第3話 名前のない少年



――その少年は、何物でもない何か


 名前がない


 思い出せないんじゃない


 僕には与えられなかったんだ


 だから僕は「誰でもない」


 生まれ落ちてきて「誰からも必要とされなかった」


 さびしいな

 つらいな

 かなしいな


 どうしたら名前を与えてもらえるのだろう


 考えても分からないや


 名前って「ちょうだい」って言えば


 誰かがくれるのかな


「つけて」って言えば


 誰かがつけてくれるのかな


――何者でもない何かであるのは、彼が一人だから




「ストーリー」

 名前、ほしいな。

 でも無理だ。

 だってここには僕しかいないんだから。


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