第3話
束の間星屑の道を辿った。それすらも忘れて、僕は青い光の中を漂っていた。
強い力におされてひかれて。何ら変わりのない青い景色を眺めた。
奥に行くほど深くなっていく青。向こうから無数の光がやってくる。
半透明の生命体だ。みんな一つずつ光を持って、やってくる。
彼らが僕を風のように通り抜ける。チリチリと欠片のぶつかる音が響いた。
彼らに手を伸ばす。大半は指を抜け、一部は掌に留まる。
彼らは泡になって消え、光る欠片だけが残った。
「欠片。それを手放してはダメなのよ」
少女が言った。
「たくさん欠片が集まって、一つの光になるの」
彼らが過ぎ去った静寂。また、押し引きが始まった。
何処かに流れて行く。掌に力を入れた。欠片だけは手放さないように。
僕の中に欠片があった。掌と僕の胸は、夜空にちりばめた五等星のように。
小さな輝きを持った。
「ああ、あなた。あなたは何処へ行くの?」
押されて引かれて。
「何処へ行くのだろう。わからないや」
小さな星と僕の身体は、流れに沿って漂うだけ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます