第4話 開かない

遅れて到着するなか

隼人の怒号と大きな音は鳴り響いていた

隼人は扉を叩いては引いての繰り返し

そして大きな声を上げる

「くそ!!誰か!!」

そして

「匠手伝ってくれ!!」

こちらに気づいてすぐさま声をかけられる

「どうした!?」

「見ればわかるだろ!!開かないんだよ!!」

そういってこちらの答えにイラ立ち

そして状況に混乱していることを隠すことなくぶつけてくる

「わかった!今手伝う!!」

そういって恵理から離れて

隼人のところにかけていく

そして共に扉にてをかける

しかし、押しても引いてもびくともしない

そんな状況をまさに体現したような状態だ

「なんで?まさか、入れ替わりで俺たちがいるのに鍵を?」

この状況を考えることしかできない

「あんなに声出していたの誰も気づかないはずないだろ!?」

行き場のない怒りを俺に向ける隼人

「落ちつけってなぁ?」

落ち着くように促す

「・・・ごめん・・・けど、どうすれば・・・・」

いつもはみんなを引っ張る隼人

あまりの出来事に混乱している自分を認識してはいるようだ

思考する中

「他の教室の窓からでれない?」

後ろで恵理が提案する

「なるほど!!それだ!!!」

恵理の提案に隼人は喜々とした

そういって教室の方向に向かう

それをまた二人で追った

だが先ほどは開いた教室が開くことはなく

「どうしてだよ!!」

また隼人は声を荒げていた

明らかにいらだっている隼人

普段とは違う空気に焦燥感がみんなに伝わる

「とりあえず次に行こう!」

「・・・ああ」

その中せめて冷静に努める俺

精一杯の思いで言葉を出していた

そうやって教室の扉を引いては落胆してをくりかえし

とうとう一回最後の教室・・・

それは

「ここか・・・くそ!!」

隼人が落胆を示す

なぜなら

「ここは開いてなかったもんね・・・」

恵理が言う通り最初に職員室だと思いみた教室だった

落胆を表す一同

そして何げに俺は扉に手をかける

「匠、さっき開いてなかっただろ?」

「一応な」

そう言いながら言葉をつづける

「二階から降りることも・・・って、え?」

不思議と今までの扉の重さがなくそのまま

スーっと

横にスライドされる

「「・・・」」

その状況を二人はぽかんと見た後

「やった!!開いたよ!!」

恵理が喜んで声を出す

「よし!!これで!!」

隼人も喜び声を上げる

その中自分でも驚いていた俺は二人の反応でようやく理解し

「じゃ、中に」

その言葉と共に恵理が走り中に入る

「早くしよ!」

俺たちに振り返り話したところ


スゥゥゥーバン!!


扉が鋭い音を立てて閉まる

「恵理!」

慌てて声をかけながら扉を開けようとするが

びくともしない

「匠なにしてんだよ!!かわれ!!」

隼人が肩をつかみそのまま入れ替わり扉を開けようとする

「ぐ!!!はっ!・・・なんでだよ!!」

隼人も力いっぱい扉を引くが動くことなかった

「おい!恵理?大丈夫か!?」

隼人が扉を開けようとする中恵理に声をかける

「たっくん!?・・・開かない!!どうして!?」

恵理もかなり焦っているようだ

「わからない!そうだ!隼人二人で!!」

そう話しかけた

隼人は俺の言葉に早々に理解を示し

二人で扉に対峙した

「いくぞ!!」

隼人に声をかけて

「「せいの!!」」

二人で息を合わせて扉に体当たりをする

ドン!!

鈍い音をたてる扉しかし

びくともしていない

「!?もう一回!!」

隼人が声をかける

「「せいの!!」」

そうやって何度も繰り返す

・・・

ドン!!

・・・・

ドン!!!!

勢いをつけて何度も当たっていくが

驚くほど変化がない

「どうなってるんだよ!!」

隼人はそう言いながら扉を何度も蹴るが

やはり変化はない

「恵理!!大丈夫か!?」

どうすることもなく声をかける

「たっくん!?隼人!?早く開けて!!嫌だよ!!怖いよ!!」

恵理も怯えた声を扉のむこうから出す

「そうだ!恵理!!ドアは!?ドアは開かないか!?」

隼人が問いかける

「ダメ!調べたけどどこも開かない!!鍵も開いてるはずなのにドアが開かないの!!」

「なんで開かないんだよ!?」

隼人が声を荒げるが

「わからないよ!!助けてよ!!!」

恵理も叫びながら答える

その声に隼人は下を向き

「なんなんだよ!!!!!」

どうしていいかわからないその思いがすべてそこに詰まっていた

「たっくん!?たっくん!?」

恵理から声をかけられる

「どうした!?」

あわてて反応を返す

「助けてよ・・・たっくん・・・早く開けてよ・・・」

涙声とぐすっぐすっという音が扉のむこうから響く

「わかったもう一回やってみるから恵理は扉から離れて!隼人!!」

そういって隼人に話しかけるが隼人は膝をつき

「こ・・・なん・・・・」

小さな声で何かつぶやき反応を示さない

「隼人!!」

もう一度声をかける

しかし、隼人はかわらない

反応がないことにしびれを切らし俺は一人で扉を破壊しようと動く

ガン!!ドン!!ガン!!!!

何度も繰り返す

しかし、開くこともなければ形を変えることもない

「こんな!?どうなってるんだよ!!」

開かないにしても形すら変えない扉それにさすがにいら立つ

その間も

「たっくん・・・たっくん・・・」

扉の奥では恵理がつぶやいていた

それに「大丈夫だから!」と返すことしかなく

重い時間が刻々と過ぎる

諦めることは出来ない

智也がいなくなった

そして昔に美香もなくしてしまった今

これ以上大切な者をなくしたくないその一心で扉と向き合う

そのとき

「え??」

恵理が何かに気づいたように声を上げる

「どうした!?」

それに

「どうして?なんで!?いや!!」

何かに恐怖する恵理

「おい!!どうした!!恵理!!」

「いや・・・いや!!助けて!!たっく・・・」

一瞬言葉が途切れた後

「キャー――――!!」

悲鳴が響いたのち

ドン!!!!!!!!!

二人で扉に当たったときのどの音より

大きくそして鈍い音がした

その音に隼人も顔を上げる

それと同時に

ビジャ!!!

なにかつぶしたような音がしたのと同じに

扉の小さな擦りガラスいっぱいに赤い黒い液体が広がる

その衝撃的な出来事にそのまま後ろにのけぞるように転ぶ

視線をその扉から外すことは出来ずそのままみていると

下の方からガラスについただろう同じ液体が廊下に這い出してきた

すると

「あ・・・あ・・・・ああああぁぁぁぁぁぁ!!!」

そう叫んで隼人が走り出す

その様子を見ながらも隼人を追うこともできず

ただその場に尻もちをつきながら

「恵理?恵理!!」

「・・・」

返事はないわかっていた

だが

「恵理!恵理!!」

確認せずにはいられなかった

だが

「・・・・」

帰ってくるのは

沈黙・・・・

「そ・・・んな・・・」

正直どうなっているのか

状況が全く飲み込めない

だがわかった

恵理は・・・

「え・・・り・・・」

立ち上がり扉に近ずく

すると液体のヌルっとした感触に足を取られる

「あ・・・ああ・・・」

恐怖が体全体を覆う

隼人が叫んで逃げ出した行為がよくわかる

「隼人・・・そうだ隼人は!?」

周りを見渡すがすでに隼人の姿はない

「さがさなきゃ・・・隼人を・・・」

今起きことが整理できないだが隼人を探さなければ

その思いで動き出す

だが液体のついた靴はすべり動きずらい

整理できない何らかの想いと共に靴をその場に置き

隼人が走り出した方向に歩みだす

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