第2話
生まれてから2週間がたった。
赤ちゃんが親に自分の意志を伝えるのは相当難しい。
それをこの2週間身にしみてわかったきがする。
母乳飲むのと寝ること以外は何もなかったから、色々考える時間があった。
普通は生まれた直後からこんなに高度な思考はできないんだろうけど。
まあ、それで前世のことをちょっと考えていた。
俺は前世で死んだ…んだと思う。
そうでなければこんなこと起きないと思うし。
だから死んだと仮定すると、死因はだいたい予測できる。
過労死だ。
転生したって気づいたときも思い当たったことだ。
死んでなかったら、今も寝ずに仕事しているだろう。
じゃあ、死ぬことがわかっていたならもう少し休みを取っていただろうか?
それはないなと思う。
俺は、普通のサラリーマンだったけど仕事することは嫌いじゃなかったし努力していると思えばいくらだってしてられた。
でも、……もし、悔いがあったとすれば仕事の内容だろう。
……できればもう少し自由なことをして自由に過ごしたかった。
みんなと同じようなことじゃなくて自分オリジナルなことをしたかった。
まあ、言うのは簡単だけどするのは難しいってやつだろうな、これ。
けど、せっかくもう一回人生を送れるんだ。どうせなら、前世の悔いを改めたい。
どうせなら自由に生きて精一杯頑張りたい。
そのためには、集団から一歩外にでなくてはならないような気がする。
それは、前世ではできなかったこと。
前世のあの『集団に馴染むこと』が得意で自分から集団に入っていく俺ではできなかったことだ。
だからこそ、2回めの人生を送れるからこそ、集団にはなじまない。自由に自分のしたいことを全力で努力することにしよう。
そう決めた。
…そう決めたはいいけど急にお腹が空いてきた。
「おぎゃーおぎゃー」
「お腹すいたのね。はいどうぞ」
そろそろフォラキオ母さんも俺が何を言いたいのか察してくれるようになってきた。
ごくごくごく
ぷふぁ
はーあ
寝よ。
――――――――
一大決心をしてから2週間。
集団に馴染まずに自由に生きるって決めたはいいけど…何すればいいんだろう…。
外とかに出れればいいけど、今は手足すら満足に動かせないし。
結局2週間何もできていなかった。
しょぼん。
この2週間を振り返ってみてそう反省をするルーク。
しかし、それでも何も収穫がなかったわけではなかった。
この2週間、周りの人の話を聞いて自分がおかれている状況とこの世界について少しわかってきた。
まず、俺、ルークの家族構成についてだ。
母のフォラキオと父のトリケラトプスはもうわかっていたが、新たに5歳上の姉がいることがわかった。
姉はチョークと言うらしい。
それから身分だがどうやら平民らしい。
はじめから貴族で勝ち組、とはさせてくれないみたいだ。
それから、職業上の区分としては農民。
これは、父トリケラトプスの服装と家にいない時間、言動などから判断させてもらった。
平民で農民ときたら、この世界の技術は少し元の世界よりも遅れているのではないかと推測を立てた。
まだ外に出ていないからなんとも言えないけども。
他にはこの世界には魔法なるものがあるらしい。
これは、母が料理中怪我をしてしまったときに何やら魔法陣的なものを患部のところに出していたから気づいたものだ。
それに興味を示すと、色々説明してくれた。
体内には魔力があって、―――――
と長々と説明された。
母は魔法師だったのかもしれない。
しかし、魔法がある世界となるとその他の技術が少し遅れ気味だったとしても納得できる。
科学ではなく魔法で生活レベルを上げているのだろう。
ちなみにこの世界の平民は人によりけりかもしれないが、案外裕福なのかもしれない。
家は大きいしきれいなのに加えて、姉は習い事をしているみたいだからだ。
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