第三章 騎士学園/騒乱編

第125話125「一夜明け・・・」

【新作はじめました】


「異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜」

https://kakuyomu.jp/works/16816927861126765264



********************



——大会から一夜明け、今はお昼休み


 俺とイグナスとザックで学食にやってくると、


「うぉぉぉーーー!『序列決闘ランク・デュエル』やるぞぉぉぉーーー!!!!!」

「オラぁぁーー! 勝負だ、コラァァァーーー!!!!」


 そう息巻いて、学食から外へ出ていく生徒たちを多く見かけた。


 というのも、現在、屋内・屋外どちらの武闘場でも『序列決闘ランク・デュエル』が行われているからだ。ちなみに『序列決闘ランク・デュエル』を行う場合は、必ず『屋内武闘場か屋外武闘場どちらかで行う』というルールがある。


 なので、それ以外の場所での『序列決闘ランク・デュエル』は無効となるらしい。


「お、思っていた以上に、みんなやってるなぁ⋯⋯」

「むしろ騎士学園はこの『序列決闘ランク・デュエル』が名物だからね」


 ザックが横で『序列』と『序列決闘ランク・デュエル』について、改めて色々教えてくれた。


——————————————————


【『序列』と『序列決闘ランク・デュエル』について】


【序列】

・『序列』はABC各クラスで『トップ10人』までの生徒に与えられる。つまり『序列』は『1位〜10位』までとなる(ただし、Aクラスだけはその年の入学生の数によって多少の変動がある)

・『称号名』は『○クラス序列○位』と『クラス名+序列順位』という表記となる

・『序列』は、大会の成績と学園長の評価で決まる

・『序列外の生徒』は『序列外アウトオーダー』と呼ばれる


序列決闘ランク・デュエル

・『序列決闘ランク・デュエル』は、同じクラス内で『下位序列または序列外の生徒が、上位序列の生徒』に対して仕掛けるのが基本となる

・『序列決闘ランク・デュエル』を断ることも可能だが断るのは三回まで。それ以上断ることは許されず、その場合、自動的に『序列決闘ランク・デュエル』を申し込んだ相手は序列昇格となり、断った相手は『序列一段階降格』となる

・上位クラスとの『序列決闘ランク・デュエル』の場合、一度挑戦する下位クラスのほうで『代表者』を決めて、各序列まとめての試合となる

・上位クラスとの『序列決闘ランク・デュエル』で負けた者は『序列二段階降格』となり、さらに翌月まで『序列決闘ランク・デュエル』の申し込みが禁止される(受けるのは可能)


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「なるほど。『序列評価』は『大会結果』だけじゃなく『学園長評価』が入ってくるのか」

「そう。なんせクラス編成トーナメントは『トーナメント制』だからね。トーナメントの組み合わせによっては、もっと良い結果だった可能性のある生徒はたくさんいるんだよ」


 確かに、大会が『トーナメント制』である以上、組み合わせによっては上位の序列が変わる可能性はあるだろうからな。


「フン! 大会終了後はこうして至る所で、朝、お昼休み、放課後問わず『序列決闘ランク・デュエル』が頻繁に行われるのさ」

「そうそう。それだけ『序列』ってのは重要な称号だからね。学生中もその後も⋯⋯」


 ザックが「『序列』というのは、その後のクラリオン王国騎士団に配属されても使われる称号だよ」と教えてくれた。


「それにしても、上位クラスへの『序列決闘ランク・デュエル』⋯⋯失敗した時のペナルティ・・・・・って結構しんどいな」

「まあね。だから、上位クラスへの『序列決闘ランク・デュエル』は滅多にないよ。もちろんゼロではないけどね」

「ふーん」

「実力に自信ある奴はそれでも挑戦してくる。Aクラスだからってのんびりしてんじゃねーぞ、カイト」

「はいはい。イグナスの愛情は⋯⋯お母さんしっかり理解しているからね」

「誰がお母さんだっ!」


 そんなショートコントをスルーして、ザックがさらに話を続ける。


「ちなみに、基本、『序列決闘ランク・デュエル』はいつまでといった期限はないよ。⋯⋯⋯⋯あ、でも、学年が上がったら、各学年でクラス編成トーナメントが開かれるから、その間の『序列決闘ランク・デュエル』は停止になるかな」

「ふ〜ん⋯⋯。ということは、先輩たち・・・・も各学年ごとにクラス編成トーナメントやってんだ?」

「もちろん! 先輩たちの大会は毎年七月⋯⋯夏に開かれるよ。今回の一回生の大会は思いのほか観客が多かったけど、本来人気があるのは二回生・三回生の先輩たちの大会の方が人気だね」

「へー、そうなんだ。そういえば、先輩たちってどのくらいの強さなんだろう?」

「基本、一回生よりもハイレベルで⋯⋯」

「いや、今年はわからないぞ?」

「「「ガス!」」」

「よー」

「こんにちは、カイト、イグナス、ザック」

「うぃーす!」


 ガス、ディーノ、カートがやってきた。


「本来であれば、一回生よりも先輩たちが強いのは当たり前だが、今回はちょっと違うと思うぞ?」

「どういうことだ、ガス?」

「だって、そうだろ? 自分で言うのも何だが『カイト式魔力コントロール』を取り入れた俺たちは、明らか・・・に、それ以前とは比べ物にならないくらい強くなったからな」


 ガスがニヤッとする。


「ガス様、それ自分で言うんですか!⋯⋯⋯⋯と言いたいところだが俺もそう思うぜ、実感としてな」

「私もガス様とカートと同じ意見です。今なら先輩方ともそこまで差はないのではないかと思います」


 ガスやカートは勢いで喋ることはあるが、いつも冷静なディーノがそこまで言うのは意外だった。


「ぼ、僕も⋯⋯自分でこんなこと言うのはアレだけどそう思うよ。だって、『カイト式魔力コントロール』を知る前と後じゃ全然違うもの」

「フン!⋯⋯悔しいがザックの言う通りだ。それを言ったら、俺なんてそもそも『上級貴族のくせに魔力が少な過ぎる』ってことで苦い思いをずっとしてきたからな。『カイト式魔力コントロール』を伝授してくれたカイトには感謝しかない。⋯⋯⋯⋯非常に遺憾ではあるが」

「オッケー、イグナス。『ツンデレ優勝』のお前にそんな感謝の言葉を言わせてしまったこと⋯⋯謝るよ」

「いらんわ!」

「とりあえず、今みんなの言葉を聞いて確信したよ。『カイト式魔力コントロール』がこれまでの常識を覆すものだってことがね。予測はしてたけど、まさかこれほどとは思っていなかった。でも⋯⋯」

「「「「「でも?」」」」」

「今度は『カイト式魔力コントロールこれ』が、この世界・・でどのくらい通用するのかわからないから、次はそこかな・・・・・・ーって⋯⋯」

「「「「「つ、次? 次って⋯⋯?」」」」」

クラリオン学園騎士団・・・・・・・・・・のことでしょ、カイト?」

「お、リュウメイ、ウキョウ」

「やっほー、カイト!」

「やー、皆さん、お揃いで」


 リュウメイとウキョウがやってきた。


「B・Cクラスは、早速『序列決闘ランク・デュエル』やってるな」

「なんだか『お祭り』みたいでワクワクするね! 僕にも誰か『序列決闘ランク・デュエル』申し込んでこないかな〜⋯⋯」


 そう言って、リュウメイがチラチラみんなに視線を送る。


「「「「「絶対に嫌だ!」」」」」


 皆から一斉にツッコまれるリュウメイ。


「リュウメイに挑戦するとかないわー」

「ないわー」

「「「「「ないわー」」」」」

「えー! みんなひどいっ!」


 リュウメイの言葉にみんなが「ないわー」を斉唱する。


 ちなみに昨日の大会終了後に、このAクラス全員で自己紹介も兼ねて話すことがあったのだが、そこでリュウメイから「王太子と呼ぶのはやめてほしい」っていうのと「フランクに接して欲しい」とかなりガチめにお願いされたので、今はこのようにツッコミを入れるくらいな関係性となっている。


 それもあってか、上級貴族であるドレイク・ガリウスやリリアナ・ハルカラニからも同じような申し出・・・・・・・・があった。もちろん、二人の申し出も了承された。


 ちなみに、それを聞いたレイアも「私も王族だが『クラリオン学園騎士団』となった以上、団長とはいえ気軽にフランクに接して欲しい。いや、そうするように!」と、強引に了承させられた・・・・・・・・・・のも付け加えておく。


「そういや、他のみんなは?」


 と、リュウメイに聞こうとしたその時、


「おーい、カイトー!」


 と、そこへレイアがドレイク・ガリウス、リリアナ・ハルカラニ、サラ・ウィンバードを連れてやってきた。


 一回生Aクラス——勢揃いである。

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