第24話 ローニャンとにゃんにゃん2

  クンナバカルナの寝床に着いた俺は、30畳位ある部屋の隅に置かれていた畳一畳くらいの宝箱らしき物に手をやり開けようとするも、罠とかあったりするのかとふと脳裏をよぎったが、クンナバカルナが自分の寝床に罠付きの箱なんか置かないだろうし、あの巨体が罠とかそういう事をするようにも思えない、まだエロ本が入ってる方が入っている方があり得るんじゃないかと思い、覚悟を決めて恐る恐る空けてみた。


 「これは......」


 『エロ道具収納箱でしたね。』


 違うだろ!えっそうなのか?

 一畳サイズの長方形の箱に入っていたのは、箱一杯の長さで直径30cm、長さ150cm程の木の幹であった。只、その幹の先端4分の1位は少し膨らんでいて、残りの4分の3の部分にはくっきりと大きな手形が付いていた。見た感じデカイチ○コだな。恐らくこれは張形と呼ばれる物だろう。あのクンナバカルナは雌だったのか。


 「しかし、本当にエロ箱だったとは.........ん?張形の下に何かあるな。でもこれ触るの嫌だな。」


 何せ手形がくっきりと付くほど使い込まれてるのだ。俺自身も触りたくないが、死んだクンナバカルナも触られたくないだろう。

 そっと巨大な張形を《アイテムボックスEX》に収納する。そうしてその張形の下から出てきたのは、張形の下でペシャンコになっていた斜め掛けのシンプルな茶色い革のカバンと1本の巻物と1本の長くやや黒色の光沢のある鉄の棒だった。


 「カバンと巻物と鉄の棒?いや棍かな。」


 『ご主人様、この棒はアダマンタイトかと想われます。』


 「あたまいたいひと?ローニャンのこと?」


 『ア・ダ・マ・ン・タ・イ・トです!!』


 「おっおう、そうか。」


 若干切れ気味のローニャンに気圧されながら宝箱から出た棒に《鑑定EX》を掛ける。


⚫名称 アダマンタイトの棒

⚫サイズ Φ4.5cm×200cm

⚫特徴 非常に硬い


 おぉ本当にアダマンタイトだ。しかし、簡素な説明文だな。先から火が出るとかファンタジー的な要素は無いのか、いい加減お肉焼きたい。

 ついでにカバンと巻物にも《鑑定EX》を掛ける。


⚫名称 魔法スクロール(土属性)

⚫特徴 土属性魔法の適性を得ることが出来る。


 土かぁ~いや、良いんだけどね。貰えるものだから贅沢は言っちゃダメなんだろうけど、出来ることなら火のが良かったなクンナバちゃんよ。焼肉が食べたい。


⚫名称 マジックバック

⚫サイズ 20cm×20cm 収納量20m×20m

⚫特徴 非常に多くの容量を収納できるバック。但し、肉眼で見える以上の大きさの生きている生物は収納できない。時間経過する。


 こちらはファンタジー定番の何でも入る魔法のカバンだな。一見アイテムボックスEXの下位版の様だけど、これはこれで役に立つ。現に俺は火の魔法か魔石の次にこれが欲しかった。

 宝箱からクンナバちゃんの恥ずかしい物から役立つ物まで色々出て、検証したいが今日のところは一先ず置いておいて寝よう、何せ100キロもの道なき道をほぼノンストップで走ったのだ、身も心もヘトヘトで死にそうだ。


 『ご主人様、もう就寝されますか?』


 「今日は疲れたからね、もう寝るよ。」


 『.........夜枷はもう良いのですか?約束したはずですが。』


 「あれを夜枷と言うのか、まぁそれに近いのかもな。今日は良いよと言うか今後はああいう事しなくていいよ。」


 『.........何故ですか?昼間の私の愚行が原因でしょうか?』


 一応自覚はあったんだ。


 「まぁ敵地であんな風になったのはビックリしたけど、特に怪我することもなく終わったから、今後は気を付けてくれれば良いんだけど、それにあの自慰を夜枷と呼ぶなら少なくとも想い合ってる者同士がする行為だろ。縁あってローニャンは俺の頭の中にいるけど、ちゃんと人格があって心がある。心までは縛り付ける事はできないよ。そしてその心が俺ではない者の所へ移っているのに、俺に仕えてるからといって性処理なんか無理強い出来ないし、ローニャンもそこまでする必要はないよ。」


 『.........』


 「.........お休み。」


 『.........』


 「.........」


 『.........し』


 「ん?」


 『このぉくされインポ意気地無しぃぃぃ!!』


 「は!?何!?」


 『ご主人様はそれで良いんですか?悔しくないんですか?目の前で妻が寝取られたんですよ!!それでも男ですか?チ○コ付いてるんですか?』


 「は?何だよいきなり!そりゃ腹立つに決まってるだろ!敵の姿見た瞬間にキャーキャー騒ぎやがって!二日目を戦場に留まれって言ってるときから何かおかしかったんだよな!!この尻軽ビッチが!!あと妻じゃないだろ!」


 『腹が立つなら取り返してやるっていう気概はないんですか!!何が心までは縛り付けられないですか!カッコいいと思ってるんですか!澄ました顔してカッコいいと思ってるんですか!!あと私は妻です!!』


 「カッコいいなんて思ってないし、カッコ付けてもいない!!お前は妻じゃねぇし!!」


 『どうせハヌマン様を見て怖じ気づいたんでしょ!!もう会わないからこのまま逃げてやり過ごそうと考えたんでしょ!!その時点で負けてるんですよ!!この根性なし!!私は妻ですよ!!』


 「うるさい!!怖じ気づいてないし負けてもいない!!あんな猿に負けるか!!あれは戦略的撤退だバカやろ!!それに妻なら浮気するんじゃねぇよ!!心移りして寝取られた本人が開き直るな!!」


 『そうですよ!!心移りして寝取られたんですよ!!このままで良いんですか!!悔しくないんですか!!』


 「良いわけないだろ!!!!」


 『何でですか!!心は自由でしょ!!』


 「お前は俺のモノだ!!心も体も離さん!!誰にも渡さない!!もちろん猿にもだ!!」


 『.........』


 「.........」


 『.........はい。』


 あっあれ?何かハメられた?


 「.........」


 『.........』


 「......えっと、そのだな。ローニャン怒鳴って悪かったな。」


 『いえ、こちらこそ失礼なことを沢山吐きました。』


 「そっそうかじゃあお互い様だな。」


 『お互い様です。』


 「矛盾したこと言ったな、心は自由だと言ったのに束縛して......」


 『はい、ローニャンは心も体もご主人様のモノです。』


 「いや、自由にして良いからな。」


 『ダメです。心も体もご主人様に緊縛されています。』


 「緊縛してない!新たな性癖を増やさないで!.........でも、本当に良いのか?余り出来たご主人様じゃないけど...」


 『知っています。その上嫉妬深く束縛して矛盾して怒鳴ってチキンで緊縛好きで......』


 「ちょちょちょ、ローニャンさん列挙しないで、心折れるから。」


 『でも妻ですから。』


 なんか、俺が浮気して許されたような気分なんだけど...


 「いや、妻じゃないだろ。」


 『ご主人様と私は切っても切れません、一蓮托生です。』


 「そうだな。」


 『それはもう妻みたいなものでしょう。』


 「.........そうかもな。......寝るか。」


 『はい。』


 『夜枷はいいんですか?今なら寝取られプレイがお薦めですよ。』


 「うっ」


 『あぁハヌマン様!何て麗しい瞳!何て凛々しい胸板!何て可愛い胸毛!一日中指でクルクルしてたいわ!』


 「あぁローニャン!俺のローニャンが猿に...」


 『ふふっご主人様、何て間抜けな顔!』


 「うっうるさい!」


 この夜、俺の属性に寝取られ属性が追加されたのは言うまでもない。



~ 第一章  完 ~

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