第136話136「クラリオン王国騎士学園『魔道具科』」

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「異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜」

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「大規模洗脳魔法の無効化できる魔法⋯⋯か」


 グラン・キャンバス大渓谷から戻ってきてから二日後——俺以外のみんなは現在『カイト式魔力コントロールの習得』と『大規模洗脳魔法使役者の調査・捜索』に当たっている。


 ちなみに、二日前『魔力循環のハウツーマンガ』をみんなに見てもらい、基本的なイメージの仕方などをレクチャーした後、その後のレクチャーは実際に習得しているイグナスやザックたちに任せた。⋯⋯というのも、俺には『洗脳魔法の無効化魔法開発』という早急な課題があったからだ。


 現在、『大規模洗脳魔法使役者』の捕縛や討伐については、俺の『洗脳魔法の無効化魔法』が完成するまでは使役者を発見しても捕縛・討伐は行わないことになっている。理由は『逃してしまう恐れ』があるためだ。


 つまり、捕縛・討伐には俺の課題である『洗脳魔法の無効化魔法完成』が必要になるため、俺の『魔法開発』が一番『早急な課題』であるのだ。


 ただ、初めて行う『魔法開発』なだけに、俺的にはうまくいく可能性はだいぶ低い・・・・・と思っている。なので、見切り・・・をつける期間を『一ヶ月』と定めていた。


 そんな重要課題・・・・に少しブルーになりながら、俺は一人『魔道具棟』へとやってきた。



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——クラリオン王国騎士学園『魔道具棟』


「ここが『魔道具棟』か⋯⋯」


 俺は『大規模洗脳魔法の無効化魔法』の開発をどうしようかと考えていると、学園長から、


「それなら『魔道具棟』に行きなさい。『魔道具科』の先生や生徒は魔道具だけでなく魔法にも詳しいので、そこにしばらく通うといい。ちゃんと、そこでの活動は授業を受けるのと同じ扱いにするから」

「あざっす!」


 と、頼もしいアドバイスをいただいて『魔道具棟』へとやってきた。


 学園の正門から見える建物が『騎士団科』となり、『魔道具科』はその真後ろとなる。ちなみに、もう一つの『文官科』は『魔道具科』の横に位置する。つまり、


「『魔道具科』と『文官科』は正門から隠れている作りなのね」


 俺がいる『騎士団科』は、クラリオン王国騎士学園でも『主要学科メイン』となる。⋯⋯いわゆる『花形学科』みたいなものだ。


 実際、入学してくる大半の生徒は『騎士団科』を希望しているため、校舎の配置も『騎士団科の生徒が動きやすいための作り』となっている⋯⋯と学園長から話を聞いた。


 俺は「まー、そんなもんか」くらいに思っていたが、しかし、実際は『校舎の配置』でもわかるように「『騎士団科』は他の科に比べて過度な評価をされ過ぎている」という愚痴を⋯⋯⋯⋯現在進行形で聞かされていた・・・・・・・・・・・・・


「なるほど⋯⋯カイト・シュタイナー君か。君のは聞いていますよ⋯⋯何でも最近あった『一回生クラス編成トーナメント』で優勝したそうですね?」

「あ、ええ⋯⋯まあ⋯⋯」

「ですがっ!⋯⋯」


 俺の返事を遮るように被せてきたのは、この『魔道具科』全体を治めている代表⋯⋯『魔道具科統括長』の『ヴェルロイ・ガリウス』。身長が190近い長身で端正な顔立ち、紫色の髪をしていて、その髪は肩までのばしている『中性的なイケメン』という感じだ。


 年齢は『29』とのことだが、見た目だけでいえば年齢以上に若い顔立ちだ。しかし、それ以上にこのヴェルロイ・ガリウスという男が醸し出す『気品さ』や『迫力』が半端ないので、そういう意味・・・・・・では、年齢以上の凄み・・を感じる。⋯⋯要するに『只者ではない人物』ということだ。


 ちなみに、俺が入学した時に担任だったCクラスの『パイオツカイデーメガネ美人』ことアンジェラ・ガリウス先生の兄だそうで⋯⋯つまり、上級貴族の中でも『名門』の一つに数えられる『ガリウス家』の嫡男である。⋯⋯それを聞いて容易に納得したわ。


 そんな、ヴェルロイ・ガリウスさんに、俺は何というか⋯⋯『目の敵・・・』にされているような口撃・・を浴びせられていた。


「あまり調子に乗らないことです」

「え? あ、いや、別に調子に乗っているということは⋯⋯」

「ここ⋯⋯『魔道具科』は『騎士団科』のような脳筋・・野蛮人・・・のような生徒はいません。『魔道具科』こそ、魔法や魔道具においての見識が深い『本物のエリート集団』です。本来であれば『魔道具科』こそ王国に最大の貢献をしているので『騎士団科』よりも評価されるべきなのです! なのに、ラディット国王ときたら、まったく⋯⋯ぶつぶつ」


 ひとしきり、ヴェルロイさんの大変貴重なお話積もり積もった愚痴を聞いた後、


「⋯⋯といったわけですので、くれぐれ・・・・も他の生徒の邪魔・・をしないよう注意してください」

「は、はい、わかりました」


 とりあえず、怒りがおさまったようでなりより⋯⋯、


「ていうか、ハンニバル様いきなり過ぎるでしょうっ! 昨日突然やってきて『ウチの生徒⋯⋯カイト・シュタイナー君の魔法開発に力を貸して欲しい。ていうか『第一級特別研究室ダイイチ』をカイト君に使わせるように⋯⋯明日から。学園長命令ということで頼んだよ、ヴェルロイ君』などと、こっちの都合は考えずに強引に決定するしっ! こっちの都合お構いなしに決定するしぃぃぃ〜〜〜〜っ!!」


 あ、怒り⋯⋯おさまってなかったわ。


「うがぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜っ!!!!!!」と、ついにはヴェルロイさんの咆哮がこだました。


 それにしても、この人もアルフレッド騎士団長やレコのように「学園長に強いられている一人・・・・・・・・・なんだな⋯⋯」と俺は心の底から同情した。


「ヴェ、ヴェルロイ様! 落ち着いてください! こんなのいつものこと・・・・・・じゃないですか!?」

「ふざけるなぁぁぁ〜〜〜!!!! 毎回、毎回⋯⋯学園長あいつは鬼かぁぁぁぁ〜〜〜っ!!!!!」


 あ、いつものこと・・・・・なんですね。⋯⋯ホント、お疲れ様です(合掌)。そんな、ヴェルロイさんが発狂する横で必死になだめていた女性が声をかけてきた。


「ご、ごめんね。普段のヴェルロイ様はこんなんじゃないんですよ。いつもはもっとこう、冷静で、優しくてかっこいいお方なんですよ!」

「あ、は、はい⋯⋯」


 その女性は、手をバタバタ・・・・・・とさせ、必死に俺にヴェルロイさんをフォローする。


「あ、申し遅れました。わたくし『第一級特別研究室ダイイチ』室長の『ソフィア・クインズベル』と申します。えっと〜⋯⋯カイト君の魔法開発は私が協力しますのでよろしくお願いしますね」


 と、丁寧な挨拶をしてペコリとお辞儀をした。


 か、かわわっ! かわいい〜〜〜〜〜っ!!!!


 ほ、本当に、この人年上?⋯⋯信じられんっ!!


 というのも、この人、身長がかなり小っこい・・・・のだ。おそらく150センチ前半くらいじゃないだろうか。しかも、この身長で服装が『ダボダボの白衣』⋯⋯⋯⋯そう、袖からちゃんと手が出ていないのだ・・・・・・・・・・・・・・・・っ! わかってるね⋯⋯100点!


 おまけに、髪は『金髪ショートボブ』で、動作一つ一つがチョコチョコと可愛らしい。すばらです⋯⋯100点!


 何という『愛玩動物ペット枠』⋯⋯⋯⋯優勝!

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