王子様のもふもふくま耳に夢中になっていたら、いつの間にか結婚する事になりました
猫野 伽羅
第1話 レオンハルト様のお世話係り
私、リーゼロッテはこの日……人生で初めて気絶をした。
「リーゼ、大丈夫?」
「カミラ侍女長、すみませんでした」
どうして気絶したかというと、このハニーナッツ王国の第2王子であるレオンハルト様にお会いしたら、雷に打たれたかのような衝撃を受けたのだ。
レオンハルト様は3カ月前に産まれたばかりの赤ちゃんだ。だけど、金の髪からのぞく茶色く丸っとしたお耳。そして、くりくりとした青い目でじーっと見つめられて、控えめににこっと微笑まれたら気絶もしちゃいますよ。
私が今まで住んでいたエルフ族の村にも綺麗な人は沢山いた。だけど、赤ちゃんなのにあんなに素敵な子は見たことがない。
しかも気絶したからなのか、レオンハルト様とお会いした衝撃でなのかは分からないけれど、前世の記憶を思い出した。
こことは違う世界で生きて来た記憶だ。前の私は結婚はしていなかったけれど、可愛い甥っ子と姪っ子がいた。レオンハルト様に負けず劣らず可愛かったんだよね。前世の私は小さい子大好きだから、保育士の仕事をしていた。
毎日小さい子達に囲まれて、とても大変だけど楽しい毎日を送っていた。今世でもお世話係りで子供のお世話が出来るだなんて天職すぎるね。
なんで死んだかとか名前とかは全然思い出せないけれど、今は15歳のリーゼロッテだから気にしても仕方ないのかもしれない。でも、思い出した事で寂しくもなったから、レオンハルト様を沢山可愛がろう。
私は族長から頼まれて、エルフの森から出て第2王子であるレオンハルト様のお世話係りとして働く事になった。
そして、今日こうしてレオンハルト様にお会いして、色々あり過ぎて頭が追い付いていってない感じだ。
くま獣人のブルクハルト国王様が治めるここハニーナッツ王国には、色々な種族の人達が暮らしている。
私の耳も尖っていて特徴的だけど、周りには特徴的なもふもふのお耳をしていたり、大きな牙や爪がある種族までいるから全然気にならない。
今一緒に居てくれているのは、侍女長でネコ獣人のカミラさん。カミラさんは赤い髪が似合うとてもかっこいい素敵な人だ。だけど、その赤い髪から覗く黒い猫耳とのギャップがとても素敵です! ちゃんとしっぽもあるんです、ここ大事っ!
「カミラ侍女長。レオンハルト様はとても可愛くて素敵でしたっ!!」
「落ち着きなさい。今日からあなたがお世話をするのだから、気を付けないとレオンハルト様がお怪我をするわよ」
「あっ、そうですね。あんなに可愛いレオンハルト様に、お怪我をさせるわけにはいきません。気を付けますっ!」
レオンハルト様のお部屋の前には、護衛の騎士が2人立っている。今日の護衛騎士は、クラウス様とカール様という名前だそうだ。これから毎日のように会う事になるから、きちんと覚えておかないと。
クラウス様は青い髪が素敵な細身の騎士様だ。カール様は赤い髪のがっしりとした体格の騎士様だ。どちらの騎士様もイケメンで素敵な人だ。
(今までイケメンなんて言葉知らなかったから、これは前の記憶のせいかな?)
これから一日のほとんどの時間をレオンハルト様のお部屋で過ごす事になるので、きちんとご挨拶をしておいた。
改めてレオンハルト様のお部屋に入って、ベビーベッドを覗くと今はすやすや寝ている。やっぱり何度見てもとても可愛い!
「私、毎日こんな可愛いレオンハルト様といられるだなんて、幸せ過ぎます」
「ふふっ、そうね。もう少ししたら第1王子のラインハルト様もいらっしゃると思うわ」
「そうなのですね。ラインハルト様は今4歳でしたっけ?」
「ええ、そうよ」
第1王子であるラインハルト様は、4歳にしてもう剣の稽古をするほど元気いっぱいなんだそう。そして、ラインハルト様はレオンハルト様を大変可愛がっていて、毎日見に来る程なのだそう。
またきっと明日、レオンハルト様の所へ来ると思うので、お会いするのが楽しみだ。
「ふぇぇ~……」
「レオンハルト様、どうしましたか~? あっ、オムツが濡れていたら気持ち悪いですよね、替えましょうね」
おしめが濡れているみたいなので、取り換えよう。準備をして、おしめを取り換える時に見てしまった。
「か、かわっ……!」
レオンハルト様のお尻に茶色くて丸くて小さいふわふわもふっもふのしっぽがっ!!
手が触れたらもふってした! 決してわざと触ったわけじゃないんだよ?
(我慢、我慢しなきゃっ! お世話係を辞めさせられたら大変だもの!)
「ふふっ、レオンハルト様。さっぱりしましたね~」
「あ~」
ついでに抱っこしてあやしてあげると、私の髪が掴まれてしまった。きゃっきゃと喜んでくれているので、好きにさせてあげていたらずっとにこにこご機嫌だった。
(かわいいっ、かわいすぎるっ! しかもお耳がぴこぴこ動くのがまた素敵っ!)
「はぁ、幸せすぎる~」
レオンハルト様がそのまま眠ってしまったので、ベッドに戻そうと思ったら、髪の毛を掴んだまま離さなかった。
「いたた。えーっと、どうしよう?」
少しそのまま困っていたら、ちょうど部屋に来たカミラ侍女長が不思議そうな目をしてこちらに来た。
「カミラ侍女長~、どうしたらいいですか?」
「あらあら、レオンハルト様はリーゼの髪が気に入ったのね」
カミラ侍女長はそっとレオンハルト様の手を開こうとしたけれど、なぜかぴくりともしない。
「さすがくま獣人ですね。赤ちゃんの時から力が強いんですね~」
「そ、そうなのかしら? リーゼ。申し訳ないけれど、すぐに起きるだろうからそのまま我慢してなさい」
「は、はい」
結局レオンハルト様が起きるまで、髪の毛を掴まれたまま過ごす事になった。だけど、近くでレオンハルト様の寝顔が見られるので、それはそれで嬉しい。
(は~、かわいい……癒される~)
レオンハルト様が起きた後、王妃のクリスティーナ様がいらした。王妃様は人族で金のとても美しい髪に青い目の笑顔がとても素敵な方だった。
「レオンちゃん、お母様が来たわよ~」
「先ほどお目覚めになりましたよ」
「あっ、貴方が新しいお世話係の人ね。うちのレオンちゃんをよろしくねっ!」
「はい、リーゼロッテと申します。よろしくお願い致します」
「ふふっ、自然で良いのよ~。レオンちゃんと楽しく過ごしてね。そして、可愛い所を沢山教えてねっ!」
「はいっ!」
クリスティーナ様は、とても綺麗なのにお茶目な方でした。ちょっとホッとしちゃいます。
その後もレオンハルト様とラブラブいちゃいちゃしてました。レオンハルト様のピコピコ動くお耳とか、愛らしいお顔とかお声とか、とても良く分かりますっ!
しかも、素敵なクリスティーナ様がレオンハルト様を抱っこしている所は、また気絶してしまいそうなほど素敵でした!
次の日にはブルクハルト国王陛下とクリスティーナ様がいらっしゃった。まさか国王陛下にお会いするとかびっくりすぎる。
礼をして少し離れた所で待機しているのですが、国王陛下もくま獣人なんですよね。レオンハルト様の可愛らしさにお耳がぴこぴこっと速く動くんです。そして、それを見つめるクリスティーナ様。
クリスティーナ様もぴこぴこ動くお耳がお好きみたいです。
ブルクハルト国王陛下とクリスティーナ様がレオンハルト様を抱っこしていると、第1王子のラインハルト様もいらっしゃいました。
ラインハルト様はブルクハルト国王陛下と同じ、茶色い髪に茶色い丸いくま耳とクリスティーナ様とお揃いの青い目がとても素敵なお子様です。
この御家族はどの方も美形で、眺めているだけでも眼福です。さらにあのくま耳としっぽが幸せ過ぎてまた倒れてしまいそうです。
もちろん気合で我慢してますよ!
毎日夜になると、自分に割り当てられた実家の部屋よりも豪華な部屋で日記を書くのが日課だ。もちろん内容はレオンハルト様の可愛い仕草だったり、どんな事があったかなんかを書いている。
思い出しただけでもにんまりしてしまうくらい可愛くて素敵な赤ちゃんだ。
明日はどんな可愛い仕草を見せてくれるか、とっても楽しみです!
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