第141話141「大規模洗脳魔法の仮説」
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「はいはい、静かにー。どんどん説明していくよー。今度は⋯⋯⋯⋯『洗脳魔法の正体』についての仮説の話だよー」
おお! そうそう、その話が聞きたかったんです、ソフィア室長。⋯⋯俺は身を乗り出してソフィア室長の話に耳を傾けた。
「まず、仮説として⋯⋯⋯⋯『洗脳とは記憶に関係している』というところからボクは考えました。その仮説から『洗脳魔法とは魔法で記憶の操作を行っている』ということ。そして、そのような『記憶の操作』という観点から『脳に記憶領域となるものが存在する』と仮定しました。さらに、その仮定からこの『洗脳魔法』の属性は『闇属性魔法』なんじゃないかとも考えました」
「なるほど」
確かに、その『仮説』の可能性は高いと思う。
というのも、俺は『闇属性魔法』をトーナメントでリリアナとサラから受けた際、「闇属性魔法って脳に影響を与えているのでは?」と感じたことがあったからだ。
例えば、リリアナ・ハルカラニの『
しかし、後でよくよく考えてみると、あれって、本当は『精神面の干渉』というよりも、その手前の『脳の記憶領域に魔法が干渉したから』なんじゃないかと思うようになった。
つまり、魔法の干渉は『精神面』ではなく『脳の記憶領域』で、その脳への干渉結果が『精神面まで影響を及ぼした』というのが正しいのかもしれない。
と、俺は
「え? え? カ、カイト君っ!? 君は『洗脳魔法』が『闇属性魔法』となるという仮説もすでに掴んでいたのっ!! し、しかも『脳の記憶領域の干渉』だなんて、まるで⋯⋯⋯⋯『脳には記憶領域なるものがある』ということを
「え? そうですよ? 確か⋯⋯脳の中には『新しい記憶』と『古い記憶』を保存している部分がありまして、『新しい記憶』は『海馬』という部分に、『古い記憶』は『大脳皮質』というところに保存されています」
以前、テレビで『脳のメカニズム』って番組を観て、『脳はいまだ未知な部分が多い』ということを知った俺は「脳の開発が進んだら超能力とかワンチャン使えんじゃね?」などと思い、しばらくその手の書籍やネット情報を漁っていたという⋯⋯⋯⋯
などと、自分の黒歴史を思い出して精神的ダメージを一人負っていると、
「な、ななな、なんて、ことだ⋯⋯っ!?『新しい記憶』?『古い記憶』?『ダイノウ・・なんちゃら』?『カイバ』? カ、カイト君は、そこまでの知識を、一体どうやって⋯⋯っ?!」
ソフィア室長が「あわあわ⋯⋯」しながら、今の俺の解説に
「ど、どうして、ソフィア室長の『脳の記憶領域』という
「あ、新しい⋯⋯記憶? 古い⋯⋯記憶? そ、そんな話⋯⋯聞いたことありません⋯⋯」
「カ、カイト⋯⋯。マジで何者だよ、お前⋯⋯」
研究員の三人も同じで⋯⋯ソフィア以上にドン引きしていた。
あー⋯⋯これはもしかすると
この世界では、まだ『脳の記憶領域』というのは知られていなかったっぽいぞ?
とはいえ、一度言ってしまったことを取り消すことはできない。『吐いた唾は飲めない』ということだ。⋯⋯あ、これ意味違うわ。
まあいい。とりあえず、そのまま
え? 自重したほうがいい?
別にここは
「まー、とりあえず
俺は、
「あ、へ、へー⋯⋯。な、なるほど〜⋯⋯。カイト君のその
「し、室長。とりあえず、休憩⋯⋯挟みませんか?」
「そ、そうだね。ちょっと、休憩挟もっか⋯⋯」
「え? でも、まだ始まったばかりじゃ⋯⋯」
「「「異議なーーーしっ!!!!」」」
俺の思いとは裏腹に『一度休憩を挟む』ということで
⋯⋯解せぬ。
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