚達に、狙撃銃で追撃を入れる。

…これで見張りはいなくなったな。




 さあ、敵の本陣に潜りこむか。

…ボク等が意気込んでいると、異変が起きた。

 船、いや海が揺れ、ボク達は倒れる。


…起き上がり、前方を見ると、目の前には割れた海、そしてそこから現れ、ボク達に敵意を向け唸る大蛇の姿が見えた。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る