第13話:夕焼け空
そこから北へ北へと向かって行った。
今、98°というグループの曲がかかっている。
優しい曲だ。うとうとしていた時である。
「着いたぞ。」広樹が言った。
「ここをキャンプ地とする!」あほかと。
「え?ええー?」と私。
「嘘だよ。女性がいるのに野宿なんて出来るかよ。それぐらいさっすれよ。ただし、夜までここにいるけどな。」
「何をしに?」
「夕日を見に。」
本州方面で住んでいる私にとって、夕日をじっくり見るのは初めてだった。
それに今日は雲一つない。
広樹は多少雲があった方が綺麗だと言っていた。
気付いてみるともう夕日の始まりだった。
いちご:きれいだね。
私:さすが黄金と名が付いているだけあるね。
広樹:モニュメントもかっこいいよな。
時は移り、もうすぐ沈む所まできた。
空は真っ赤だった。
もはや言葉はいらない。
聞こえるのは波の音だけ。
自然のサラウンドだ。
ただただ時を感じていた。
夜になった。
広樹は私に「おい。何か一句作れよ。」と命令してきた。
「仕方ねーなー。」俺は言った。
しばしの沈黙。
『沈みゆく さざなみの音と 夏かげろう 夢を抱いて 沈む太陽』
「すっげ。さすが早春。」
「ま、字余りだけどな(笑)」
日本語って本当綺麗である。
星空の下、宿に向かう3人。
星を眺めながらのドライブである。
私は、そこにいるだけで幸せだった。
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