第6話 一人
扉の向こう
その先は・・・
校庭だった・・・・・
階段の踊り場を予想していたのに
あまりの差に驚き後ずさろうとするが
ジャリ
足の裏には校庭の砂の感触がする
「え?」
振り向くがそこには校庭のグランドが広がる
「どうして!?」
辺りを見渡す
しかし、俺はいつの間にか校庭にいる
そのことに混乱していた
そして視界に人がちらっとよぎり
その方向に目を移す
するとそこには
「・・・美香・・・??」
少女が一人
咄嗟に出たのは美香だった
そして近ずくにつれて徐々にはっきりとしていく
その姿は美香そのものだった
「・・・あぁ・・・そうか・・・俺も・・・」
みんなの後で俺も同じ末路をたどると感じ
そのまま近づく美香にたいして受け入れるように目を閉じる
サッサッサ
足音が近ずくのにたいしてそのまま
覚悟をして息をのんで待っていた
サッサッサ
しかし足音は近づいたのちに
そのまま通過していった
「!?」
一瞬何が起こったのかわからず驚きのまま目を開く
するとさっきまで正面にいた少女は視界から消え
代わりに後ろに気配を感じる
その気配をたどり振り返る
一人の女性が花束を手にたたずんでいた
「!!」
女性もそうだが校舎があった場所にそれがなく
そこに向かい女性が花束をむけている
奇妙にあふれた光景が目の前にあふれた
その光景を追うように足が前にでる
近ずくと女性が何かを何もないその方向に話している
その声は聞き覚えがあった
「・・・美香・・・??」
確かめるためにその女性の横に立つ
女性は涙を流し
花束を置き顔を前にした
「・・・美香!!」
女性はきれいな顔立ちをしていて
瞬間的にはわからなかあったが
確かに美香の特徴を残してくれていた
「美香!!美香!!!」
そういって彼女の肩をつかもうとしたとき
スーっと手が通り抜ける
「え?え?」
実体を掴めなかったことに動揺する
しかし、その俺の動揺とは裏腹に
美香は空虚な空間に話し出した
「みんな・・・久しぶりだね・・・なかなか来ることできなくて・・・ごめんね」
美香は俺に気づいていないように話している
「美香!!俺だよ!!」
気づいてもらおうと前に立つがそれでもなお
彼女は気づかない
そして
「もうどれくらいたったかな?みんなでかくれんぼしたあの日・・・あの時・・・」
そういって言葉を詰まらせている
その彼女の表情、そして空気にこちらも何も言えなくなる
少し間をおいて
「あの時みんなが私を置いていって正直仲間外れにされたってすこし寂しかった・・・でもそのあとみんながあんなことになるなんて・・・」
彼女の言葉そしてこの状況が最初は理解できなかった
しかし
今の彼女の言葉で自分の中で引っかかっていた何かが融解されていく
「「交通事故」」
彼女と俺はぼそっとだが同じタイミングで言い放った
そのあと彼女は続ける
「あの日いつもの帰り道だったんだよね?そこでまさか・・・暴走トラックなんて漫画みたいなこと・・・けどそれにみんな巻き込まれたんだよね・・・」
とうとうと話す彼女
それに何も言えずただ見つめる俺
「智也君はそのまま農業用水路にとばされて見つかった時は・・・苦しかったよね?
智也君だってわかるまで時間かかったもんね?」
その言葉と俺たちが見た智也らしき物の姿がフィードバックされる
その後も美香は続ける
「恵理?それに隼人君?二人も痛かったよね?大人に見ちゃダメって止められていたけど、血がいっぱい流れて私泣くことしかできなかったよ・・・」
その言葉にまた二人の最後が頭をよぎった
「匠くん」
不意に名前をよばれて彼女の顔を見た
「匠くんはがんばったよね?あの事故の中一人・・・なんとか生きてほしかった・・・でも、もう匠くんにも会えないね・・・」
その言葉のあと悟った
俺は・・・もう・・・
「寝たきりの匠くんにいつも上げていた花束・・・今年は4人分この校舎後に置くね・・・みんなが私を置いていったのは・・・きっと私を助けるためだったんだよね・・・ごめんね・・・ありがとう・・・」
涙を流す美香・・・
そしてその姿を見つめる俺
そのまま俺は空を見上げた
「あーー、そっか俺たちだったんだな・・・」
きっと俺たちはこのことが気がかりでいくつになっても
繰り返してるんだ
美香が生きていることを知らず
自分たちが死んだことも知らず・・・
いつまでも
いつまでも
「モウイイカイ?マダダヨ!」
オワラナイミンナノナツ
ツヅクカクレンボ・・・
ナツノオモイデ ta-KC @take0520
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