第43話043「合同魔法授業」



「「「「「合同魔法授業?」」」」」

「うむ。明日、A・B・Cクラス合同の魔法授業を行う」


 現在は魔法授業の時間で、天才上級魔法士レコ・キャスヴェリーたんが何やらイベント的なものを話し始めた。


 あ、前回の続きではないが、レコたんのスペックも公開しておこう(俺、情報)。


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【十一歳の天才魔法少女】


・『レコ・キャスヴェリー(騎士団所属。現在は騎士学園Cクラス担任)』

 身長:161センチ/髪:赤髪ツインテール/特徴:最年少で騎士団入団と上級魔法士認定された高スペックツンデレちっぱい美少女


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「先生! どうして合同で授業をするんですか?」

「合同でやる理由が色々あるからです⋯⋯」


 その理由がこちら。


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【合同魔法授業の意義】


1.Cクラスにはまだ魔力コントロールができない生徒が多いので、魔法が使えるBクラス以上の見学だけでも、魔力コントロールのイメージの参考になる為。

2.Cクラスで魔法を使える生徒が少数であり、その生徒たちの魔法練習の場を設ける必要がある為。

3.一回生全体の生徒たちの親睦も含まれている為

4.上級貴族の魔法練習を見学するだけでも勉強になる為


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 なるほど。確かに、入学から二週間ほど経ったが、Cクラスで魔力コントロールができるようになったのは、まだやっと三分の一ほどだからな。


 以前、授業でレコが魔力コントロールを教えているのを見たが、生徒たちは中々、魔力コントロールのイメージが難しいようで苦戦していた。


 それにしても、レコの魔力コントロールのやり方を横で聞いていたとき、俺とはずいぶん違うんだなと感じた。そういや、五歳の時にレコに俺の魔力コントロールの話をしたとき、だいぶ驚いていたっけ。


「というわけで明日、合同魔法授業を行います。合同授業の場合、二時限分のコマを使うので時間はたっぷりあります。なので、A・Bクラスの魔法を使える生徒を参考にしながら学ぶように。ちなみに、今回の魔法授業と同じように合同授業は武闘術にもあります」


「合同授業⋯⋯⋯⋯はっ!」


 その時——俺の脳裏にある『天才的ヒラメキ』が走った。


「合同授業⋯⋯これって、一回生の美少女たちとの『出会いイベント』ということでわっ!!!!」


 そうだ! 間違いない! これは、まさしく『出会いイベント』に違いない!


「あ、明日の、合同授業出会いイベントは万全の対策で臨まねば⋯⋯」


 そう言って俺は、いまこの瞬間から明日の合同授業に向けて、一人、思考の海へと落ちていった。


 ちなみに、俺が一人思考の海に落ちるまでの経緯を横目で見ていたザックとレコは「うわぁ〜、こいつ絶対ロクでもないこと考えてるよ〜」と呆れた目をしていたようだが、そんなことなど俺には知る由もなかった。



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——次の日


 俺たちは今、正門から入って左横に隣接されている『屋外武闘場』にいた。ちなみに、屋外武闘場といっても日本の学校でいう運動場みたいな場所に、試合で使う舞台のようなものが二つほど用意されているだけで、それ以外は特に何もない。ただ広い運動場という感じだ。


 レコの話だと合同魔法授業は、舞台で試合形式で魔法対決をしたり、舞台以外の周囲で魔力コントロールの練習をしたりするなど、比較的自由な授業スタイルのようだ。


「では、これより一回生A・B・Cクラスの合同魔法授業を始めます」


 レコの掛け声により、皆がぞろぞろと動き出す。


「イグナス君。君は舞台で試合とかするの?」

「⋯⋯(猫かぶり)カイトか。いや、わざわざ、手の内明かすようなことする奴なんていないだろ?」

「え? どういうこと?」

「あー、それはほら、二週間後にある『クラス編成トーナメント』だよ」

「あー、なるほど」


『クラス編成トーナメント』⋯⋯たしか、入学して一ヶ月後に開かれる一回生だけのやつか。二回生・三回生は年一回開催⋯⋯たしか年末とか言ってたな。


 まず、騎士学園入学が一月。で、一回生は『クラス編成トーナメント』が入学して一ヶ月後の二月に開催される。それが今、言っていたレコの話。


 そして、二回生は七月に『クラス編成トーナメント』が開催。そこで決まったクラスに来年一月から進級となる。あ、ちなみに三回生は『クラス編成トーナメント』ではなく『卒業試験』となる。


 ちなみに、七月の卒業試験に落ちても、十一月にもう一度『卒業再試験』があり、そこで合格すれば卒業を認められ、十二月に『卒業式』を迎えることとなる。


 これが騎士学園の基本的な一年間のスケジュールだ。


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【騎士学園年間スケジュール】


一月:騎士学園入学式/二回生・三回生進級

二月:一回生クラス編成トーナメント

七月:二回生クラス編成トーナメント/三回生卒業試験

十一月:三回生卒業再試験

十二月:卒業式


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 それにしても、この季節や月日がほとんど日本と同じ『異世界ご都合謎システム』はありがたいね。まあ、『異世界転生』というシステムは「日本人の厨二病発想が原点」って神様が言っていたから『日本人基準』になっているということなんだろう(※002「異世界デビューは生後六ヶ月」参照)。


 ただ、お金の単位は『円』ではなく『金貨・銀貨』とかだけど、まあ、その辺もこの異世界は『日本人の厨二病発想が原点』らしいから『中世ヨーロッパ風』が反映されているんだろう。


 まあ、『金貨・銀貨』の単位や計算もわかりやすいから問題ないけどね。


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【お金の単位】


◆銅貨・大銅貨→銀貨・大銀貨→金貨・大金貨→白金貨はくきんか大白金貨だいはくきんか黒金貨くろきんか

・銅貨1枚→1円相当

・銅貨10枚→大銅貨1枚→10円相当

・銅貨100枚→100円相当(大銅貨10枚)


・銀貨1枚→100円相当(銅貨100枚=銀貨1枚)

・銀貨10枚→大銀貨1枚→1,000円相当

・銀貨100枚→10,000円相当(大銀貨10枚)


・金貨1枚→10,000円相当(銀貨100枚=金貨1枚)

・金貨10枚→大金貨1枚→10万円相当

・金貨100枚→100万円相当(大金貨10枚)


・白金貨1枚→100万円相当(金貨100枚=白金貨1枚)

・白金貨10枚→大白金貨1枚→1,000万円相当

・白金貨100枚→一億円相当(大白金貨10枚)


・黒金貨1枚→一億円相当


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 黒金貨⋯⋯か。一度は見てみたいと思うけど、いくら『チート転生者』でも、生きてて『一億円』なんて金、動かすことなんてあるのかね⋯⋯。


 まあ『異世界に転生したらやりたいことリスト』には、『国に関わる重大な任務とかをこなして、俺TUEEEを実感して悦に浸る』という『欲望むき出しの願望』はもちろんリストアップしてあるので、もしかしたら『黒金貨』を拝める可能性は少しはあるかもしれない。


 そんなことを考えていると、レコが生徒たちに話し始めた。


「えー、一回生の皆さんは、二週間後に『クラス編成トーナメント』が控えています。なので、魔法対決を控えたい、自主練したいと思っている生徒もいると思いますが⋯⋯それでも構いません」


 え? そうなの?


「逆に、自分の今の力量を確かめたいということで生徒同士で魔法対決することもいいですし、見学でも構いません。ただし、魔力コントロールがまだできない生徒は魔力コントロールを練習してください。あとは⋯⋯⋯⋯そうですね、私やAクラス、Bクラスの先生と魔法対決を通して稽古をつけることも構いませんよ」


 なんと! 先生たちとも魔法対決できるんだ!


 でも、そんなことを言えるということは、それだけ先生たちは強いということだろう。まあ、そりゃそっか。


 さて、俺はどうしようかな?

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