第154話154「ミッション:A級ダンジョンで高純度魔石を採取せよ!〜その4〜」

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第7回カクヨムWeb小説コンテスト】中間選考突破しました。

ひゃっほい!


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「異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜」

https://kakuyomu.jp/works/16816927861126765264



********************



「暗殺っ?!」


 レコの話だと、現在、クラリオン王国の現政権⋯⋯つまり、ラディット国王の体制を批判どころか、『クラリオン王族』を転覆させようと水面化で動いている組織があるとのことだった。


「もちろん、今追っている『大規模洗脳魔法』を仕掛けた者たちも⋯⋯まあ、まだその魔法使役者を捕まえていないからハッキリとは言えないけど、おそらくその組織の一部であることに間違いないと思うわ。⋯⋯一応、すでに手遅れ感はあるけど、これ以上相手を刺激するような行動をすると、本当に暗殺対象となって狙われかねないわよ。そうなったら、どこにいても、何をしてても、常に『誰かに狙われている』って考えるようになって、心休まらない日々を送ることになるわ。⋯⋯だから、気をつけてって言ってるの!」

「レコ⋯⋯」


 ふ〜ん、暗殺⋯⋯ね。


 ま、正面切って襲われる分にはぶっちゃけやられるとは思えないけど、『もし寝ている時に襲われでもしたら?』⋯⋯『食事に毒を盛られたりしたら?』⋯⋯。


「いくらあんたが強いっていっても、相手が『暗殺のプロ』でカイトが無防備のときに襲われでもしたら命を落としても不思議じゃないと思う。だから⋯⋯あまり派手な行動は慎んで欲しい」

「レコ⋯⋯」

「⋯⋯レコの言う通りだ」

「レイア!」


 どうやら、レイアは少し離れたところから『身体強化ビルド』を使って、俺たちの会話を聞いていたらしい。


「⋯⋯すまない。二人が妙に真剣な顔で話してたもんでな」

「いえ、大丈夫です、レイア姫様」

「カイト、レコ先生の言う通りだ。暗殺者に狙われることになったら、四六時中気を張ることになって、体力・気力ともに消耗することになるぞ」

「レイア⋯⋯」

「だから、お前はもっと自重を⋯⋯」

「なるほど。⋯⋯⋯⋯つまり、俺が油断している状態で暗殺者に襲われたり、食事に毒を盛られることがあっても無問題モーマンタイ魔法を作ればいいわけだな・・・・・・・・・・・・?」

「「⋯⋯へっ?」」

「ありがとう、二人とも! 盲点だったよ! ちくしょう!⋯⋯こんなこともわからないで何が副団長だっ!!」

「ちょっ!? え、ええ⋯⋯っ!! カ、カイト、待っ⋯⋯!!」

「え? え? い、いや、カイト、私たちはそういうことを言っているわけでは⋯⋯!!」

「よ〜し、『第一級特別研究室ダイイチ』に帰ったら、すぐに『対暗殺者用魔法』の開発に着手するぞ〜! すみませ〜ん、魔石採取班のみなさ〜ん! 魔石あるだけ採取してくださいね〜!!」


 そう叫びながら、カイトは魔石採取班のところへ行き、魔石採取に参加した。そんなカイトの姿を後ろから見ていた二人が、


「⋯⋯レイア姫様」

「⋯⋯レコ先生」


 ゆっくりと顔を向け合うと、


「「心配するだけ無駄だった⋯⋯」」


 ガクッと膝を崩し項垂うなだれた。



『今日の勝敗:カイトの勝利』



********************



「着いたー!」


——次の日、魔石採取後すぐにA級ダンジョンから学園へと戻ってきた。


「みんな、ありがとう! これで『第一級特別研究室ダイイチ』に魔石を持っていけば『洗脳魔法』を無効化できる魔法を魔道具にすることができるから、それが出来次第、すぐに持ってくるよ! それじゃ!」

「あ、カイト様ー!」

「お、おい、カイトー!」


 カイトは、周囲の声に特に応えることなく、採取した魔石を持って『第一級特別研究室ダイイチ』へと足早に戻っていった。


「な、何だか、バタバタせわしないわね、カイトの奴⋯⋯」

「そうだな。ただ、洗脳魔法の無効化魔法は急務ではあるからな。⋯⋯しょうがないだろ」

「う〜ん、そうかな〜。ただ単純に『魔法と魔道具作成』が楽しいだけじゃないかしら⋯⋯」

「そ、そんな、まさか!?⋯⋯いや、レコの言う通りかも」


 そんな、軽いステップを踏んでいるようにさえ見えるカイトの後ろ姿を見て、


「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜⋯⋯」」


 と、深いため息を吐くレコとレイアだった。



********************



——『第一級特別研究室ダイイチ


「ただいま、戻りましたー!」

「「「「カ、カイトっ!!」」」」


 俺は『第一級特別研究室ダイイチ』に入って元気よく挨拶すると、皆が笑顔で出迎えてくれた。⋯⋯しかし、


「⋯⋯て、ちょっと待てっ!!」


 なぜか・・・、室長に「待て!」と言われた。


「何ですか?」

「そ、それって、もしかして⋯⋯全部魔石?」

「イエース、オフコース!」


 ゴロンゴロンゴロンゴロンゴロンゴロン⋯⋯(以下略)。


 そうして俺は、袋の中にあった魔石を無造作に机に広げた。


「「「「⋯⋯っ!!!!!!!」」」」


 それを見た四人は、一度体を硬直させた後、おそるおそるその魔石を手に取り始めた。


「こ、これは⋯⋯Aカラット魔石っ!!」

「こ、これ⋯⋯全部⋯⋯Aカラット魔石ってのかよっ!?」

「う、嘘⋯⋯でしょ? Aカラット魔石がこんなに⋯⋯信じ⋯⋯られな⋯⋯い」

「ほ、本物⋯⋯。本物のAカラット魔石⋯⋯が⋯⋯目の⋯⋯前に⋯⋯きゅう〜〜⋯⋯(ドタッ)」


 俺が『第一級特別研究室ダイイチ』に戻ると、ちょうど室長やマイルズ、シーファ、セイラと四人全員いたので、「ちょうどよかった」と袋からAカラット魔石を出して喜んでもらおうと思って景気良くゴロンゴロン出した⋯⋯⋯⋯のだが、魔石を見た四人が目を点にし体を震わせていた。⋯⋯あ、シーファ、倒れた。

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