第2話 2歳のレオンハルト様
レオンハルト様はすくすく育って今は2歳になった。毎日お外をお散歩したりして元気に育っている。今日も自室からレオンハルト様のお部屋へ向かう。
ノックをしてお部屋に入ると、レオンハルト様が笑顔で私の所へとてとてと歩いてきてくれる。
「レオンハルト様、おはようございます」
「おあよー」
(うぅ、笑顔のおあよー頂きました。キュンキュンしちゃいます!)
「りーじぇ、こえよんで」
レオンハルト様は最近お気に入りの絵本を持ってきたので、隣に座って読もうとしたら、らめ! って言われて、どうしたのかと思ったら私の膝をぽんぽん叩いている。
「お膝に座って読むのですか?」
「あいっ!」
(か、かわいいっ!)
元気に手を挙げてお返事をしてくれた可愛いレオンハルト様を、私のお膝に座らせて本を読み始める。ご機嫌になってお耳がピコピコ動く所がちらちらと視界の端に映るのです。
(可愛いです、幸せです~!!)
「もっかい!」
「はい、もう一回読みましょうね」
レオンハルト様は大分おしゃべりも上手になってさらに可愛くなった。毎日新しい発見が沢山で楽しいです。本当にお世話係りになって良かったです。族長様に感謝ですよ!
本を読んでいたらノックの音がして、クリスティーナ様がいらっしゃった。
「あら、レオンちゃん。リーゼちゃんのお膝で読んで貰っているのね。楽しそうだわ、ママも混ぜてくれる?」
「あいっ! ママ、いっしょ!」
「うふふ、嬉しいわっ!」
「レオンハルト様、クリスティーナ様のお膝に行きましょうか?」
「らめっ!」
「ふふっ、レオンちゃんはリーゼちゃんが大好きだものね」
「あい! りーじぇ、らいすき!」
(きゃー! そ、そんな破壊力が! あっ、気絶しちゃダメ! 我慢よ、リーゼ!)
「レオンハルト様、ありがとうございます。私もレオンハルト様大好きですよ」
そう言うと、レオンハルト様のお耳のピコピコが嬉しそうに速く動いている。
「クリスティーナ様、お昼はこちらでご一緒なさいますか?」
「えぇ、もちろんよ! 後でライも来るわ」
「畏まりました」
今日は4人で昼食みたいです。クリスティーナ様はお2人ともとても可愛がっているので、いつもとても素敵な笑顔をしている。そしてお2人の王子様達もクリスティーナ様が大好きなので、いつもとても幸せそうだ。
ブルクハルト国王陛下とクリスティーナ様は、恋愛結婚だったらしく、理想の家庭を絵に描いたみたいな家族でとても素敵なのです。
私も将来こんな家庭を築きたいな。ただ、レオンハルト様のお世話係りが幸せすぎて、結婚出来る気がしない。
しかも、それでも良いかなと思ってしまうくらい、レオンハルト様が可愛い! 可愛すぎるっ!
この後ブルクハルト国王陛下もいらして4人での昼食で、みなさんとても嬉しそうに召し上がってました。私もその間にカミラ侍女長と交代でお昼を頂いた。
午後からまたレオンハルト様と過ごすので、今の間にご飯なのです。
今日も料理人達が作ってくれる賄いご飯はとっても美味しかったです。食べやすいように大体ワンプレートランチなのですが、これが美味しいし盛り付けも素敵なのです!
午後もレオンハルト様のお部屋に向かう。レオンハルト様のお部屋に入ると、にこにこ笑顔のレオンハルト様が私の所へとてとてと歩いてきた。
「りーじぇ、おしょと!」
「ふふっ、お外に行くのですね。少し待っててくださいね」
レオンハルト様にそう答えると、扉の前で待機してくれている護衛のデニスさんに伝える。少しするとクラウスさんが護衛に来てくれた。
レオンハルト様を抱っこして、クラウスさんの後を付いて王宮の庭園に出る。ここの庭園は王族しか入れない場所なのだ。私はお世話係りだから許されているけれど、王族と一緒じゃないと入れないんだよね。
ただ、その分とても素敵な場所になっている。最近のレオンハルト様のお気に入りの場所で、ちょこちょこお散歩でここに来ている。
手を繋いでよちよちと歩くのも可愛いし、疲れてきて抱っこ! って手を伸ばすのも可愛くて可愛くてキュンキュンする。
ここまで来ると、レオンハルト様の自由に過ごして貰っている。クラウスさんも少し離れて見守っている。
レオンハルト様は色々な物に興味のある年齢なので、お花や虫、落ち葉などどこを見ても楽しそうだ。
「りーじぇ、あのことあしょぶの!」
「えっ、誰ですか?」
「あしょこ!」
レオンハルト様が指を刺す方を見ても誰もいない。誰がいるんだろう?
ちょっと困ってクラウスさんの方を見ても、分からないと首を振られた。一体レオンハルト様には誰が見えているんだろう。
レオンハルト様の横に座り、同じ目線で指をさす方を見てみると、小さな光がふよふよと浮かんでいるのが見えた。あれは、妖精?
「レオンハルト様、あの妖精さんですか?」
「あいっ! あしょぶの!」
「はい。妖精さんは小さいですから、優しくしてあげましょうね」
「あいっ」
とてとてと光に向かっていくと、妖精さんの光もレオンハルト様に近づいてきて、くるくるとレオンハルト様の周りを回って一緒に遊んでいるみたいだ。
まさか妖精さんと遊べるとかびっくりだ。でも妖精さんと遊んでいるレオンハルト様は、とても素敵だった。しかも、お耳もしっぽもぴょこぴょこ嬉しそうに動いているから、可愛くて叫びたいくらいだ。
(この可愛いレオンハルト様をむぎゅーっとすりすりしたーいっ! レオンハルト様と妖精さん、素敵すぎる。どうしてスマホがないの、写真に収めたいよーっ!)
もちろん本当に叫ぶわけにはいかないので、心の中で大騒ぎしている。もちろん、表情にも態度にも出しませんよ! 私は出来るお世話係りなのです!
今日の日記にはぜひこれを書かねばです。絵に残しておきたい程素敵です。
妖精さんと遊んでいるレオンハルト様を堪能した後は、また手を繋いでゆっくりと歩いて部屋へ向かいます。
「りーじぇ、だっこ! んっ!」
「はい、レオンハルト様」
両手を私に向かって伸ばしているレオンハルト様に、ついつい抱っこしてしまう。だってこんな可愛いおねだりされたら、断れませんよ。
というかレオンハルト様のおねだりを断れる人がいるのかと!?
抱っこすると、レオンハルト様のお耳がぴょこぴょこ嬉しそうに動くのと、手に当たるしっぽがぽよぽよと動くんですよ。それだけで悶えちゃいます。
毎回表情に出さないようにするのがとても大変なのです。それでも、このお世話係りを他の人に譲りたくないので、がんばって表情筋を抑えるのです!
レオンハルト様は、妖精さんと遊ぶのがとっても楽しくてはしゃぎ過ぎたみたいで、ご飯を食べながらこっくりこっくり寝てしまいそうです。
(可愛いっ。この食べながら寝ちゃうのは甥っ子姪っ子も可愛かったんだよね!)
今日の日記も長くなりそうな気がします。
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