第4話 レオンハルト様と街へ行こう
レオンハルト様は8歳になられて、さらに大きくなった。まだ身長は130cmくらいなのでつい頭を撫でてしまう。頭を撫でる時に当たるふさふさのくま耳が気持ち良くて、本当はもっとお耳をもふもふしたいっ!
でも、もふもふしてお世話係りを辞めさせられたら困るので、我慢なのです。
相変わらず、レオンハルト様は恰好良いのが好きでとても微笑ましい。そして、最近は剣の稽古や勉強もかなり頑張っている。
レオンハルト様は第2王子なので、国王にはならないけれど、兄である第1王子のラインハルト様を支えたいととても頑張っている。
剣のお稽古はラインハルト様と一緒にやっているのだけど、お2人ともとても素敵なのです。毎日心の中できゃーきゃー言いながら眺めてます。
レオンハルト様が戻ってくると、タオルで汗を拭くのですが、これも結構な試練です。タオルで拭くとお耳が当たるんですよ。もふっと、もふっとするんですよ!
「レオンハルト様、お疲れ様です」
「リーゼ。ちゃんと見てたか?」
「はい。最近は剣も上達していると先生がおっしゃってましたね」
「まだ兄上の方が上だけど、絶対におれの方が上手くなるんだ!」
「そうですね。レオンハルト様はとても頑張っているので、きっと大丈夫ですよ」
「リーゼの事もおれが守ってやるからなっ!」
(きゃー、可愛いっ!)
「ふふっ、ありがとうございます。頼りにしてますね」
ふふん! と胸を張る8歳児、可愛すぎます。とっても微笑ましいです。確か甥っ子も道路の車道側を歩こうとしてくれるとか、凄く可愛いお話を色々聞いたなぁ。
小さい子がちゃんと男の子してるのが凄く微笑ましいんだよね。
ついついレオンハルト様の頭をなでなでしちゃいます。ついつい甥っ子を見るように見てしまうので、本当に可愛いです。
撫でられて顔を赤くするレオンハルト様が可愛いです、素敵です!
剣のお稽古の後は先生が来て今度はお勉強だ。これも真面目に取り組んでいる。私が8歳の頃ってそんなにお勉強していたかな。レオンハルト様は何にでも意欲的に取り組むので、とても素晴らしいです。
午後の魔法の授業は、見ているこちらもいつも以上に楽しい。前世では魔法がなかったから、とてもドキドキワクワクするんだよね。火が出たり、水が出たり本当に凄いよね。
「レオはどれもがんばっていて凄いな」
「兄上にはまだまだ追いつけないのが悔しいです」
「ははっ。ぼくはレオのお兄ちゃんだからね。追い抜かれないようにこれでも必死なんだよ」
4つ年上のラインハルト様は今12歳。12歳ってこんなにしっかりしてたっけ? うちの甥っ子も姪っ子も、もっとはしゃいでいた気がするんだけど!?
「そうだ。ぼくは明日から視察に行ってくるからね」
「視察はどこへ行くんですか?」
「東にあるファリアの街だよ」
「兄上、気を付けて行ってきてくださいね」
「うん、何かお土産を買ってくるよ」
「はい!」
兄弟の会話を微笑ましく聞いていると、王妃様がいらした。
「ふふっ、2人で何をしていたの?」
「明日から行く視察の話をしていたんです」
「あら、そうなのね」
「母上。僕も街に下りても良いですか?」
「あら、レオちゃんは街に行きたかったのね。ちゃんと護衛を連れて行くのよ?」
「はいっ!」
「リーゼちゃんもよろしくね」
「はい、畏まりました」
レオンハルト様と明日街へ行く事になりました。午前中は剣のお稽古とお勉強があるので、お昼ごはんを食べて午後から行く予定です。
「リーゼ、おれの側から離れるなよ。側にいたらおれが守ってやるからな」
(ちょっ、どんだけ私の心を鷲掴みするつもりですか!?)
「ふふっ。はい、お願いしますね。明日はどこへ行く予定なのですか?」
しかも、クリスティーナ様には僕って言ってたのに、おれって恰好付けてるのが可愛すぎてキュンキュンしちゃいます。
レオン様は私をどうしたいんでしょうか。8歳の男の子がお兄さんみたいに振舞うの、本当に弱いんですよね。甥っ子もこの時期は恰好良いが良くて、微笑ましく見てたんだよね。
甥っ子を思い出して微笑ましくて、ついついなでなでしてしまいます。
(くま獣人の俺様王子様って色々盛りすぎでしょ!? というか実際に見ると微笑ましすぎるっ!)
「なっ!? 撫でるなよっ」
「えっ!? も、申し訳ございません」
(可愛いからなでなでしたかったのに、残念。しかもレオンハルト様のくま耳が~! もふもふさせてくださいーっ!)
「い、いや。リーゼがしたいなら、良いぞ」
(やだ、ツンデレ!? そろそろ表情がやばいです。にやにやしちゃいそうですっ!)
「ふふっ、ありがとうございます」
許可が出たので、思う存分なでなでしちゃいます。そろそろ撫でさせて貰えなくなる年齢ですからね! 出来る時にもふっちゃうのですっ!
(はぁ、このたまに当たるもふもふくま耳。癒されるぅ~!!)
「うぅ、も、もういいだろ!?」
そう言われて気が付いたら、レオンハルト様が真っ赤だった。つい我を忘れてなでなでしまくってしまった。
「申し訳ありません。つい、止まらなくなりました」
「あ、あしたの準備してくるっ!」
レオンハルト様は走ってどこかへ行ってしまった。護衛のクラウスさんが付いて行ってくれたので、お任せしておこう。
「リーゼ、もう少し控えてやれよ」
「デニスさん。つい甥っ子を思い出してしまったら、微笑ましくて止まらなかったんですよね」
「あー……なるほどな」
「しかも、そろそろなでなで出来なくなるなーなんて思っていたらついつい」
「そ、そうか」
次の日のお昼過ぎ、護衛のカールさんとデニスさんと一緒に街へ向かう。馬車を使わずに歩いて行くのだそう。
今日のレオンハルト様は街に行く事もあっていつもより控えめな装いなのです。だけどシンプルな洋服も、レオンハルト様の容姿をさらに引き立たせているので、あまりお忍び風にはなっていなかったりします。
私も護衛のカールさんとデニスさんも今日は私服です。
ブルクハルト国王様もクリスティーナ王妃様も自分が住んでいる街の人達がどんなふうに過ごしているか、自分の目で見る事が大事だといって街へ行く事を止めないんだそうです。
物を作るのも、街から街へ運ぶのもすべて街の人達がしている事だから、色々な事を見て学んで欲しいのだそうです。
まだレオンハルト様は8歳なので、街を見るのが楽しいだけなのだろうけれど、きっと色々な事を考えているのだと思います。ラインハルト様を支えたいと言えるレオンハルト様なのだから。
「リーゼ。今日は武器を見に行くぞ!」
「武器、ですか?」
「そうだぞ。おれの武器を作って貰っても良いと、師匠からやっと許可が出たんだっ!」
「まあ、それはおめでとうございます。楽しみですね」
「うんっ!」
満面の笑みでとても可愛いです。まだ恰好付けているけれど、可愛い所が出ちゃうのがとっても可愛いのです。表情に出さないようにするのが大変なくらいです。
デニスさんが案内してくれて武器屋さんへ到着すると、レオンハルト様の目がきらっきらです。楽しそうに自分に合う武器を選んでいます。
注文する分と訓練用はそのまま選んで行くそうです。ついでに、ちょうど打っている所なのでそれも見せて貰える事になりました。
「……凄いな」
「そうですね」
「みんなが使っている武器もすべてあのように1本1本作られているのですよ」
「うん、大事に使わせて貰おう」
やはり自分の目で見るのは大事なのだなと再確認させられた感じです。レオンハルト様は目がきらっきらのまま自分に合う剣を1本と、もう1本は注文して武器屋を後にした。
「見せて頂けて良かったですね」
「うんっ! あっ、そ、そうだな!」
(可愛いモードになっていたのに気が付いたんだね、可愛いわ~)
レオンハルト様はその後もずっとご機嫌で街を見ていた。王宮に帰ると、レオンハルト様に呼び止められた。
「リーゼ。おれがこの剣で守ってやるからな!」
「ふふっ、ありがとうございます」
本当はレオンハルト様こそお守りせねばならないのですけどね。でも、この年頃の子は難しいので言わないのが良さそうです。
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