第17話 無理ゲーミッション
チュートリアルミッションⅡ
聖獣のテリトリーから命懸けで脱出せよ(1/1)
まあこれも達成済みだ。
実質不死身になったからどうにかなったが、あれはどう考えても達成不能だと思うんだが……
難易度インフェルノを考えた奴、絶対頭おかしいだろ。
ってか、ドラコって実は魔物じゃなくて聖獣なんだな。
まあどうでもいいけど。
報酬は――また武器だった。
しかも全く同じ種類の武器だ。
まあチュートリアルだから仕方がないのかもしれないが……
「スリングにしとくか」
他に欲しい物もないので、強化素材として貰っておく事にする。
そして今度も補填という事でもう一つ貰えた。
それも当然スリングを選ぶ。
チュートリアルミッションⅢ
魔物を倒せ!(1/1)
魔物は毒ガエルを倒している。
ほぼ相打ちだったが、ミッションは問題なく達成になる様だ。
ま、レベルも上がってる訳だし当然か。
「お!今度の報酬はスキルのインベントリじゃねぇか!」
ゲームなどでよくある、荷物を纏めて謎空間に収納出来るアレだ。
それまでのしょぼい報酬とは違い、これは超有難い。
例の裏技でステータスを確認すると、アクティブスキルの欄にインベントリLv2が増えていた。
レベルが初めっから2なのは補填の影響の様だ。
ミッションⅣ
街へたどり着け!(1/1)
「達成報酬は、隠しコマンドであるステータスの出し方……か。あの糞妖精、特別サービスつっときながら、実は只のチュートリアル報酬じゃねぇか!」
騙された感が凄い。
それと……チュートリアルで公開されるのに隠しコマンドって名称、なんかおかしくね?
隠す気ねーじゃん。
「まあ細かい事はいいか」
次のページに進むと、ファイナルミッションとデカデカと表示されていた。
内容は、目の前に現れたムカつく金髪野郎を倒せと書いてある。
「いや……いやいや……いやいやいや……無理だろ!さっきこいつAクラスハンターつってたぞ!?」
魔物を真面に倒せるか怪しい俺が、強力な魔物を狩るであろうAクラスのハンターを倒すなど無理ゲー過ぎる。
ひょっとして、時間が停止している今の内にボコボコにしろって事か?
「いってぇ!?」
試しに金髪の顔面を殴ってみた。
とんでもない硬さに、拳を痛めて俺は涙目になる。
感触が完全に無機物のそれなので、どうやら時間停止中にダメージを与えたりは出来ない様だ。
流石にそれが出来てしまったら、この状態を維持して魔物を狩りまくれちまうからな。
まあ当たり前か。
「一応期限は10日あるみたいだけど……まあ無理。報酬は死ぬ程欲しいんだけどなぁ」
ミッション報酬はクリア前にも見る事が出来た。
このミッション――すなわちチュートリアルクリア報酬は、魔力付与というスキルだ。
恐らくこれを使って魔力を獲得しろって事なのだろう。
魔力さえあれば、奴隷とバレないかと怯える必要は無くなる。
だがどう考えても、たった10日でAランクハンターを倒すとか無理げーだ。
諦めるとしよう。
‟次へ”をタッチして画面を進め、俺は顔を顰める。
そこにはチュートリアルミッション失敗時の、ペナルティが載っていた。
「マジかよ……」
期限内にミッションを達成できなければ、現在取得している全てのスキルを喪失する、と。
今俺が自力で覚えてるのは耐性系だけなので、別に失ってもそこまで痛くはない――嫌と言えば嫌ではあるが。
問題は、チュートリアルで手に入れたインベントリのスキルまで消えてしまう事だ。
しかもミッションを失敗するともう二度とチュートリアルを受けなおす事は出来ず、限定スキル――そう書いてある――であるインベントリと魔力付与はこの先絶対手に入らなくなってしまう様だ。
「酷くね?」
チュートリアルで無理ゲー強いた挙句、クリア出来なきゃ重要スキルは無しねとか。
いくら何でも酷すぎる仕様だ。
一応手に入れた武器は残る様だが、ぼろいスリングだけ手元に残るとか誰得だよ。
「何もせず諦めるには、流石にペナルティがなぁ……」
一応ダメ元で挑戦はしてみるか。
幸い死んでも生き返れる訳だしな。
取り敢えず、リミットギリギリまで頑張ってレベルを上げに勤しむとしよう。
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