第155話155「オリジナル魔道具の完成」

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「異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜」

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 気絶したシーファを起こし、みんなが冷静に戻った後、魔道具作成をお願いした。


「もちろん、まかせろ!」

「超級魔法の魔道具作成か⋯⋯作りがいあるわね」

「す、すごい! 超級魔法の魔道具作成に携わる機会が訪れるなんて⋯⋯」


 マイルズ、セイラ、シーファが言うには、『超級魔法の魔道具作成』というのは滅多にないということでだいぶ興奮していた。そして、ソフィア室長もまた、


「しかし、すごいよ⋯⋯カイト君。これだけの『Aカラット魔石』があれば、今後いろいろな魔法を魔道具化できるよ!」


 なんだかんだでこれだけの『Aカラット魔石』に喜んでいた。すると、


「ところで、カイト君⋯⋯。今回、魔道具にする魔法なんだが⋯⋯」


 と、ソフィア室長から魔道具にする魔法についての提案が上がった。


「以前、カイト君が黒板に書いた『オリジナル魔法』をそのまま残してあるんだが、これを見てもらえるかい?」


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【オリジナル魔法】


『洗脳魔法・無効化魔法』

・闇属性上級魔法『偽装記憶ブービーメモリー

(対象者の記憶領域に偽装記憶をセットする)

(国に仕掛けられている大規模洗脳魔法よりも威力は上)

(対象者との実力差により効果は変わると思われる)


・闇属性上級魔法『偽装記憶消去メモリー・イレイズ

(対象者の偽装記憶を消去。無ければ特に何も起こらない)

(対象者との実力差により効果は変わると思われる)


・闇属性下級〜超級魔法『大規模偽装記憶消去グラン・メモリー・イレイズ

(範囲は直径10km。大規模に偽装記憶ブービーメモリーを展開)

(対象範囲によって下級〜超級と分かれる)


『結界系魔法』

・光属性超級魔法『大規模結界グラン・プロテクト

(最大直径10km以内を結界で囲む。悪意ある魔法を遮断(悪意の基準は術者の条件による))


・光属性下級〜超級魔法『大規模精査グラン・サーチ

(最大直径10m〜10km以内の悪意ある魔法を調査する魔法(悪意の基準は術者の条件による))

(対象範囲によって下級〜超級と分かれる)


『バフ・デバフ系魔法』

・闇属性下級〜超級魔法『魔力制御誘導マナ・リーディング

(対象者の魔力制御を奪うことにより、魔力コントロールを支援して通常よりも魔法威力を上げるバフ効果と、逆に魔力コントロールを乱して通常よりも魔法威力を下げるデバフ効果を生む)

(対象者との実力差により効果は変わると思われる)


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 日を置いて、改めて自分が作ったオリジナル魔法を見てみた。⋯⋯「誰だよ、こんなムチャクチャな魔法作った奴⋯⋯自重しろっ!」と思ったくらいには引いた。


「君は、これらすべてのオリジナル魔法を魔道具にするの?」

「まー、それもいいかとは思ったんですけど⋯⋯それはそれで『魔道具にしたらマズイかな?』と思ったのがいくつかあったので、それは魔道具にはしないつもりです」

「⋯⋯うむ。ちなみにそれはどの魔法だい?」

「『魔力制御誘導マナ・リーディング』⋯⋯これは絶対に魔道具にはできないですね。あとは、『偽装記憶ブービーメモリー』と『偽装記憶消去メモリー・イレイズ』⋯⋯この2つも魔道具にして誰もが使えるようになってしまうと危険だと思うので、合わせて、この3つの魔法は魔道具にはしないつもりです」

「そうだね。『魔力制御誘導マナ・リーディング』に関して言えば、かなり強力な魔法の割に下級魔法から使えるという汎用性の高さは正直脅威でしかないよ」

「自分でもそう思う。なので、『魔力制御誘導マナ・リーディング』の魔法は誰にも教えないよ」

「うん、これは本当にお願いするよ」

「おう!」


 そうして、話が一段落するとソフィア室長がニコッと笑った。


「話はこれで終わり! それじゃあ、早速魔道具づくりを始めよっか!」

「おお! お願いします!」



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——一時間後


「「「「完成っ!!!!」」」」

「いや、早っ!?」


 俺の『オリジナル魔法』が収納された魔道具が完成した⋯⋯⋯⋯たった一時間で。


「ま、魔道具って、こんなに早く作れんのっ!?」

「そうよ。魔石と術者さえいれば魔法を魔石に収納してもらった後、その魔石を『装飾品アクセサリー』に装着するだけだからね」

「まー、『装飾品アクセサリー』にこだわり・・・・がある奴は『お気に入りの装飾品アクセサリー』を用意するのに遅くなって、魔道具完成に時間がかかったりする奴もいるが、そういうのが無けりゃこんなもんだぜ!」

「わ、私はっ!『魔道具こだわり派』です! カ、カイト君は、魔力量も桁違いに多いし、魔力コントロールも異常なほど精度が高いから⋯⋯そんな⋯⋯そんな⋯⋯いろんな魔法を作ることができるカイト君ならぜひ魔石の入れ物となる『装飾品アクセサリー』はこだわってほしいですっ!!(フンス!)」


 セイラ、マイルズ⋯⋯そして、鼻息荒く訴えプレゼンをしたシーファ。特にシーファからは「せっかく、これだけ魔力量や魔法センスが高い俺は装飾品アクセサリーにこだわって!!」とぐいぐい迫られた。⋯⋯さ、さすが、『魔道具オタクを自称する者』だけはある。


「カイト君! 黒板に君のオリジナル魔法が入った魔道具の一覧を書いたよ。そして、これがその『魔道具』だ!!」


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大規模偽装記憶消去グラン・メモリー・イレイズ

収納魔道具:ブレスレット/効果は3回


大規模結界グラン・プロテクト

収納魔道具:ネックレス/効果は3回


大規模精査グラン・サーチ

収納魔道具:指輪/効果は3回


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「あれ? 魔道具の魔法効果は3つとも⋯⋯⋯⋯3回?」

今回・・はねっ!」

今回・・⋯⋯は?」


 どゆこと?


「いや〜、シーファがさ〜⋯⋯『絶対、カイト君にはきちんとした装飾品アクセサリーで魔道具を作ってあげるべきですっ!!』ていうもんだからさ。⋯⋯でも、すぐにでも『必要な魔道具』であることも事実だから、そのをとって今回は『3回分限定』の魔道具を作ったってわけさ!」


 なるほど⋯⋯シーファの差し金か。


 そう思ってシーファのほうを見ると、シーファが『グッ!』とサムズアップ。⋯⋯あの子、自分の欲望に忠実だな。


「ま、今回は3回分もあれば十分だと思うけどね。ていうか、ぶっちゃければ⋯⋯⋯⋯カイト君自らが魔法を展開すれば終わる話ではある」


 なるほど⋯⋯身も蓋もないな。


 とはいえ、「魔道具を使ってみたい」という願望があるので今回は魔道具を使ってみようと思う。


「で、これ⋯⋯どうやって作動させるの?」

「魔道具に魔法を発動させる『きっかけ程度の魔力』を流し込むだけだよ」

「⋯⋯なるほど」


 そう⋯⋯『魔道具』に収納した魔法を発動させる時は、魔道具が起動する『きっかけ程度の魔法』さえ流し込めば収納した魔法が『超級魔法』であっても容易に発動させることができる。


 ちなみに、魔道具が起動する『きっかけ程度の魔力』とは、『生活魔法が使える程度の魔力』でいいということ。⋯⋯⋯⋯つまり『魔道具』にしてしまえば、生活魔法しか使えない平民でさえも『超級魔法』を発動することは可能なのである。しかし、


「カイト君⋯⋯前にも言ったけど、今回の魔道具は上限3回までといった今回限りレベルのものだからね。本来はもう少し発動回数を上乗せするし、魔石ももっと大きい物を使う。あと、通常魔道具には簡単に発動できないよう『』をかける」

「鍵?」

「うん。魔道具の発動条件として、例えば『自分の魔力以外に血を滴らせる』とか『発動条件の魔力量を引き上げる』とか⋯⋯いろいろあるよ」

「⋯⋯つまり、誰にでも使えないようにするためか」

「そういうこと。今回は限定的な使い方だから誰でも使えるように『きっかけ程度の魔力』にしたけどね。とにかく、今回の件が終わって落ち着いたら、改めて、カイト君の『魔道具づくり』をやろうね」

「ありがとうございます、ソフィア室長」


 こうして、今回限り・・・・とはいえ⋯⋯俺の『オリジナル魔法』を収納した『オリジナル魔道具』が完成した。

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