第2話 宝物のような命だから



「過保護だってよく言われるよ」


「でも、かけがえのない物を手に入れてしまったから」


「たった一度でもなくしたくないんだ」


 宝物みたいに大事にしようって思えたんだ


 君が産まれてきた時に

 その小さな手でこの指を握りしめた時に

 無邪気な笑顔で微笑みかけてくれた時に


 何よりも大切だと思えたから

 何よりもその命の輝きを尊いと思えたから


 何が何でも

 何もかもから守ろうと

 そう思ったんだ


「お誕生日おめでとう」


「生まれてきてありがとう」


「これからも長生きしてほしいなぁ」


 世界にはたくさんの悪意が満ちていて

 落とし穴だってそこら中にある


 だから何が何でも守りたいと思ったんだ


 どうか 君が幸せに生きられるように


「私の人生は私のもので」


「親の人生は親のもの」


「そうでしょう。だから、もう、いい加減に……」


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