第137話137「第一級特別研究室と古代遺跡」

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「異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜」

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 ちなみに、そんな彼女だが実は『魔法・魔道具業界』では超有名人・・・・らしく、学園長だけじゃなく、Aクラスの奴らからも「何でお前はそんな有名人も知らないんだよっ!」とか「もう少し世間一般の常識と自重を勉強しろ!」と大量にツッコまれた。⋯⋯後半部分は言いがかりだよね?


 そんな、ソフィア・クインズベルという人は、クラリオン王国のみならず世界でも高く評価されている『魔法・魔道具研究の第一人者』の一人なのだそうだ。


 しかも、彼女が『室長』をしている『第一級特別研究室』⋯⋯通称:『ダイイチ』は、クラリオン王国内でも、特に重要な研究・・・・・・・を行っている機関のようで、そこの室長をやっているということからも彼女がいかに『すごい人』なのかがわかる。


 極め付けは、彼女の出自・・。⋯⋯そう、苗字からもわかるとおり、彼女は名門『クインズベル家』の長女。つまり、あの・・『タカラジェンヌ会長』こと、エリナ・クインズベルの姉なのである。


「なるほど⋯⋯あべこべ姉妹枠・・・・・・・ですね、わかります」

「??」

「あ、どうぞ、お構いなく」

「は、はあ⋯⋯」


 そんなわけで、俺と『かわいい枠優勝候補・・・・・・・・・』のソフィア・クインズベル室長は、以前発狂中のヴェルロイ・ガリウス魔道具科統括長を放置して『第一級特別研究室ダイイチ』へと向かった。



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 さっきまでいた『統括長室』を出た後、俺はソフィアの案内の元、後ろからついていく。すると、


「え? あ、あの、ソフィアさん?」


 ソフィアが突然『用具室』という名札がついた部屋へと入っていく。


「大丈夫ですよ。さ、入って」

「は、はあ⋯⋯」


 俺はそう言われて『用具室』に入る。すると、そこには⋯⋯⋯⋯想像通り、モップやほうきなどの掃除用具が乱雑に置かれていた。


「あ、あのー、こんなところに来て、何を?」

「はい! ここから『第一級特別研究室ダイイチ』へ向かいます」

「⋯⋯は? どうやって?」


 ニコッ。


 ソフィアが笑顔を見せた後、突然、左手で俺の手を握ってきた。


「(ドキ!)⋯⋯えっ?!」


 ドキッとする俺だったが、ソフィアは特に気にせず、今度はスッとおもむろに右手を上にかざした。そして、


「⋯⋯こうやって」

「っ!?」


 ズワァッ!


——ソフィアが右手を上にかざした瞬間、天井に直径二メートルほどの『魔法陣』が浮かび上がり、その魔法陣から俺とソフィアに光が走った。


「な、なんだ、これ⋯⋯はっ!?」


——全身が光に包まれた瞬間、俺とソフィアがその場から消えた・・・



********************



「ようこそ、カイト君! ここがクラリオン王国が誇る最先端魔法・魔道具研究の研究室ラボ⋯⋯『第一級特別研究室ダイイチ』でーす!」


 さっきの『用具室』で『魔法陣』から出た光に包まれた俺とソフィア。そのあまりの眩しさに俺は思わず目を閉じる。そして、光が消えたのを感じた俺が目を開けると、そこは『巨大な空間』が広がっていた。


「な⋯⋯なんだ!? この施設は⋯⋯」


 そこはにもにも広がった空間だった。


 横はどのくらいあるかわからないが、少なくとも百メートル以上はありそうだ。しかし、それにも増して驚きだったのが、


「な、なんだ、この天井の⋯⋯高さは⋯⋯?」


 そう、『天井の高さ』が圧巻・・だったのだ。


「すごいでしょ? 地面から天井までざっと50メートル・・・・・・はあるからね」

「も、もはや、研究室というより『ドーム型屋内運動場』って感じだな」


 ちなみに、こんなにも天井が高い『第一級特別研究室ダイイチ』だが、この施設はなんと⋯⋯⋯⋯地下・・に存在しているとのこと。


「さっき、『魔道具科』の統括長の部屋を出て『用具室』に行ったよね? ちなみに、あそこは三階になるんだけど、その三階の『用具室』には『転移陣』があってね⋯⋯。カイト君も見たでしょ?」

「あ、あの、天井に書いてあった『魔法陣』のこと?」

「そうそう。あれは『空間から空間へ移動する魔法陣』で、通称『転移陣』というものでね。その『転移陣』はこの『第一級特別研究室ダイイチ』とつなげているんだ。だから、こうして移動したのさ」

「く、空間を移動する魔法陣⋯⋯『転移陣』っ?! そ、そんなものが⋯⋯」


 まさか『転移陣』が、この世界に存在していたとは!


「あったらいいな〜」くらいには思っていたけど、あるのかよ! すげー!


 俺は異世界で『転移陣』で移動するのも『異世界に転生したらやりたいことリスト』の一つだったので、不意打ち・・・・ではあったものの、また一つ『やりたいこと』を実現した。


 それにしても、『転移陣』での移動をした感想としては「何か光に包まれたとき、体がフワッと浮いたと思ったら移動してた」という感じだった。


 例えるなら『高層ビルのエレベーターで上階から下階へ降りる時のフワッと浮くあの感じ・・・・・・・・・・』にすごく似ていた。


 ちなみに、ソフィアに転移陣の移動の際のフワッと浮く感じの話をしたら、「ここは地下になるからたぶんそう感じたのかも。逆にここから『魔道具棟』へ戻るときは『体が引っ張られる感じ』になるよ」と言っていた。そう言われると、あながち俺の『エレベータ理論』はそこまで外していなかったのかもしれない。それにしても、


「こ、ここが地下だなんて⋯⋯信じられない」

「ちなみに、ここは階数でいうと地下10階くらいかな? 地上からおよそ100メートル下くらいになるよ」

「す、すごい⋯⋯」


 この世界は『中世時代程度の生活水準』なだけに、第一級特別研究室この空間はかなり異質・・だった。


 というのも、ここの天井や壁、柱などが、すべて⋯⋯⋯⋯コンクリート・・・・・・で出来ていたからだ。


「コ、コンクリート! これって、まるで⋯⋯」


 まるで⋯⋯⋯⋯俺のいた地球の『建築技術そのもの』じゃないか!?


「ん? なんだい? こんくりーと・・・・・・って?」

「え? あ、いや、えーと⋯⋯と、特に、意味は⋯⋯」


 俺はつい口走った『コンクリート』について聞かれた時、説明するのは『マズイ』と思ったので、何とかごまかした。


「あ、そ? ま、それにしても⋯⋯フフフ、良いリアクションをありがとう、カイト君。驚かした甲斐・・があったよ」

「い、いやー、ビックリしました。⋯⋯すごい建物ですね。こんなの初めて・・・見ました」


 この異世界・・・では。


「うん、うん、そうだろう、そうだろう⋯⋯。ちなみにこの施設ってね、実は⋯⋯⋯⋯『古代遺跡』なんだよ」

「え⋯⋯? こ、古代遺跡⋯⋯?」

「そう! この施設自体は何も手をつけていない。加工していない。今から遠い昔の⋯⋯古代に作られたこの空間をそのまま利用しているだけだよ・・・・・・・・・・・・・・


 バ、バカなっ!?


 そ、そんなの⋯⋯それって⋯⋯、


「不思議だよね? どう見たって、今のボクたちの建築技術水準と比べても⋯⋯⋯⋯はるかに優れた技術・・・・・・・・・で作られているのは明らかだからね」

「そ、そう⋯⋯ですね⋯⋯」


 ソフィアのその感想はもっともだが、俺的にはそれ以上に⋯⋯⋯⋯どうして地球と似た構造物・・・・・・・・・・・・がこの世界に存在しているんだ、というところだった。



********************



 現在、俺はソフィアさんの部屋⋯⋯『室長室』でお茶をしていた。というのも、


「ごめんなさいね、カイト君。ここの研究室で手伝いをしている生徒たち子たちがまだ授業終わってなくて⋯⋯」


 ソフィアさんが「もう少しでその子たちの授業が終わるから⋯⋯」ということで「それまでお茶をして待っていよう」ということになったのだ。


「あ、いえ、大丈夫です。それよりも、さっき言ってた『古代遺跡』の話⋯⋯面白かったです。もっと教えてください!」


 俺は今日初めて聞いた、この『古代遺跡』の話をソフィアさんに色々教えて欲しいと懇願する。しかし、


「ごめんね。これは『最重要機密事項トップ・シークレット』だから、これ以上は教えられないの」

「そう⋯⋯なんですね⋯⋯」


 俺ははっきりとがっかりした仕草を見せる。


「まあ、でもカイト君が『特殊な子』というのも『最重要機密事項トップ・シークレット』の一つだから、後々、『古代遺跡』についての情報公開も許可が下りると思うよ?」

「え? 俺が⋯⋯⋯⋯『最重要機密事項トップ・シークレットの一つ』?」

「あっ! やばっ! あ、あは、あはははははは⋯⋯⋯⋯今のは忘れて、ね!(テヘペロ)」


 この、おっちょこちょいさんめ!


 そんな可愛い『テヘペロ室長』と楽しい午後の紅茶時間ティータイムを過ごしていると、


「「「おつかれーっす!」」」


 室長室の外から、数人の声が聞こえた。

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