第39話 兄弟?BL?
お腹に響く怒声と足音を発しながら猛烈なスピードでこちらにヤバそうな何かが近付いて来る。
二人と一匹を抱えて逃げ切るのは...無理そうか。
ん!?よく見るとケル公が目を瞑りながらプルプル震えている。
「こら、ケル公!お前寝たふりしてたわね。お前はそこで二人を守ってなさい。いい、死んでも守るのよ。」
(フルフル)
「何?嫌なの?そんなにさっきの声の主は強いの?」
(コクコク......ジョジョア~♨)
「なっ!?なんでまた漏らすのよ!サダチカの顔がオシッコまみれじゃない!もう、で何なの?漏らすほど強いってことなの?」
(コクコク......ジョジョババァァ~♨)
「分かったからいちいち漏らさないでよ。流石にサダチカが溺れ死んじゃうじゃない。」
急いで気を失っている二人を通路の端に寄せて、その二人を囲むように大量のゴブリン達の死体をアイテムボックスEXから取り出して、それらを囲んで積み上げて即席の死体バリケードを作る。
「いい、今から私がさっきの雄叫びの主をこの通路におびき寄せてくるから、そうしたらこの冷却スプレーを通路の端に設置しておくからあなたはそそれにありったけの火をぶち込みなさい!アンタがやらないとアンタのご主人様が死んじゃうじゃうかもしれないからね!いい?分かったわね!上手くいったらサダチカのオッパイ好きにしていいから!」
(コクコクコクコク!......ジョジョバババァァァァ~♨)
だからなんで漏らすのよ、尿道括約筋緩すぎでしょ!オチンチンを輪ゴムで縛っといた方がいいんじゃないの?しかも毎回サダチカの顔面に...
「ゲホッゲホッ!!」
サダチカがむせている......無事に帰れたらこんど何か奢ってあげよう。
それにしてもあずきちゃんとサダチカはかれこれ一時間位は寝てるけど、全く起きる気配がない。魔法は一見便利そうではあるが、気をつけて使わないと魔力が枯渇して寝て起きたらあの世行きなんて事にもなりかねない。
「ギャギャギャアアアアア!!!!」
「近い!?」
皆が寝ているところから20mほど離れた通路の隅に冷却スプレー缶を3本設置する。
あの黒っぽい炎がスプレー缶のガスに引火するかは分からないけど、引火しなくても破裂すればそれだけでも一瞬は気が引けるだろうし、まぁこんなチンケな罠を使う前に私が倒してしまえばいいだけの事。
「それじゃあ二人の事頼んだわよ!」
「バゥ!」
(ジョジョアァァァァ~♨)
......ここから出たらあの犬、病院につれていって泌尿器系を診てもらった方が良さそうね。起きたらあずきちゃんに伝えとこう。
急いで先程の部屋に戻り雄叫びの主を待ち構える。周囲の空気を震わす咆哮に、迫る足音、姿は未だ見えずともひしひしと伝わってくる威圧感。これまで何度も対峙したこの鳥肌が立ち自然と笑みが零れる感覚は、おじいちゃんや健兄ちゃん達が本気で戦うときとよく似ている。
これから来る奴は間違いなく強者だ。
やがて見えてくるその姿は先程のゴブリンと肌の色はよく似ているものの、その大きさは軽く2mを超えていて異常なまでの筋肉質な体つきと鋭い牙を備えた獰猛な顔つき。向こうもこちらを視認したらしく走るのを止めてゆっくりとした足取りで、こちらを値踏みするように薄気味悪い笑みを浮かべている。
捕食対象と見られているのか、はたまた強姦対象と見られているのか。
「ん?」
現れた屈強そうなゴブリンの肩の上に、杖らしき物を持った一際小さいゴブリンが乗っている。己等は戸○呂兄弟か!
「......ふーん、アンタ達がゴブリン共の親玉ってことなのかしら?」
「グギャギャ!!グギャグギャ!!グルギャギャ!!」
「ギャギャ!?グギャギャグギャギャ!」
「ッ!?ギャギャギャグギャ!!ギャギャギャギャァァギャ!!」
「「ギャァ~~」」
二匹とも揃ってこちらを指差して癇に障る笑みを浮かべている。
「ギャアギャア五月蝿いわね。」
ゴブリン弟?の薄汚い腰簑がムクムクと膨隆していく。
コイツ勃起してるのか。
「キモッ!!殺す!死ね!」
あまりの気持ち悪さからこちらから攻撃をしかけていく。懐に潜り込むように体勢を低く、素早く突進する。こちらが突進するや否やゴブリン弟も、こちらに向かって拳を振り下ろしてくる。
恐らく筋力は圧倒的に向こうの方が上だろう、だがその振り下ろされるスピードでは私が懐に潜り込んで、股間のいきり立った山頂にクレーターを作る方が速いだろう。その薄汚いイチモツを再起不能にしてやる。
「♯▽§$▲&£★▽*§」
「なっ!?」
ゴブリン弟の肩に乗っているゴブリン兄が何か唱えた瞬間に急に体がすごく重くなった。かなりの前傾姿勢だったため前のめりで倒れそうなところを前回りをして、振り下ろされたゴブリン弟の拳を何とか避ける事ができた。が、ゴブリン弟に向かって前回りしたために、私の頭部とゴブリン弟の暴力的なまでにそそり立ったイチモツと盛大に衝突してしまった。
「アガッガァァ!!」
「はうっ!!」
やはりモンスターと言えど人間と急所は同じらしい。筋骨隆々のゴブリン弟が内股になって股間を押さえて悶絶している。私の頭部は不快度は極限まで達して精神的ダメージは負っているものの、肉体的なダメージはそれほどでもなく直ぐ様追撃を行う。
「はぁぁぁぁ!!」
何故か体は依然として大人が肩車で肩に乗っているかのように重いが、しゃがんだ状態から気合いを入れて飛び上がり、ゴブリン弟の内股気味の股間を掻い潜り、思いっきり膝蹴りをぶちかます。
「フギィィィッッッ!!」
「私の顔に変なものを押し付けた罰よ、死になさい!マッハパンチアッパー!!」
私の膝蹴りを股間にくらってうずくまっているゴブリン弟の顔面が丁度良い位置に来たので渾身のマッハパンチをアッパーカット気味に繰り出した。クリーンヒットして2m以上あるゴブリン弟の巨体が大きく吹き飛んでいった。
「♯▽§$▲&£★▽*§」
「なっ!?また!?」
先程まででも体が重かったのに、さらに体が重くなった。ここまで重いと走るのはおろか立っているのすらツラい。
「ギャギャギャ」
まるで笑っているかのような声を出して、上方からゆっくりとクルクル回りながらゴブリン兄が降りてきた。自分では優雅に舞っているつもりなのかも知れないが、容姿がゴブリンなためその仕草はひどく滑稽だ。
この体の異常な重さといい、未だクルクル回り続けて地上に落ちてこないゴブリン兄の重力を無視した動きといい、これはあずきちゃんやサダチカが使っていた同じ魔法の効果なのだろうか?
って言うかさっさと降りてきなさいよ!中々降りてこないゴブリン兄をサマーソルトキックで天井のシミにしてやりたい所だが、如何せん体が重くていうことが効かない。
「なっ!?」
幼稚園児並の大きさのゴブリンが薄汚い腰簑を無駄にはためかせながら、クルクル回りながらゆっくりと降りてくるのを、イライラしながら見させられていたのだが、私はとんでもない思い違いしていたのに気付いた。
「このゴブリン!玉はあるのに竿がないわ!」
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