第13話013「レコの白状とカイトの考察」
「それじゃあ、戻るわよ」
「は、はい」
「何よ、他人行儀ね! その言葉遣い、もういいからやめなさいっ!」
「う、うん。わかったよ」
俺はレコと森を出て屋敷へと戻ることにした。
ちなみに、さっき一瞬レコの態度がヒロインフラグに見えたのだが、なんか今はいつも通りに戻っている。いや⋯⋯でも、今、レコが言葉遣いの指摘をしたのでやはりヒロインフラグの可能性は少しくらいはあるのでは?
そんな、一人アホな妄想をしていると、
「さて⋯⋯屋敷に戻る前にちゃんとカイトには伝えておくわね」
「え? 何を?」
「カイト。私はあなたの家庭教師としてここに派遣されたと言ってたけど⋯⋯⋯⋯あれは嘘よ」
「え?」
「私がここに来た本当の理由は⋯⋯⋯⋯あなたの両親からの依頼で『あなたが魔法を使えるかどうかを調査』しにきたの」
「えっ?! 父と母が!」
そうか。やっぱりベクターとジェーンは「俺が魔法を使えるんじゃないか」と勘づいていたのか。正直、少し驚きはしたがレコに向けたリアクションほどショックは受けていなかった。むしろ、「ま、そりゃバレるよね」て感じだ。
「やっぱり⋯⋯⋯⋯ショック?」
「え?」
「ご両親から⋯⋯その⋯⋯疑われていたこと⋯⋯」
お?
何やら、レコが心配そうな眼差しを向ける。普段のツンケンの中で見せた一瞬の乙女リアクション。
や、やればできるじゃないか、レコ・キャスヴェリー!
「い、いや、別に大丈夫だよ。いずれ僕から話そうと思っていたしね。ちょうどいいよ」
「⋯⋯本当? 無理してない?」
「う、うん。本当に大丈夫だから」
「⋯⋯そう、よかった。一応、これからご両親に説明するけど⋯⋯⋯⋯カイトはどうする? 一緒に来る?」
「行くよ。この際、僕から二人にきちんと話すよ」
「うん、わかった」
あ、あれ〜?
こ、こいつ⋯⋯マジでかわいいんですけど。
レコ・キャスヴェリー⋯⋯ついに、ツンのみ状態からデレ要素を獲得したか。中々の破壊力だ。
ていうか、や、やっぱり、ヒロインフラグ立ってるんじゃないか、コレ?!
うおおおお、マジか! こんな美少女が俺のことを! ど、どどど、どうしよう! 俺、前世で四十歳やってたけど、
お、恐ろしい⋯⋯。これが異世界主人公あるあるの『童貞弊害』というやつか。
ち、ちくしょう〜⋯⋯!!!!「童貞捨てるのはちゃんと付き合った人と!」なんて馬鹿なプライドを持つんじゃなかったぁぁぁぁぁ!!!! 有料の『キレイなおねえさん90分コース』に勇気を出して電話するんだったぁぁぁぁぁ!!!!
などと、前世の『デリ○ル電話未遂事件』を思い出し、プライドが邪魔をして童貞を捨てられなかったあの日の自分に後悔をしていたときだった。
ん? ちょっと待て。
俺のこのレコに対しての感情⋯⋯⋯⋯これは『ロリコン』を意味しているのだろうか?
俺は『異世界をこよなく愛するなろう民』。当然、異世界ハーレムは大好きだし望むところであり、そのハーレム対象には当然『幼女キャラ』は含まれる。むしろマストだ!
そんな俺がロリコンを否定するとかあるだろうか、いや無い。むしろ全肯定だ!
ウェルカム・
なので、ロリコンを否定するわけではないのだが、ただ、単純な疑問として俺のこのレコに対する『恋愛感情』は、果たして俺の元の記憶である『山田貞夫』としての感情はいかほど介入しているのだろうか?
俺が『山田貞夫』のとき、つまり地球にいたとき、恋愛対象は別に『幼女くんかくんか』というものではなく、普通に自分と同じ四十代とかそれより少し年下の三十代とかの女性が恋愛対象だった。逆に二十代や十代は話が合わないし、ちょっと『馬鹿にされそう』なので怖い印象さえある。むしろ苦手だ。
なので、俺が今、レコに「かわいい」と一人の恋愛対象の女性として感じているこの感情は『山田貞夫の性癖』が変わったのか、それとも『カインの年相応の恋愛対象』に変わったのか⋯⋯⋯⋯わたし、気になります!
そんな、アホな『意識ダイブ』と『メタ発言』をしている間に屋敷が見えてきた。
*********************
コン! コン!
「はい」
「レコ・キャスヴェリーです」
「入りたまえ」
「失礼します」
俺とレコはベクターとジェーンのいる居間にやってきた。二人はちょうど昼食を済ませた後のティータイムを楽しんでいるようだった。
「む? カイトも一緒か」
「はい」
「あらあら。二人とも最初の時よりだいぶ打ち解けたみたいね」
「い、いえ⋯⋯」
そんな感じで、本題を話す前に当たり障りのない話をした後、
「で? 用件は何だね? ただ、我々と雑談をしにきたわけでもなかろう?」
ベクターが「本題を話せ」と言わんばかりのプレッシャーを与えてきた。
「はい。今回の調査についてのご報告に参りました」
「「っ!?」」
二人がレコの言葉に一瞬反応する⋯⋯⋯⋯が、
「なるほど。カイトと一緒にやってきてその言葉を口にする⋯⋯⋯⋯ということは、カイトにはすでに話してあるということだな?」
「はい」
「で、カイトはレコ君から話を聞いた上でここにやってきた。つまり⋯⋯」
「はい、お父様。そしてお母様。僕は自分の口からお二人に話すつもりでここにきました」
俺は真剣な眼差しを二人に向ける。
「そうか⋯⋯では聞かせてもらおう」
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