第167話167「誤算の誤算」
「レコ・キャスヴェリー! さあ、今こそあなたに渡した闇属性呪界魔法の入った魔道具『魔神の抱擁』を使いなさいっ!!」
「「「「「っ!!!!!!!」」」」」
ミモザの言葉を聞くと同時に、全員が集団の一番後ろにいるレコを一斉に見た。すると、そこには『ブローチのようなもの』を握り締めたレコが震えながら立っていた。
「ま⋯⋯『魔神の抱擁』じゃとっ!? いかん! それはマズイ! レコ・キャスヴェリー君、やめるんじゃ!!」
学園長がミモザが呟いた『魔神の抱擁』という魔道具名に激しく動揺しながら、レコに魔道具の使用をやめるよう叫ぶ。
「わ、わたしは⋯⋯わたし⋯⋯は⋯⋯」
皆が見つめる中、しかしレコはその魔道具『魔神の抱擁』をワナワナと体を震わせながらギュッと握り締める。
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい!! わ、わたし⋯⋯わたしは⋯⋯ミモザの命令に背くことは⋯⋯でき⋯⋯な⋯⋯」
レコは涙や鼻水でグシャグシャになった顔のまま、そう呟いて『魔神の抱擁』を発動しようと魔力を込めようとした⋯⋯⋯⋯その時だった。
フッ⋯⋯。
「レコ、もう大丈夫だ」
「え?! カ、カイト⋯⋯っ!?」
見ると、カイトがいつの間にかレコの後ろに回っていた。
「なっ?! い、いつの間にっ! ていうか、なぜそこにお前がいるっ!! カイト・シュタイナぁぁぁーーーーーー!!!!!」
ミモザから放たれた大きな威圧がカイトに襲いかかる⋯⋯が、まともに受けたはずであったカイト本人は特に苦しむこともなくケロッとしている。
「なっ!?⋯⋯⋯⋯ば、化け物⋯⋯め」
「おまゆう」
そう言って、カイトはミモザの威圧を
「レコ。お前の
「えっ?! だ、大丈夫ってどういう⋯⋯そもそも、どうしてカイトが私の両親のことを知って⋯⋯」
「レコ。俺はお前が今どういう状況なのかを
「え⋯⋯? ウ、ウソ⋯⋯」
「ウソじゃないさ。⋯⋯見ろ」
「っ!?」
そう言ってカイトが右に視線を向けた。すると、
「「「「おーーーーい! カイトく〜〜〜んっ!!!!」」」」
ブンブンと大きく手を振る少女。ていうか⋯⋯⋯⋯『合法ロリ』。
「良いタイミングだ、ソフィア室長!」
大きく手を振る合法ロリ少女。それは⋯⋯クラリオン王国が誇る最先端魔法・魔道具研究の最前線に位置するクラリオン王国騎士学園魔道具科『
「おい、カイト! 俺たちもいるぞぉー!」
「ハーイ! カイトー!」
「カイトくーん!」
ソフィア室長の
********************
「やあ、カイト君! どうやら間に合ったようだね!!」
「ああ、タイミングバッチリだ!」
イエーイ!
と、ソフィア室長やマイルズたちとハイタッチをするカイト。
「ど、どういうこと⋯⋯?」
「レコ。お前の両親は今、ソフィア室長の研究室である魔道具科の『
「えっ?! ほ、保護!!」
「レコが両親を人質に取られミモザ・ジャガーに利用されていることを知った俺は、今回のミモザ襲撃の
「で、でも!? ど、どうして、両親の居場所を⋯⋯どうやって見つけ出したのっ!!」
「俺のオリジナル魔法⋯⋯『
「っ!? カ、カイ⋯⋯ト⋯⋯」
「いや〜、でもうまくいってよかったよ! 実際に初めて使う魔法だったからさ⋯⋯ちゃんと俺の想像通りの結果を出せるのか心配だっ⋯⋯⋯⋯っ!?」
ギュッ。
「レ、レコ⋯⋯さん?」
「ありが⋯⋯とう⋯⋯」
「⋯⋯レコ」
「ありがとう! ありがとう! ありがとう! ありがとう! ありが⋯⋯⋯⋯うあぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
「おわっ!?」
「カイト⋯⋯カイト⋯⋯カイト⋯⋯カイトぉぉーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!」
レコが堰を切ったように一気に感情を爆発させると、そのままの勢いでカイトを
「レ、レコ⋯⋯。落ち着け。もう大丈夫だから⋯⋯な?」
「嫌! 嫌! 嫌! 嫌! 嫌! 離さない! 絶対に離さないんだから!! カイト! カイトぉぉぉ〜〜〜〜!!!!」
「お、おおおおお⋯⋯」
ど、ど、ど、どうしようぉぉぉ〜〜〜〜〜!!!!
ここにきて、まさかの⋯⋯⋯⋯レコ・キャスヴェリー『デレ期』突入、だとっ!!
い、いやいやいやいや! そんな悠長なことを言っている場合ではな〜〜〜い!
まだ、ミモザとの戦いは終わってな⋯⋯⋯⋯うわぁぁぁ! めっちゃこっち見てる〜〜〜!! ミモザがすんごい剣幕で、こっち見てりゅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!
自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています- mitsuzo @mitsuzo_44
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