第12話 異臭耐性Lv1・毒耐性Lv1

「やっと抜けた……」


森を抜け、俺はほっと胸を撫で下ろす。


刺突耐性Lv3に強酸耐性Lv3。

あの後10回近く魔物に殺されて得た物だ。


結局、森を抜けるまでにスライム一匹倒せなかった。

早々に心がくじけてしまいそうだ。


敵強すぎ……てか、俺弱すぎ。


「お、新しい獲物じゃぞ」


そう言うと、くさっぱらの向こう側をドラコが楽しそうに指さした。

俺は目を凝らして見るが、全く見当たらない。


「本当にいるのか?」


「草に隠れて姿は見えんが、匂いと音で分かる。真っすぐこっちに突っ込んできておるぞ」


俺は牙を剣に変え、身構える。

まあ身構えたところで、結局またやられるだけなんだろうけど。


がさがさと草むらが揺れ、中から大型のカエルが姿を現した。

サイズは50センチぐらいだろうか?

蛙としては糞でかいが、魔物と考えるとかなり小さい。


とは言え、こいつと似たサイズのキラーラビットに何度も殺されているのだ。

到底油断する気にはなれない。


「ぐえぇぇぇ!」


蛙が鳴き声と共に、口から何かを飛ばして来た。

突然の事に反応できず、俺は思いっきりそれを顔面に喰らってしまう。


……くさっ!


くさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさ……


俺は死んだ。


「おきろー」


「あいたぁ!」


ドラコに頭をけ飛ばされ、目を覚ます。

もう毎度の事なので、流石に慣れてきた。


頭上でファンファーレが鳴り響き。

見ると異臭耐性Lv1と毒耐性Lv1の習得が表示されている。


どうやらあれには毒が混ざっていた様だ。

まあいくらきつい匂いとはいえ、流石に異臭だけでは死なないよな。


「それ、続きじゃ」


「へ?」


ドラコが顎をクイと動かす。

見ると蛙はその場で動かず固まっていた。


「負けっぱなしでは男が廃ると思っての。残しておいてやったぞ。それとも、尻尾を巻いて諦めるか?」


ぬう。

嫌な言い方をしやがる。


しかしこのままじゃ、レベルを上げれずゲームオーバー状態に近い。

挑発に乗る訳じゃないが、ここは気合を入れてこいつを倒そうと思う。


「やってやるぜ!」


俺は剣を振りかぶり、真っすぐ蛙に振り下ろした。

防御は考えない。

相打ち上等だ!


奴の吐き出す毒が俺の顔に直撃する。

それと同時に俺の剣が奴を切り裂いた。



「見事だったぞ」


意識を取り戻して上半身を起こすと、ドラコに褒められた。

どうやら上手く倒せたようだ。


頭上でファンファーレが鳴る。

だがいつもとは違う。

少し豪勢な感じだ。


見上げると、空中に刻まれた文字は俺のレベルアップを示していた。

どうやら力とHPが1づつ上がった様だ。


なんかしょぼい……


いや、割合で言ったらHPは6から7で16%アップ。

力に至っては2から3で1,5倍も上がっている事になる。

ある意味大増量だ。


それに塵も積もればと言うしな。

頑張ってレベルを上げて行こう!


そう心の中で自分を励まし。

俺は立ち上がる。


「さあ行こう!」


そういって俺は草むらに雄々しく乗り込んだ。


「うっ……」


次の瞬間、何かに刺されて俺は死亡した。

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