第6話:試練の月日

それから一人きりの戦いが始まった。

大学は去年受けた公立の大学と、予備として専門学校の医療機械系の学科をそれぞれ受けた。

結果は大学は落ちて専門学校は受かった。

滑り止めとして受けておいたのだが、受かったので親と相談した。

そして金銭面は親が援助してくれる事になり入学が決まった。


学校が始まってしまえば後は楽である。

お金の許す限り広樹と遊んだ。

広樹からの話では2人で仲良くしていて、時たま会ってるらしい。

私はそれでいいと思い込んだ。

それが彼女にとっても私にとっても最良の選択だと。


ネットではたくさんの友達ができた。

ほとんどの人は浪人生の受験を受け終えて受かった人だ。

1ヶ月もすると彼女の話はもう聞きたくないので、親友の広樹と会うのをやめた。

自分はネット友達とのチャットで毎日夜飲んで生活していた。



次の年の入学式になった。

私の受けた学科は臨床工学技士学科(CE:クリニカル エンジニアリング)。

医療系の中でも、人工透析や人工心肺装置など医療機械系のエキスパートだ。

機械系は得意だった。

なので自分にぴったりな職種だなと思った。


勉強は難しかった。

でも、自分が望んだ職業の勉強なので、絶対にCEになるために死ぬほど勉強した。

医療のために何もかも捨てる覚悟だった。

楽しみは夜やるパソコンと将来像を夢見る事だった。


その学科ではいつの間にかトップクラスの成績になっていた。

そして順調に進学すると誰もが思った。

期末試験の頃である。

子供の頃かかっていたネフローゼが再発した。

勉強によるストレスが引き金になったのだろうか。

学校を休んで治療の生活が始まった。

そして出席日数が足りなくなったのである。

私は留年するつもりでいた。

しかしである。

親がこれ以上資金提供できないと言ってきた。

私は借金してでも通うつもりでいた。

だが、親の説得で実家に帰る事になった。


実家に帰った。

しかし未来への目的を無くしてしまった。

現在は無職である。



私は空想するのが好きである。

なのでその頃から短編小説を書くようになった。

別に売りたいとかそういうのではない。

単なる昔を思い出しての暇つぶしである。

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