第62話062「魔力特訓(2)」
「マジかよ、カイトの妹って、そんなに強いのかよ!?」
「ちなみに、世界一かわいい俺の妹アシュリーは現在七歳です」
「「「「「⋯⋯」」」」」
一同絶句。
「ま、まあ、でもよー、考えようによっちゃー、俺たちにとってその妹の話は
カートが、遠い目をして静まり返っていた場の空気を一新させる発言をする。
「そ、そうですね。カートの言うとおりです! 私たちも努力すればカイト式魔力コントロールを身につけることができるということですからね!」
「そ、そうだぜ! 時間はかかるかもしれないが俺は絶対にカイト式魔力コントロールを習得してやるぜ!」
「その調子だ、イグナス! ま、俺だって、すぐに習得してさらに力をつけるがな!」
「ふん! 俺のセンスを舐めんなよ、ガス!」
「お、俺だって! 下級貴族でこの中で一番弱いですけど、すぐに追いついてみせますよ!」
うむ。なんだかんだで、結果的にまとまったようで何よりだ。それにしても、流れでここまで舎弟にしてきたけど良いチームだよな、実際。うん。
俺は、魔力コントロールの練習を再開するみんなを見て、一人、感慨に耽った。
********************
「うーん⋯⋯やっぱり難しいな⋯⋯」
「弱音吐くな、カート! 黙って練習しろ!」
「そ、そうは言ってもガス様⋯⋯難しいことには変わりないですよ〜」
「く⋯⋯もうちょっとで、何か、コツが掴めそうな気がするんだが⋯⋯ちくしょうっ!」
「え、イグナス、そうなの!? 俺は魔力の認識が薄いから全然だよ⋯⋯」
どうやら皆、苦戦しているようだ。ま、そりゃー練習初日だからな。無理もない。
「まあ、付きっきりで教えた妹も習得までに二ヶ月はかかったんだ。まだ練習初日だし、中々うまくいかないのも無理ないと思うよ?」
俺は皆に中々すぐには習得できないであろう話をして、とりあえず「焦らないように」とアドバイスを送る。
「そうか。そうだよなぁ〜」
「で、でも、できれば二週間後の『クラス編成トーナメント』までに習得できれば⋯⋯なんて思うんですけど、やっぱ厳しいですよね?」
「当たり前だ、アホ! これまで誰も考えもしなかった魔力コントロールなんだぞ! 簡単なわけあるか!」
「で、ですよねー⋯⋯」
「でも、この『魔力を筋状にして体内で循環させるイメージ』さえ掴めれば、うっすらとした魔力の認識でも何とかなりそうな気はするんですけどね⋯⋯」
と、カートとガスのやり取りを聞いていたザックがボソッと呟いた言葉に、俺は、何かが
「⋯⋯ザック。今、『魔力を筋状にして体内で循環させるイメージさえ掴めれば⋯⋯』て言ってたけど、それって、逆に『魔力を筋状にして体内で循環させるイメージ』さえ明確にできれば、習得できそうってことなのか?」
「え? あ、うん。たぶんだけど⋯⋯。一応、僕みたいな弱い魔力でも、うっすらとはいえ魔力の認識はできているからね。あとは『魔力を筋状にして体内で循環させるイメージ』が明確になれば、もしかしたらできるかな〜て⋯⋯」
「そう⋯⋯なんだ⋯⋯」
んー⋯⋯『魔力を筋状にして体内で循環させるイメージを明確にする』か。
「あのさー、確認なんだけど、みんなの魔力のイメージって、こう⋯⋯
「ああ、そうだね」
「まー、そんなとこだな」
「で、その魔力の球体の大きさに個人差があって、その球体がはっきりと認識していることと、その球体の大きさが大きいほど魔力量が多くて、魔法の威力も高いってことを意味するんだよね?」
「ああ、そうだ」
「そうそう」
「⋯⋯ふむ」
そう。この世界の『魔力の良し悪し』は、『魔力の球体の明確な認識』と『球体の大きさ』となる。その為、この魔力の球体が『体いっぱいに広がっていて、尚且つはっきりと認識できる者』は、イコール『魔力量が多く、魔法の威力も高い強者』とみなされる。
なので、下級貴族は上級貴族に比べて『魔力の球体』は小さく、球体の存在感も薄いが、逆に下級貴族のように『魔力の球体』が小さいほうが『魔力の球体から筋状に延ばす』イメージがしやすいと考えた。
その魔力の球体から下腹部からスーっと『魔力の筋』を右足、右手、頭、左手、左足と延ばしていき、最後に球体に魔力の筋が戻るイメージをしやすいのではないかと思い、具体的にザックに説明をして試してみるよう言ったみた。しかし、
「う、うーん⋯⋯悪いけど、カイトがいう『魔力の球体から筋を延ばす』ていうのが、どうしてもイメージが難しいよ」
「そ、そうか⋯⋯」
やはり、ザックの言うとおり『魔力の球体から筋を延ばす』というイメージはかなり難しいらしい。
イメージ⋯⋯イメージかぁ。イメージてのは要は『想像』だ。その想像を手助けする
さらに言えば、その想像の手助けをする
——その時、俺の中で
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