第8話 世界と四川ダンジョン事情

 俺は自分の鼻を矯正した後、狼娘娘ロウニャンニャンに解体の手解きを受けながら肉、骨、内蔵、皮、その他に切り分けて今食べない分を収納していった。

 8匹分なので膨大な量になるのだが体力も回復するために休みも必要なので、無理をせず間に食事を取りながらゆっくり丁寧に行っていった。それらの作業を行いながら今の俺の状況とこの世界に何があったのかを教えてくれた。


 俺がこのダンジョンに落ちる切っ掛けとなったあの大地震が世界各地で起きていたらしい。そしてそれに合わせてダンジョンも世界各地で姿を現したそうだ。日本も幾つか出現しているらしい。だが現在は地震の対応で躍起になっているので発見されているのはごく一部だけとのこと。

 今俺がいる中国でも数個出現していて、この四川ダンジョンもその内の一つらしい。

 ダンジョンには魔素という物が充満していて、その魔素がモンスターを生み出し、そのモンスターの体内には魔素の凝縮された魔石があり、それがモンスターの動力源人間で言うと心臓となっているそうだ。より強いモンスターにはより沢山の魔素が凝縮されているので、より濃い色の魔石が取れるらしい。

 そう言えば狼男達よりも狼マザーであるラナ・ダーファングの方が深みのある灰色をしていたな。

 そしてダンジョン最深部にはダンジョンコアと呼ばれる魔石があり、それを守るモンスター?守護者がいるそうだ。

 いよいよどこぞのファンタジーみたいな設定だな。


 そもそもダンジョンが何故この世界に出来たのか、何処から来たのか等はローニャンでも解らないのか、それとも言いたくないのか教えてはくれなかった。


 ちなみにローニャンと言うのは勿論狼娘娘ロウニャンニャンのことであり、大の大人がニャンニャンと言うのが恥ずかしいからロウでいいだろうと言う俺と、そんな謎の老人みたいな名前は嫌だちゃんと呼べこのクソ野郎という狼娘娘ロウニャンニャンの間をとってできたあだ名だ。


 「取り敢えず上に上る階段を見つけて上がっていけば、外に出れるってことだな。オェェやっぱり生肉はキツいな。」


 『いえご主人様、それがそう簡単にはいかないのです。ご主人様のそこの右手側にあるそのお肉を食べてください。』


 「どういう事だローニャン?」


 『本来ならばダンジョンが地下に転移されて、階層を増やしたりと準備段階を経て地上と繋がるのですが、この準備段階でご主人様が地震によって出来た亀裂からダンジョンに進入してしまい、それを外界からの攻撃と誤認したダンジョンコアが入り口を作るのを止めてしまったのです。そうして作られる予定だった階層の殆どが作られず、極めて浅い出入り口の無いダンジョンが出来上がってしまったのです......手が止まってますよご主人様、早くその右手の先にあるお肉を食べてください。』


 「えぇ~俺のせいなの?そんなこと言われてもな~俺の方こそ死にかけた上に片方の腕を無くしたんだから、そのダンジョンコアに文句言いたいくらいなんだけど。って言うかこのダンジョン出口無いの?もしかして出れないのか?」


 『いえ、出る方法はあります。ダンジョンの最下層に行くのです。通常のダンジョンには数階層毎に地上へ戻ることのができる転移石が設置されています。なので通常のダンジョンであればある程度の階層まで到達できれば転移石を使って帰りの脱出は一瞬で済んでしまうのです。ですがこの四川ダンジョンは早々に虫が迷い混んだせいで階層を作るのを止めてしまったので転移石があるのが、ダンジョンコアがある最下層のみとなっているのです。......兎に角早くそのお肉を食べてください。』


 「虫って扱いが酷いな、でこの四川ダンジョンは何階層まであるんだよ?......」


 『この地底湖のあるこのフロアを含めますと4階層となっております......そこにあるお肉を食べてください。』


 「えっ4階しかないの?良かった~結構早く出れそうだな......」


 『......』


 「......」


 『............』


 「............」


 『......早くそこの右手の先にあるお肉を食べてください、いや食べなさい。』


 「断固拒否する。」


 『また選り好みするんですか!!そこの部位を食べれば新たなスキルを身につける可能性が有るんですよ!!さぁ早くくわえなさい!』


 「食えるか!!!!どう見てもこれはチ○コだろが!!」


 俺は叫びながらその狼男のチ○コを掴み、地底湖へ放り投げた。


 『あぁぁぁ総二郎ぉぉ~』


 俺の息子みたいな名前をつけるな!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る