第34話 閑話 あの人は今……
『ヤ~~レン ソ~ラン ソ~ラン ソ~ラン ソ~ラン ソ~ラン ソ~ラン!』
「……ハイハイ」
『男度胸なら 五尺の身体どんと乗り出せ 波の上 チョイヤサ~エンヤ~サ~ノ~ドッコイショ!!』
「……はぁ~どっこいしょ~どっこいしょ~……」
『ご主人様!もっとお尻の穴を閉めて気合を込めて漕いで歌ってください!お尻!解りますか?三日前にご主人様がクンナバカルナの巣穴でクンナバカルナ愛用の張型を突っ込んでいた場所ですよ』
「おい!クンナバカルナの張型って今俺が乗ってるカヌーだろうが!裂けるわ!ってか俺は尻に何かを突っ込んだりしない!その内名誉棄損で訴えるぞ!」
あれから俺は滝の裏にあったクンナバカルナの巣穴で休憩して、これからどうやってB2階層まで行くかを検討した。
結果、この滝を作ってる川に沿って行けばかなり近づけると言うことで、この等身大張型を少し加工してそれに乗って川を下ろうという結論に至ったのだ。
なにもそんな使用済み張型で作らなくても外に木がいっぱいあるじゃんと抗議したが、この巨大な張型は川を渡るのに最適ですとローニャンが譲らないので気になって鑑定してみた。
名称 世界樹の張型
非常に貴重で数少ない世界樹から作られた張型
周囲に魔物を寄せ付けない効果を持つ
「……」
分かるよその気持ち、毎日使う物にはこだわりたいものね。でもね、だからってファンタジーの貴重素材のド定番の貴重な世界樹から変なもの作るなよ!
バチが当たるぞ!ってバチが当たって食べられたけども。
魔物を寄せ付けない効果もあるみたいなので、このご利益ありそうなありがたい等身大梁型の取っ手部分をくり抜いてカヌーを作って川を下ろうと考えたのだ。
ダーファングの爪を駆使して丸一日かけて何とか完成し、いざ出航し始めは川に住む魔物も寄ってこずに水流操作を駆使してうまい事渡っていたのだけど、段々川に住む魔物が襲ってくるようになってきたのだ。
「ローニャン、張型仕事してないんじゃないの?なんだかピラニアみたいな魚がバンバン俺の顔めがけて飛んでくるんだけど」
『恐らく世界樹の張型の効力が長年酷使されて摩耗しているのではと考えられます』
「あのエロ巨人め世界樹の力を変なことに使うなよ……で何かいい方法ないの?」
『世界樹は神木ですからいわば神の依り代のような神聖なる物、何か奉納してみてはいかがですか』
「何かって言ってもな~アイテムボックスにあるものっていたら、魔物の死体と素材と激臭ニシンの缶詰とホットパンツみたいになってしまったジーパンくらいしかないしな」
『何も物でなくてもいいのでは、例えば魔力を込めた歌で歌唱奉納ということは如何ですか』
「歌?そんなんでいいの?じゃあそれにすっか」
そんなに歌に自信があるわけじゃないけど、奉納する歌となれば何かあるかな~無難に「君が代」でも歌っとくか。まぁそれくらいしか知らないけど。
「あ~あ~……では僭越ながら……」
『ドッコイショ ドッコイショ♪ ソーランソーラン♪』
「お前が歌うんかい!!」
しかもソーラン節!いいのこれで?
一応世界樹も反応してるっぽいけど……これでいいならただ単に魔力流し込むだけでいいのでは……だって俺合いの手しかしてないからな。
『合いの手!!』
「はいぃ!ドッコイショ~ドッコイショ~」
これが後三年かぁ~
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