第3話

 束の間星屑の道を辿った。それすらも忘れて、僕は青い光の中を漂っていた。

 強い力におされてひかれて。何ら変わりのない青い景色を眺めた。


 奥に行くほど深くなっていく青。向こうから無数の光がやってくる。

 半透明の生命体だ。みんな一つずつ光を持って、やってくる。

 彼らが僕を風のように通り抜ける。チリチリと欠片のぶつかる音が響いた。


 彼らに手を伸ばす。大半は指を抜け、一部は掌に留まる。

 彼らは泡になって消え、光る欠片だけが残った。


「欠片。それを手放してはダメなのよ」


 少女が言った。


「たくさん欠片が集まって、一つの光になるの」


 彼らが過ぎ去った静寂。また、押し引きが始まった。

 何処かに流れて行く。掌に力を入れた。欠片だけは手放さないように。


 僕の中に欠片があった。掌と僕の胸は、夜空にちりばめた五等星のように。

 小さな輝きを持った。


「ああ、あなた。あなたは何処へ行くの?」


 押されて引かれて。


「何処へ行くのだろう。わからないや」


 小さな星と僕の身体は、流れに沿って漂うだけ。



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