第2話

 「星屑の道を辿ってお行きなさい」


 先の見えない闇の中、ぼんやりと宙に浮いていた。

 なにもやる気が起きなかった。僕の身体は無意識に息を吸う動作をするが、それすらもやめてしまいたくなるほど、身体が怠かった。


 その闇には目があった。闇は声になって耳から入り、僕の中の一番奥深くへ浸透していく。

 危ないと思った。僕は体を丸める。しかしそれはもう既に遅かった。

 闇は、僕の中の触れてはいけない“それ”に触れた。

 押し固めていた、爆発物。


 刹那、破裂した。

 闇は僕に根を張る植物となって、爆風もろとも吸収していく。ぐんぐん大きくなった。


 やがてそれは花を咲かせる。僕の目から口から耳から。大きなどす黒い花を。

 花は僕の全てを奪っていく。

 僕の意味も、存在も。やがて全てを奪い尽くしたなら、花も枯れていくのだろう。


 僕もともに果てていく。

 全て喰われて空っぽのまま、身体だけが彷徨うのだ。



「ああ、あなたは何処へ行くの?」


 花に少女が語りかける。


「何処へも行けやしないさ。僕の中身は、空っぽだもの」


 黒い花弁がひとひら、少女の前をかすめていった。

 全てが無に還っていく。

 それは僕の終点で原点——


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