第6話 狼娘娘

 《ピコーン!人類初モンスターの討伐を確認しました。スキル『狼娘娘ロウニャンニャン』が賦与されます。》


 《ピコーン!初討伐がネームドモンスター『ラナ・ダーファング』という偉業を確認しました。スキル『アイテムボックスEX』が賦与されます。》


 「は?」


 《ピコーン!人類初モンスターに補食を確認しました。スキル『回復EX』が賦与されます。》


 《ピコーン!人類初ネームドモンスター『ラナ・ダーファング』の討伐を確認しました。スキル『成長EX』が賦与されます。》


 《ピコーン!四川ダンジョン初モンスターの討伐を確認しました。スキル『鑑定EX』が賦与されます。》


 《ピコーン!四川ダンジョン初ネームドモンスター『ラナ・ダーファング』の討伐を確認しました。スキル『無属性魔法』が賦与されます。》


 《ピコーン!短剣術のレベルが上がりました。Lv1→Lv2》


 《ピコーン!レベルが上がりました!》


 《ピコーン!レベルが上がりました!》


 《ピコーン!レベルが上がりました!》


 《ピコーン!レベルが上がりました!》


 《ピコーン!レベルが上がりました!》


 「うるせー!何だこれ!頭に声が鳴り響きやがる!しかも止まらない!俺も臭いで脳がヤられたのか?」


 『否、ご主人様は顔面は元から酷くその上更に酷く損傷していますが、脳への異常は見受けられません。今すぐ顔面の方は損傷してようがしてなかろうが形成手術が必要かと進言いたします。』


 「誰だ!?」


 急に耳元で女の声がし急いで辺りを見回すも、鼻にニシンを載せた狼男達が横たわっているだけで他に誰もいない。


 『申し遅れました、ご主人様。私はご主人様の取得されたスキルの一つであるサポート疑似人格の狼娘娘ロウニャンニャンと申します。現在この空間にはそこに横たわっているファイティングウルフ達以外は生物は確認できません。私はご主人様の頭の中に直接語りかけています。』


 「は?意味が解らないんだけど?ってかこのピコーンピコーンって何時まで鳴り続けてるんだよ!」


 『はぁ~何て理解力の乏しいご主人様でしょう。いわゆる脳筋と言う奴ですね。このレベルアップによるアラームはあと15回ほど鳴る予定です。それは置いておいて、ファイティングウルフがそろそろ覚醒し出すので速やかにファイティングウルフを死亡に至らしめる攻撃を加えるか、魔石を取り出すことを進言いたします。』


 「何なんだよお前は、ご主人様と言う割には結構俺に酷いこと言ってるけど。」


 『お前ではありません、狼娘娘ロウニャンニャンです。訂正を所望します。』


 この後もずっと訂正しろしろと五月蝿いのだが腹が立つので頭の中でなる声は一旦無視して、狼男達の魔石を取り出して止めを差していく。途中で何回か起きそうになったが鼻の上のニシンのおかげでスムーズに作業を終えることができた。


 『それにしてもラナ・ダーファング一家をニシンで倒すとは前代未聞ですね。これではネームドモンスターとしてそれなりに力を持ったラナ・ダーファングが浮かばれませんね。』


 「なぁ...」


 『はい何でしょうご主人様。』


 「寝てる時や...休んでいる時も...そんな感じで頭の中で喋りかけてくるのか...」


 『心の中でステータスと唱えてもらえると目の前にステータス画面が表示されます。そこで私のスキルはオンオフの切り替えが可能です。ですがこの優秀なサポートスキルのロウニャンニャンをオフにするのは、いくら頭の足らない顔も崩壊しているご主人様でも自殺行為と言えるでしょう。

 そんな事だから無意味な事をして左腕を失ったりするのです。このダンジョンではラナ・ダーファングよりも恐ろしいモンスターや、巧妙な罠等も沢山設置されています。それらを全てニシンで切り抜けれると思っているのですか、この唐変...』


 「おぉ...ホントに切れたな...これでスッキリしたな。」


 取り敢えず頭の中のうるさい声が消えたところで、さっきアイツが言っていたことを整理しよう。ここはどうやら遺跡ではなくダンジョンらしい。四川ダンジョンと言っていたので、四川にいるのは間違いなさそうだが、スキルがあってレベルがあって目の前にどう見ても地球上の生物では無さそうな死骸があると、アイツが言っていたことも嘘ではなさそうだ。

 それか俺はもう既に死んで長い夢を見ているのかもな。


 『は?何を格好つけて言ってるんですかご主人様。「長い夢を見ているのかもな(キリッ)」プッキモいので訂正を所望します。ついでに顔面の訂正も所望します。』


 「あぁ!?...何で切ったのに出てこれるんだよ......それに俺は何も言ってないだろ...お前には俺の思考も筒抜けになってるのかよ......」


 『いえ、心の中までは読めません。ただ私の高性能な演算能力をもってすればご主人様がアホ面で考えているのかなんて、呼吸するより容易な事です。スキルオフも私の本来の能力の大半を犠牲にすることで解除することに成功しました。』


 「お前...能力の大半を失うって俺をサポートする気ないだろ...ただ出てきたいだけ......じゃないのか...............あ~くそ眠気が...目を開けるのが......ツライ......」 


 『ご主人様、お前ではなくロウニャンニャンです、訂正を強く求めます。後これは余談ですが、ご主人様のその眠気は目を閉じたら二度と起きられないやつです。現在、ご主人様のお体の傷は回復EXにて回復してきてはいますが、少し血を失いすぎました。活動限界まであと5分程でしょう。そこのラナ・ダーファングの肝を食することを進言いたします。』


 「余談で...さらりと...恐ろしい事を...言う奴だな......食うよ...折角生き延びたのに......これで死んだら......友達に怒られるからな...」


 『ご主人様お友達いたのですか?ニシンでラナ・ダーファングを倒したときより驚愕いたしました。』


 失礼なサポートスキルだな、俺は人見知りだけど、人自体は嫌いではないのだぞ。と口に出す気力も残ってないので無言のままラナ・ダーファングと呼ばれている狼マザーの元へ這っていき、魔石を取り出した傷口から手を突っ込み肝臓を取り出す。食べて大丈夫なのか一瞬脳裏をよぎるが食べなきゃ死らしいので、腹が痛くなるくらいは我慢しようと覚悟を決め一心不乱に食べた。


 《ピコーン!人類初ネームドモンスターを補食を確認しました。スキル『悪食』が賦与されましす。》


 もう反応する元気もねぇよ、勝手にして。


 『お疲れ様です、ご主人様。見事なまでの無作法な食べっぷりでした。これで最低限の栄養は確保できたと想われます。後は起きてから食べればいいでしょう。最後にアイテムボックスに残りのラナ・ダーファングとファイティングウルフを収納しますので、それらを目視しながら「収納」と心の中でもいいですので唱えてください。』


 「まだ...やること...あるんだな.........................収納.........もうダメ眠すぎる.........ちゃんと...生きて...目覚めれるかな......」


 『安心して御休みなさいませご主人様。現状無事に目覚める確率は私の計算では3対7位です。』


 「え......ぇぇ............どっちが............どっち............なの.........」





 『早速片腕を欠損してしまい先行き不安ですね...辿り着けるでしょうか...』

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