第140話140「魔道具」

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第7回カクヨムWeb小説コンテスト】中間選考突破しました。

ひゃっほい!


【新作はじめました】

「異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜」

https://kakuyomu.jp/works/16816927861126765264



********************



「魔道具とは魔法効果が収められた道具です」


⋯⋯、


⋯⋯、


⋯⋯、


「え? 終わりっ?!」


「というのは冗談で⋯⋯」


 おい、ロリ幼女!⋯⋯いいかげんにせーよ。


「ご、ごめんごめん⋯⋯そんな怖い顔しないでよぉ〜! えーと、まあ、魔道具っていうのは、たしかに機能でいえば『魔法効果を収めた道具』であっているけど、その『魔道具』というのは『指輪、ネックレス、ブレスレット、髪飾り、イヤリング』といった『装飾品』だったり、『剣、槍、籠手、弓』といった『武器』だったり、『鎧、盾、兜』という『防具』と種類は多岐に渡ります。ちなみに魔道具を使用するときは『自分の魔力』を魔道具に『必要分の魔力量・・・・・・・』を供給して使います」

「へ〜、けっこういろんな種類があるんだな」

「ちなみに、それ以外にも火を点けたり、食べ物を冷やしたり、明かりをつけたりといった『生活道具』も魔道具の一種だよ」

「あ、そう言えば家で見たことあるけど、あれは『魔道具』になるのか」


 シュタイナー領の家にいた頃、確かに夜になったらベクターやジェーンが明かりをつけたのを見たことがあるが、あれが魔道具だったのか。ということは、あのとき二人は魔力を通して使っていたんだな。


 あまりに普通に明かりをつけたりしていたので、『日本にいた頃の前世の記憶』がある俺からすれば当たり前・・・・と感じていたのかもしれない。もしかしたら、当時俺が魔道具について特に感心を示さなかったことにベクターとジェーンは疑問に思っただろうか⋯⋯。


 などと、考えている間にもソフィア室長は話を進める。


「さて、そんな『魔道具』だけど、その魔道具を魔道具と足らしめん・・・・・・・・・としているのは何かわかるかな?」

「え? 魔道具と足らしめん・・・・・・・・・としているもの?」

「はーい、せんせー!」

「セイラちゃん!」

「『魔石』でぇーす!」

「そのとおり! 魔道具が『魔法効果を発揮できる理由』は、その『魔法効果』を『魔石』に収めているからです。つまり⋯⋯⋯⋯『魔石』に魔法効果を保存できるおかげで『魔道具』が存在する、と言っても過言ではないのです」

「⋯⋯なるほど」


 ふむ⋯⋯『魔石』か。まさに『異世界あるある定番アイテム』といったやつだな。


 これまで、あまり意識していなかったし、必要とする場面がなかったから特に意識していなかったが、この世界にも『魔石』があって、それが『魔道具の魔法効果収納アイテム』となっているんだな。


 ということは、


「もしかして、『魔道具』を作る時に『魔石』が不足しているとか、必要な『魔石』が無いときは『冒険者ギルド』に依頼して、『冒険者』とかがその依頼を受けて『魔石』を取りに行ったりしているのか?」

「え⋯⋯?! そ、そうだけど⋯⋯。よ、よく、その事、知っていたね?」

「え? 別に普通だろ?」


 あれ? 普通じゃないのか?


「あ、いや、別に秘密にしているものではないのだけれど、ただ、学生だと『冒険者』とかは知っていても『冒険者ギルド』や『魔石の依頼』とか、そんなことまで知っているのはどちらかというと⋯⋯かな?」

「へ、へー、そう⋯⋯なんですね」


 あー、何かやってしまったっぽい?


「すごいな、カイト。一回生はまだ『冒険者演習・・・・・』はこれから・・・・なのに、すでに『冒険者ギルドへの魔石依頼』のことまで知っているなんて!」

「あ、ほ、ほら⋯⋯実家にいた時に両親に教えてもらったりしてたから⋯⋯」

「すごいです! 小さい頃からそんなことまで、あのベクター様とジェーン様は教育されていたんですね!」

「すごいよ、カイト!『魔石依頼の話』なんて学生のうちはわからない子がほとんどなのに!」


 どうやら、学生のうちは『魔石を冒険者ギルドに依頼する』なんてことは知らない子がほとんどらしい。それにしても気になったのが、


「ところでマイルズ⋯⋯一回生の授業で『冒険者演習』なんてものがあるのか?」

「ああ、あるぞ。おそらく今から二ヶ月後くらいだったと思うぞ⋯⋯たしか」

「へーそうなんだ」


 ということは、いずれ『冒険者ギルド』に行って『冒険者』も体験できるんだな。『冒険者』っていうのも面白そうだな。


「どうやら、魔道具の認識は大丈夫そうだね。じゃあ、次は我々が推論した『大規模洗脳魔法の仮説』について話するね。んしょ、んしょ⋯⋯」


 ガラガラガラガラ⋯⋯。


 そう言って、ソフィア室長は移動式の『黒板』を引っ張ってきた。そこには『大規模洗脳魔法の仮説』と題したものが書いてあり、いろいろと考察内容が書いてあった。


「えー、まず我々も学園長から事前に『大規模洗脳魔法』についての情報をもらっていたので、その今ある情報から『大規模洗脳魔法』の正体・・についてまとめてみたんだ。とりあえず、一つずつ説明するね」


 そう言って、ソフィアが『木で作られた指示棒』を使って説明を始めた。


「えー、まず今回の『大規模洗脳魔法』だけど、可能性としては『魔道具』で魔法を展開していると思われるんだ。理由としては王国全体を囲むほどであれば、正確に魔法を展開する必要がある。その場合、毎回手動で行うより、あらかじめ魔道具を設置しておいたほうが楽だし効率的だからだ」

「なるほど。魔法使役者が毎回魔法を展開するといったやり方だと、間違って魔法効果が届かない箇所が出てくるかもしれない⋯⋯というわけか」

「そゆこと! 理解が早くて助かるよ、カイト君!」

「い、いえ⋯⋯」

「本当ねー。室長の説明をすぐに理解できなかった誰かさん・・・・とは大違いねー。私とシーファは一回で理解できたっていうのにねー」

「ちょ⋯⋯っ!? セ、セイラさん⋯⋯っ!!」

「う、うるせーよ、セイラ! べ、別にいいじゃねーか! その後、すぐに理解したじゃねーかっ!!」

「はいはい、静かにー。どんどん説明していくよー。今度は⋯⋯⋯⋯『洗脳魔法の正体』についての仮説の話だよー」

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