第42話042「ヒロイン候補を探そう!(後編)」



「まず、この二回生の三つのグループだけど⋯⋯これは次期マドンナ候補と言われる女の子が中心となって作っているグループだ。左端から⋯⋯」


 そう言って、ザックが二回生のおねいさま方の情報を公開あそばせた。


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【二回生のおねいさま方】


・左端『ケイト・ジュリアーノ(二回生)上級貴族』

 身長:168センチ/髪:オレンジ色ロング/特徴:十一歳とは思えないようなお色気ムンムンの紫髪と知性光るメガネ美少女。胸すごいデカイ

・中央『ミーシャ・リンドバーグ(二回生)上級貴族』

 身長:166センチ/髪:茶色ショート/特徴:運動神経良さそうな褐色系健康美少女。

・右端『バーバラ・タンゼント(二回生)上級貴族』

 身長:161センチ/髪:黒色ロング/特徴:図書館によく出入りしてそうな読書好き文学系美少女。


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「SUGOIDEKAIっ!!!! あ、お気になさらず⋯⋯」

「「??」」


 それにしても、騎士学園に入って同年代の子たちを見て思ったが、日本と比べると男女ともだいぶ発育が良いよね。ケイト・ジュリアーノ先輩なんて、もはや高校生どころか二十代前半のモデルさんみたいだし。


 俺もよくよく見れば十歳にしてはだいぶ大人びた顔をしている。身長だって今の時点で170センチくらいはあるので、日本だと高校一年生くらいには見える。ちなみに、レコも俺と同じくらいには大人びている。


 まあ、地球でいうところの欧米諸国と同じくらいか、もう少しそれよりも発育が良いという感じだ。


 逆に、この発育の良さのおかげで、もしかしたら、グラマラスボディーに反比例して幼さの残る『ギャップ美少女』も今後、十分期待できるかも!


 やるじゃないか、異世界っ!


 そんな俺が一人興奮する横で、イグナスとザックが色々と話をしている。


「どうやら、派閥みたいなものを作っているようだな」

「そう! 正解だよ、イグナス。これは下級貴族や平民の女の子が次期マドンナ候補の友達になれば、その後の騎士学園のカーストで上位にいられるというよこしまいびつな女性の思惑が具現化した集団と言っても過言ではない」

「ザ、ザックって、けっこう辛辣だよね」


 ザックの中々の辛辣な解説を聞いて思わずツッコミを入れた。すると、


「いやいや、カイト⋯⋯これは別に辛辣でも何でもないよ。貴族社会の縮図である騎士学園でのつながりはその後の人生に大きな影響を与えるからね」

「そ、そうなんだ」

「当然だ。別に今の話は女性だけの話ではない。男性もほとんど変わらんと思うぞ?」

「なるほど。確かにそうだね⋯⋯」


 俺は二人の言葉に改めて、異世界の階級社会という常識をまた一つ、実感した。


 それにしても、ザックの情報すげーな。内容が行き届いている⋯⋯頼もしい。


「そういや一回生で注目選手はいないの?」

「注目選手? ああ、そうだね。一応、何人かはいるよ」

「おおっ!」

「特に、今年は王族⋯⋯第二王女が同級生にいるからね」

「おおー! クラウン・ファミリー!」


 そうそう、こういうの! こういうのも異世界ならではだよなっ!


 王族。日本にいたらまず自分の人生の中で絶対に出会うことのないだろう人種。そんな高貴な方々と出会える可能性があるのもまた異世界クオリティー。


「ああ、俺の異世界人生がさらに捗る⋯⋯」と、俺が腰をクネクネさせて悶えている様をよそに、ザックからまた追加情報を提供いただきました。


「ほら、カイト。あそこにいる護衛の生徒を携えている人が、第二王女のレイア・クラリオン⋯⋯通称レイア姫だ」

「レイア姫⋯⋯」


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【問答無用のクラリオン王国第二王女】


『レイア・クラリオン(通称:レイア姫)一回生』

 身長:155センチ/髪:ライトブルー色セミロング(左サイドテール)/特徴:とにかくもう王族オーラがすごい別格系サイドテール美少女。


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「俺も初めて間近でレイア姫を見たが⋯⋯オーラ、やべえな」

「お、俺も初めてだよ、イグナス。レイア姫を間近で見れるなんて俺たちラッキーだよね」


 イグナスもザックも第二王女を間近で見るのは初めてだったようでだいぶ興奮していた。


 確かに、見た目は完全に幼い子どもなのに、自然体でそこにいるだけで周囲とは別格な気品と王族足らしめるオーラが半端ない。


 しかし、俺はそんなことよりも、もっと別のあるもの・・・・に大興奮していた。


「サ、サ、サイドテール⋯⋯だとっ!?」


 ストラーイク! ストラーイク! ストラーイク! バッターアウトォォ! ゲームセットっ!!!!


 すげー! どストライクやんっ! 一人でスリーストライクどころか、ゲームセットやん!!!!


 俺の大好物のサイドテール美少女がこの国のお姫様だったとはっ!


「うぉぉぉ〜〜〜! ザッきゅん! 俺は今、モーレツに感動してるぞぉぉぉ! 神様ありがとう! 第二の人生ありがとうぉぉぉ〜〜〜っ!!!! 」


 俺はその瞬間興奮のあまり『猫かぶり』を忘れていた。それは心の底から出たカイト・シュタイナーの⋯⋯いやさ、山田貞夫の魂の叫びだった。


「カイト⋯⋯大丈夫? あとザッきゅん・・・・・はやめて」

「お、おい、カイト。お前、マジで大丈夫か?」

「あ、問題ないです。オールクリアです」


 おっと、二人にマジ心配をさせてしまった。落ち着け、オイラ。


 さて、そんな第二王女で上がったテンションを落ち着かせた俺は、今度は俺たちCクラスの情報を聞き出した。


「そうだ。僕たちCクラスにはいるの?」

「ふふ〜ん⋯⋯⋯⋯いるよ」

「おおっ!!!!」

「注目は平民出身の子かな」

「平民の子?」

「なにっ! 平民だと?!」


 イグナスが意外にも食いついてきた。


「ああ。平民の子だから、本人はできるだけ目立たないようにしているみたいだけど、顔が良いから本人の思いとは裏腹に周囲の男子からはけっこう注目されているけどね。ほら、あそこに一人でサンドイッチを食べている女の子だよ」


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【Cクラスに潜む平民出身の美少女】


『サラ(一回生)平民(平民なので家名はない)』

 身長:164センチ/髪:茶色セミロング/特徴:普段、気配を消して教室では目立たないようにしているステルス系幸薄美少女。


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「た、確かに、可愛い顔をしているが⋯⋯その⋯⋯平民だからということもあるだろうが、なんか⋯⋯幸薄そうな感じだな」

「イ、イグナス! そういうこと言うなよ! あの子に失礼だろ!」

「いや、確かにイグナスの言う通りだよ。美少女ではあると思うけど存在が儚いというか⋯⋯ステルス系幸薄美少女とはこれ如何に、といった感じだよね」

「カイトも!」


 俺も確かにこの『サラ』という子の印象はイグナスと同じだった。だがしかし! 俺は逆にこの子には少し期待もしていた。なぜなら、こういう子に限ってきちんとした衣装やメイクを施したら別人のような美少女へと変身する可能性があるからだ。少なくとも『パーツ』はすべて整っているのでおそらく彼女は『変身型美少女』だ。


 今後に期待っ!


「ザック〜。他にはいないの〜?(欲しがり)」

「う〜ん、俺が知ってるのはこのくらいかな〜。そういえば、二回生と一回生に他国からきた留学生がいて、その子たちも可愛いって噂を聞いたことが⋯⋯」

「えっ!? 他国からの留学生⋯⋯だとっ!!!!」


 キーン、コーン、カーン、コーン。


 そんな、ザック諜報員の貴重な情報公開と美少女鑑賞会は、お昼休み終了の鐘が鳴り幕を閉じた。

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