第141話141「大規模洗脳魔法の仮説」

【告知】

第7回カクヨムWeb小説コンテスト】中間選考突破しました。

ひゃっほい!


【新作はじめました】

「異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜」

https://kakuyomu.jp/works/16816927861126765264



********************



「はいはい、静かにー。どんどん説明していくよー。今度は⋯⋯⋯⋯『洗脳魔法の正体』についての仮説の話だよー」


 おお! そうそう、その話が聞きたかったんです、ソフィア室長。⋯⋯俺は身を乗り出してソフィア室長の話に耳を傾けた。


「まず、仮説として⋯⋯⋯⋯『洗脳とは記憶に関係している』というところからボクは考えました。その仮説から『洗脳魔法とは魔法で記憶の操作を行っている』ということ。そして、そのような『記憶の操作』という観点から『脳に記憶領域となるものが存在する』と仮定しました。さらに、その仮定からこの『洗脳魔法』の属性は『闇属性魔法』なんじゃないかとも考えました」

「なるほど」


 確かに、その『仮説』の可能性は高いと思う。


 というのも、俺は『闇属性魔法』をトーナメントでリリアナとサラから受けた際、「闇属性魔法って脳に影響を与えているのでは?」と感じたことがあったからだ。


 例えば、リリアナ・ハルカラニの『愛ノ奴隷ラブ・スレイブ』、獣人族であるサラ・ウィンバードの『隠密コバート』、あれはパッと見だと、相手の『精神面』に干渉した魔法と見えたし、受けた俺も最初そう思っていた。


 しかし、後でよくよく考えてみると、あれって、本当は『精神面の干渉』というよりも、その手前の『脳の記憶領域に魔法が干渉したから』なんじゃないかと思うようになった。


 つまり、魔法の干渉は『精神面』ではなく『脳の記憶領域』で、その脳への干渉結果が『精神面まで影響を及ぼした』というのが正しいのかもしれない。


 と、俺はその話・・・をソフィア室長に話してみた。すると、


「え? え? カ、カイト君っ!? 君は『洗脳魔法』が『闇属性魔法』となるという仮説もすでに掴んでいたのっ!! し、しかも『脳の記憶領域の干渉』だなんて、まるで⋯⋯⋯⋯『脳には記憶領域なるものがある』ということを前提とした・・・・・説明になっているんだけど⋯⋯?」

「え? そうですよ? 確か⋯⋯脳の中には『新しい記憶』と『古い記憶』を保存している部分がありまして、『新しい記憶』は『海馬』という部分に、『古い記憶』は『大脳皮質』というところに保存されています」


 以前、テレビで『脳のメカニズム』って番組を観て、『脳はいまだ未知な部分が多い』ということを知った俺は「脳の開発が進んだら超能力とかワンチャン使えんじゃね?」などと思い、しばらくその手の書籍やネット情報を漁っていたという⋯⋯⋯⋯黒歴史・・・を思い出しました(遠い目)。


 などと、自分の黒歴史を思い出して精神的ダメージを一人負っていると、


「な、ななな、なんて、ことだ⋯⋯っ!?『新しい記憶』?『古い記憶』?『ダイノウ・・なんちゃら』?『カイバ』? カ、カイト君は、そこまでの知識を、一体どうやって⋯⋯っ?!」


 ソフィア室長が「あわあわ⋯⋯」しながら、今の俺の解説にドン引き・・・・していた。それは


「ど、どうして、ソフィア室長の『脳の記憶領域』という斬新な仮説・・・・・に驚くどころか、それ以上の⋯⋯しかも確信っぽい仮説・・・・・・・が飛び出すのよ⋯⋯」

「あ、新しい⋯⋯記憶? 古い⋯⋯記憶? そ、そんな話⋯⋯聞いたことありません⋯⋯」

「カ、カイト⋯⋯。マジで何者だよ、お前⋯⋯」


 研究員の三人も同じで⋯⋯ソフィア以上にドン引きしていた。


 あー⋯⋯これはもしかするとやらかしましたか・・・・・・・・


 この世界では、まだ『脳の記憶領域』というのは知られていなかったっぽいぞ?


 とはいえ、一度言ってしまったことを取り消すことはできない。『吐いた唾は飲めない』ということだ。⋯⋯あ、これ意味違うわ。


 まあいい。とりあえず、そのまま強引・・に推し進めようジャマイカ!


 え? 自重したほうがいい?


 別にここは自重するところじゃない・・・・・・・・・・・から問題ないでしょ? うん、問題ない、問題ない。


「まー、とりあえずそういうわけなんで・・・・・・・・・、洗脳魔法は『脳の記憶領域』⋯⋯『大脳皮質』か『海馬』のどちらか、または両方に魔法で干渉している可能性があると思いまーす!」


 俺は、変な空気・・・・を変えようと気を利かして・・・・・・明るいトーンで振る舞ってみた。


「あ、へ、へー⋯⋯。な、なるほど〜⋯⋯。カイト君のその仮説・・はボクとも一致しているから、たぶん、その方向性で魔法開発したほうが⋯⋯いい⋯⋯かもね。ハ⋯⋯ハハハ⋯⋯(遠い目)」

「し、室長。とりあえず、休憩⋯⋯挟みませんか?」

「そ、そうだね。ちょっと、休憩挟もっか⋯⋯」

「え? でも、まだ始まったばかりじゃ⋯⋯」

「「「異議なーーーしっ!!!!」」」


 俺の思いとは裏腹に『一度休憩を挟む』ということで全会一致・・・・となった。


⋯⋯解せぬ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る