第4話 戦況報告
何故、ボクがここにいるのだろうか。
ため息をついて嘆きたくもなるが、とてもそんなことが出来るような雰囲気ではなかった。
軍備や人員の消耗を報告するために開かれた軍事会議。ボクはクレイ隊長の代わりとしてそれに出席することとなった。
…もう一度言おう。会話もロクに出来ないボクが、何故代役として軍事会議に出席することになったのだ?
「…キミが、第十部隊に配属することになった新人君か。名前は確か…ノア君だっけ?」
死んだ目をして椅子に座っていると、金髪でチャラい感じの好青年がボクに話しかけてきた。
服装的を見るに、ボクより上の立場だろう。
「僕の名前はリョウマ。第四部隊の軍団長。
…そして、君と同じ出身の者さ。」
リョウマと名乗った金髪の男がそう言う。
同じ出身…つまりコールドスリープ(仮定)を受けて眠っていた人か…
「キミ…いつまで…寝てた?」
「目覚めたのは、今から二年くらい前かな?
ただ、起きた、という実感がわかないんだよ。眠る前の記憶がないからね。」
前までの記憶がない…ボクと同じなのか。
「まぁ、記憶がないとはいえ同じ出身のよしみ、お互い仲良くしようよ。」
リョウマのその言葉を聞き、ボクは肯定を示すため縦に首を振った。こいつと仲良くなっとけば、後々色々と使えそうだしね。
右大臣が会場に到着し、会議が始まった。
「…まず、先日の戦いの被害者数と戦況を聞きたい。
まずは、獣人の進行を防衛していた第一、第三、第十部隊から報告を頼む。」
「第一部隊、死者、重傷者数名。大きな被害はございません。」
「第三部隊、死者、重傷者数名。問題ございません。」
「…問題ない。」
右大臣の問いかけに、第一、第三部隊の代表。そしてボクが答える。
「では次に、
…第四部隊は人魚と戦っていたのか。
人魚の集落は海中にあるため、かなりの苦戦を強いたげられるはずだが…
「第四部隊、被害なし。進行は順調に進んでいます。」
凄いな、第四部隊。
セバスから、第四部隊は少数精鋭の部隊だ、とは聞いていたが、被害者ゼロはそう簡単には出せる数字ではない。
「…マーメイドへの侵略が順調か。
ならば、次の進行では部隊数を増やして、確実な有利を得にいこう。第一、第八、第十部隊は再来週のマーメイド進行に動向するように。」
「「了解」」
右大臣の命令に指名された部隊の代表は返事を返す。
「これにて、戦況報告会議を終了とする。各々、鍛練を忘れるな。」
右大臣が〆の言葉を発したことで、今回の会議は終了した。
…苦行が終わった!!後で隊長には文句言いに行くぞ!!
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