星空ノ旅路 カイ
狐のお宮
第1話
人間生活に疲れてしまった。同じことを繰り返した日々だった。
非日常を求めていたはずの、心の浮き立ちすら薄れてしまった。
「さようなら」
もしかしたら、これは非日常を詰め込んだ夢だったのかもしれない。僕にとっての非日常は、日常であったのだ。
静かに、ふわり、宙を舞う。ちょうど夕日が差し込んだ。
美しい空だった。陽の光が僕を柔らかく包み込んだ。
「ああ、愛しいお空に
夢でもなく、走馬灯でもない。全く知らない誰かの声が、あの夕日の真似事をした。
声はすれど姿は見えず。気づけば僕は地面に立っていた。
「夕日と共に眠りにつき、夜星空と旅をして。朝日と共に目覚めるのね」
目の前に少女がいた。しかし、顔は分からない。目を凝らしても、姿は霞のように見え隠れする。
既視感を覚えた。夢だ。そこに誰かがいると分かっても、その人がどんな顔をしていたかは思い出せない。
「月の光を辿りなさい。そうして、目覚めと共に大きく息をするのよ」
これは少し奇妙な、僕と少女の旅の話。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます