第3話 二階~三階
「なんか、暗くなってきたら怖いね?」
恵理が話す
「そうだな・・・しかもどこも明かりついてないし・・・早くまわろうか?」
「うん、なにかあったらたっくん守ってね?」
恵理は冗談ぽい笑顔を作りこちらに話しかけてくる
「ははは、わかったよ」
その笑顔に内心すこしドキドキしながらも
笑顔で返す
いつも恵理は明るい
こんな時にも笑顔で話しかけてくれる
本当なら俺がその役目を担ってあげるべきなのに
そんな情けなさもすこし感じてしまう
静寂の中二人の足音だけが鳴る
何事もなく進む廊下
お互いの距離は保たれていたはずだが
心なしか恵理がこちらに詰めてきたように感じる
やはりこの雰囲気の中、恐怖があるのだろう
(しっかりしないとな・・・)
”「ぐぅぎゃあああぁぁぁぁぁぁ!!!!」”
ビックン!!
二人同時に体が跳ねる
「なに!?」
恵理が先に声を出した
「三階!?智也の声!?」
俺も動揺しながらも反応のままに話す
視線をあわせて
「三階にいこう!」
恵理に言いそのまま二人で階段へと走り出した
・・・
数分前・・・
・・・
三階
「ちょっと遊びに来ただけなのに、まさかだな~」
「そうだな~さっさと見て戻ろうか~」
智也の言葉に隼人が返す
「なぁ?」
智也がニヤつきながら隼人に話しかける
「どうした?」
「恵理はうまくやってるかな?」
「あ~恵理な~匠も驚くほど鈍感だからまだ気づいてないじゃないか?」
隼人も笑いながら返した
「だよな~正直気づいてないのあいつだけだからな~」
お互いに笑っていた
そして互いに早く帰るため教室を個々にみた
スムーズに進む中
智也は不思議な光景をみた
「あれ?」
開けた部屋は理科室・・・のような部屋だった
「こんなところに理科室なんてあったけ?」
なんとなく感じる不自然な感じ
「とりあえずここは・・・・」
そう言って振り返り戻ろうとした
シャーーーーーー!
激しい水の流れる音
おどろき振り返ると
理科室のよくあるシンクの一つの蛇口から勢いよく水が流れる
「!?」
言葉が出ない
「・・・」
その場所に恐る恐る近づこうとする
しかし、物陰に気配を感じ目をうつすと
そこには小さな女の子が
「え?み・・・」
言葉を出そうとした瞬間
強力な力でシンクの方へと引かれる
「ぐっ!!」
何とか耐えようと物しがみつくが
力に耐えれえずシンクの蛇口へと吸い込まれる
「ぐぅぎゃああああぁぁぁぁぁぁ」
・・・
「智也!!」
隼人はいち早く声がする教室に飛び込み
しかしそこには智也の姿はない
さわがしい足音のの中
恵理と匠が到着する
「どうしたの?智也は!?」
恵理が慌てたように聞く
「わからない、智也!!」
隼人は話を聞きながらも教室へ声をかける
それと共に中に入るがどこにも智也の姿はなく
机が並ぶ普通の教室・・・
どこにも乱れはない
「おい!冗談なら早く出て来いよ!!」
少しいらだちと不安を覚えた声で隼人は探し続ける
それと同時に俺も恵理も探す
掃除の道具をしまう場所すら探した
が、
智也はいない・・・
「本当にここに智也はいたのか?」
隼人に問いかける
「ここをみていた!それはたしかだよ!!」
隼人は慌てながら答える
動揺が三人に走る
その中廊下の水飲み場から
”シャーーーーーー”
蛇口から水が流れる音
「「「・・・」」」
沈黙する三人の間に
水の流れる音がずっと響く
そして無言で隼人は足を外へと向ける
それに何も言わず僕たち二人は歩いてついていく
そこにはただただ流れる水が目に入る
「智也!!ちょっと悪戯にしてはたちが悪いぞ!!」
隼人は完全にいらだって声を上げる
そうしながら水飲み場に近ずくとそこには異様な光景が広がる
「え!?」
つい声が上がってしまう
そこには形容し難い物体がシンクにあった・・・
見るからにブヨブヨしたような肉・・・ようなもの・・・
そして白い固体がそのブヨブヨしたものから見え隠れしている
一瞬なにかわからず固まるが
すぐにわかってしまった
「これって・・・」
俺は声を出すそのあとに
「きゃーーーー!!なにこれ!?これって!!!」
恵理が取り乱す
そしてすぐにえずく
「まさか・・・智也?そんなわけ・・・?嘘だろ?」
隼人が言葉を出す
誰も思わないだろうがなぜか三人はわかってしまった・・・
形容し難い何かは智也の肉体だと・・・
理由はわからない
だが頭によぎったのだ
なぜだがはわからない
だが、みんなも同じようだ
俺は後ずさることしかできなかった
「で・・・電話・・・電話しないと」
隼人が言いながらスマホを取り出す
震える手で動揺しながら持つスマホだが
「なんで・・・?なんでだよ!!」
声を荒げる
「どうした?」
隼人に声をかける
「電波がないんだよ!?こんな街中で!!ありえないだろ!!」
そんな風に怒りをあらわにしている
動揺をかくすことなくそのままにあらわにするなんて
正直隼人らしくない
だがそれほどの異常事態
恵理はえずくではなくシンクに吐いてしまっていた
一人一人正常な反応ができないままでいる
「とりあえず、外に出よう!!それからなら!!」
「そうだな!行こう!恵理!!行くぞ」
声をかける隼人
それに恵理は気分が悪い様子をそのままに
うなずいて歩き出す
「恵理、大丈夫か?」
そう声をかけて支える
「ありがとう・・・」
小さな声で答えた
先を急ぐ隼人の後を二人でゆっくりとついていく
いつの間にか見えなくなる隼人の背中
だが、恵理を気にして速度はあげない
ただ着実に歩を進めた
すると
「なんでだよ!!」
ドン!ガン!!ドンドン!!
一階から怒号と大きな音が響いた
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