第14話014「想定外の調査報告」

「毎日更新。なんとか、ギリ間に合った⋯⋯」


*********************



「ベクター殿。まずは私から謝罪を。ご子息のカイト・シュタイナーですが、まず今回⋯⋯私が家庭教師として赴任してきたのは『カイト・シュタイナーの魔法習得の有無』という調査が本来の目的だったとカイトには伝えております。そして、その事を知った上で、ここにカイトと一緒にやってきました。先に調査依頼の話をしてしまい申し訳ございません」

「良い。レコ君の裁量での判断なら構わん」

「ありがとうございます」

「カイト、お前を騙したような形になってしまい⋯⋯すまなかった」

「私からも謝るわ。ごめんなさい、カイト」


 ベクターとジェーンが立ち上がり、俺に頭を下げる。


「頭をお上げください、お父様、お母様。むしろ、謝らなきゃいけないのは僕のほうなんですから」

「カイト⋯⋯お前」

「カイト⋯⋯それじゃあ、やっぱり⋯⋯」


 俺は、一度深く息を吸って覚悟を決める。


(大丈夫。もし二人が俺を恐れて追い出すようなことになっても⋯⋯⋯⋯俺は一人でやっていける)


「お父様、お母様。僕は⋯⋯⋯⋯魔法が使えます」

「っ!? そ、そうか。やはりそうだったか」」

「やっぱり魔法⋯⋯使えるのね、カイト」

「⋯⋯はい。これまで黙っていてすみません」

「「カイト⋯⋯」」


 俺が「魔法を使える」ことを伝えると、二人が顔をゆっくりと沈ませた。よく見ると体も震えている。やはり「五歳の子供が魔法を使える」というのは二人には恐怖の対象でしかな⋯⋯、


「すごいじゃないか、カイトっ! さすが、我が息子だっ!!!!!!!」

「すごい! すごい! カイト、超すごーーーーーーーーいっ!!!!!」

「⋯⋯へ?」


 なんか、二人とも⋯⋯⋯⋯超喜んでるんですけど。


「やはり、そうだったか〜。まったく! 魔法が使えるならちゃんと言いなさい、この馬鹿もんが!」

「え? え? あ、はい⋯⋯ごめんな⋯⋯さい」

「何? 何? 超天才じゃない、ウチの子! やだ! 超自慢したいんですけど!」

「あ? え? あの⋯⋯えーと⋯⋯う、うん」


 どうやら、二人は俺が「五歳で魔法が使えること」に、恐怖どころか鼻高々に俺をほめ殺した。


「ところでカイト⋯⋯一つ聞いてもいいか!」

「あ、はい。お父様」

「お前が魔法を使えるようになったのは⋯⋯あの三歳の時、私の書斎のベランダで倒れた時か?」

「いえ、違います。生後六ヶ月です」

「⋯⋯へ? 生後⋯⋯六ヶ月?」

「はい。生後六ヶ月」

「「「生後⋯⋯六ヶ月ぅぅぅぅぅぅーーーっ!!!!!!!!!!!!」」」


 ベクターとジェーンに加えてレコも一緒に見事にハモった。



*********************



 俺は三人にこれまでの話をした。こんな感じで。


——————————————————


・生後六ヶ月のときに魔力コントロールができるようになったので魔法が使えるようになりました

・生後六ヶ月の体を身体強化ビルドで歩けるようにして、深夜、父の書斎に忍び込んで勉強を始めました

・それから毎日そこにあった学問書や魔法書を勉強。五歳になった今、父の書斎の本はすべて読み尽くしました

・父の書斎にあった魔法書の魔法もすべて習得しました ←いまここ


——————————————————


「「「⋯⋯⋯⋯」」」

「? おーい⋯⋯」


 三人とも俺の話を聞いて目を点にして固まっていた。


 うーむ、これは困った。もう少し段階を踏んだほうがよかったか?


「カ、カカカ、カイト⋯⋯?」

「お? レコ! なんだ、ちゃんと意識あるじゃないか!」

「そ、そうね。ほ、ほら、私も一応⋯⋯規格外の天才って言われているから。耐性⋯⋯あるから。ていうかさ、カイト⋯⋯」

「何?」

「そ、それ、どこまでが本当の話?」

「え? いや全部、本当の話」

「へ、へー⋯⋯」


 カッチーン。


 おや? またレコが固まってしまった。


 ふー。どうやら、もう少し時間が必要なようだな。

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