なんとなく「両手剣」

 両手剣とはその名の通り両手で握る剣の事です。創作界隈でも主人公が装備している事が多いですね。構え、力を蓄え一閃する必殺技も両手剣であることが多いのではないでしょうか。ファンタジーに於いては魔法の強化とかもあり演出も盛り上がるのでこれもよいですが、実は現実では両手剣は大変重いので一呼吸おいて動かすとテンポが遅れてしまうのです。両手剣とは実は動きを止めてはいけない武器なのです。動きと勢いを保持し戦いを思考する事が必要です。今回は両手剣の振る動きと実用技を紹介します。


 まず、両手剣は先程も言ったように重いので剣道の竹刀のように上段から振り降ろすのは動きを止めてしまうので実は間違いです。これは身軽な日本刀の動きです。

 本来の両手剣の基本技は斜めに振り降ろした剣先を一回転させて再び振り降ろす斬技「水車斬すいしゃぎり」もしくは「風車斬ふうしゃぎり」です。


 水車斬りは同方向から攻撃する単調な斬技です。水車斬りの長所はシンプルに重量と勢いを乗せた重い一撃を繰り出せる事です。

 水車斬りの勢いを残したまま斬撃方向を変えながら攻撃する技法のひとつに「蛇行斬だこうぎり」があります。


 蛇行斬りは斜めに歩きつつ行う技です。剣を斜めにクロスするように斬りつつ斜めに歩きながら位置取りを変え敵に防御され難くするのです。

 蛇行斬りはまず、右足を前に出しつつ右上から左下に向かって切り降ろす。剣を回して右上に構える。次に、剣を右から左に振り降ろしつつ左足を下げる。この時に、剣を身体の左側に回し、振り上げた剣が左下に来るようにします。そして、今度は右に振り降ろす。足は左足が前に出るようにします。

 続いて身体の右側に剣を回しつつ頭上を通り、再び左上から右下ヘ振り降ろす。


 このように、歩きと剣の回し方で相手の読みを外すのです。歩きは両手剣で相手を倒すのに必須です。基本的に両手剣は右と左の斬り降ろしなので足を多様してゆくのです。





 では次に剣が届かぬ熱い鎧に対抗する剣の打撃技「モードシュラッグ」を紹介します。両手剣でも片手剣でも使える技ですが


 モードシュラッグとは簡単に言いますと、剣の刃を握り、つばつかで殴りつける攻撃です。剣は構造上、柄が重くなっているので引っくり返すだけでハンマー攻撃が可能となります。剣の技法中、最も攻撃威力が高いともいわれてます。このような使用に耐えられるように中世当時は刃と同じ鋼鉄だったそうです。

 このモードシュラッグを使うには当然、刃を握るので素手ではできません。籠手こてが必須です。ちなみに、日本刀などの尖すぎる刃では籠手があろうとも実行不可能です。魔法で手を硬質かさせるとか皮膚が頑丈な種族とかなら籠手が無くても、実現できるでしょう。


 モードシュラッグも多様な技がありますが、基本は打ち降ろし「毒蛇どくじゃの構え」です。右手で柄を握り、剣先を左手で握ります。なんとも悪役が使いそうな邪悪な名前ですが、片手剣の基本はこれです。この毒蛇の構えから刃を使う場合は突き攻撃ですが、モードシュラッグならば右手を放し左手に添えるようにして鍔で殴りつける。上に持ち上げて構えるので突きを警戒する相手の意表をつけます。


 次に「引き下ろし」です。打ち降ろした攻撃を武器で受け止められた場合に鍔を相手の武器に引っ掛ける自由を奪う際に使用します。

 まず、剣を自分側に引いて、敵の武器を下げさせる。がら空きになった顔面、顎、喉を柄の先で突きます。衝撃を与えて脳を激しく揺さぶり相手を行動不能にさせます。


 次に、相手側もモードシュラッグを使ってきた場合の対処技「剣取り」です。

 モードシュラッグ最大の短所は手で持った刃が滑る事です。剣取りはこの短所を利用して相手の武器を奪い取る技術です。

 まず、モードシュラッグ同士の剣と剣がぶつかった時に押し合いになりますね。この時、こちらが毒蛇の構えで受け止めると相手の剣の鍔にこちらの鍔を絡ませて引き抜けます。状況によりますが、この常態なら剣を持ち上げるだけでこちらは力をかけやすく、相手は両手で刃を握っているので、すっぽ抜けやすくなっている。これで、剣を奪い無力化させる事が可能になります。


 モードシュラッグの他にも剣を使った対処技はありますが、長くなりすぎそうなので今回はここで終わります。

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