第13話 猛毒耐性Lv1

「猛毒耐性Lv1か……」


頭上に描かれた文字を読む。

どうやら俺はサソリ型の魔物の一刺しで死んでしまった様だ。


つーか、猛毒と毒で耐性別なのか。

そんなもん一緒に纏めろよ。


「益男。不死身だからと言って、油断は禁物じゃぞ」


別に不死身どうこうで油断していたわけじゃない。

異世界サバイバルに純粋に慣れていないだけだ。


「この草むら、サソリだらけなのか?」


「いいや。サソリの気配は殆ど感じんよ。さっきのはたまたま運が悪かっただけじゃろう」


それを聞いて安心する。

足元からの見えない相手の襲来に怯えながら進んでいたのでは、いつ街に着けるか分かった物じゃない。

安心した俺は草むらをザクザクと進む。


「おい、足元に――」


ドラコが口を開くが、その言葉を最後まで聞く事は無かった。

足元から何かに突き上げられ、俺の体が空高く舞上がったためだ。

そして其のまま頭から地面に激突し、俺は死んだ。


「ウォームの巣穴が開いているぞ、と。忠告しようと思ったんじゃがな」


言うのが遅い。

俺は立ち上がり、頭上の文字を確かめた。


激突耐性Lv1。


「出来れば早い目に頼むよ」


草原に入ってまだ50メートルも進んでいないのに、既に3回も死んでいる。

このままじゃいつ街に辿り着けるか分かった物ではない。


「別に生き返るのだから、これも経験と割り切ってはどうじゃ?」


俺が死なないからって軽く言ってくれるぜ。

痛覚鈍化があるとはいえ、痛いものは痛いんだ。


「まあ次からは不意打ちを受けんよう、早めに言ってやろう」


俺がドラコを恨めし気に睨むと、彼女は肩を竦める。


「所で、ウォームやサソリはドラコが倒したのか?」


カエルの時は気を使って残しておいてくれた事を思い出し、尋ねる。

個人的には魔物と戦うのは避けたい所だが、レベルを上げなければ現状お話にならない。

だからさっきの蛙の時の様に、勝てそうな奴なら残しておいて欲しかった。


「サソリは逃げて行ったぞ。ウォームはお主では勝てそうにないから、始末しおいてやった」


「そっか」


どうやら残す魔物はちゃんと選んでくれている様だ。

強いのを残されても、追加で痛い目を見るだけだからな。


「出来たら勝て無さそうな奴は避けて進みたいから、気づいた時点で教えてくれ」


「逃げ周っていたのでは強くなれんぞ?」


正論ではある。

が、それは普通の場合だ。

レベルと言うチート補填を貰っている俺は、いかに安全に美味しい魔物を狩るかが全てだ。


試練など不要。


「兎に角、今はさっさと街を目指したいんだ。協力してくれ」


「しょうがないのう……どれ、わしについて来るがよい」


そう言うとドラコは俺の横を取り抜け、すたすたと歩いていく。

どうやら魔物は彼女が露払いしてくれるようだ。


しかし足早いな。


普通に歩いている様にしか見えないのに、彼女の姿はぐんぐん先に進んでいく。

取り残されても叶わないので俺は小走りに彼女の後に続いた。

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