第13話 いつまで戦争前夜なの?

しょうもない、くだらない、何の役にも立たないし、共感もできない、癒しもない。

不愉快だし、意味もない。


そう言いたい人の気持ちは存分に理解している。


私自身、もっと明るくて、可愛いキャラが出て来て、面白いドラマティックな展開で、人々に大いに楽しんでもらえる良質なエンターテイメントを書きたい気持ちはあるのだ。


しかし、それは無理な話。


どうして、こんなにも現実生活が酷く、精神状態の荒れ果てたゴミクズ同然の人間に、そのような良質なものが書けるというのか。


無理だ。それは心から謝罪したい。


こんなものを書いて、多分、誰も読んでいないと思うが……。


もし読んでいる人で、心を傷つけられた、という方がいるならば、謝罪を申し上げたい。


すみません。


すみません。


本当にすみません。


それしか、言うことができない。


後は、申し訳ない、という意味もあり、私は自身の文章には一切広告を付けていない。


どうして、こんなクズのような文章で、広告料金など取れるというのか。


そんなおこがましいことはしたくない。


そこは、クズのような私にも、少しくらい良心が残っているのだ……。


今日も沢山の罵声を浴び、会う人会う人すべてに軽蔑され、攻撃され、お前は息を吸うな、気色悪い生物めが、と宣告され続けた。


そんな疲弊した精神が、これらの文章を生み出しているということは、十分にご理解を頂きたいものだ。


こんな状態の人間が、どうして感動的な深くていいお話を書けるというのか。現実をわかってほしい。


いや、そんなことも、もはやどうでもいいことなのかも知れないが。


私は確かにカフェに入り、アメリカンコーヒーを、啜っていたのだ。


それは、少し前まで、確かにそうだったのだ。


それがなぜかわからない。


私は、止めようがない。


私は全裸であり、路上に四つん這いになり、ケツを突き出し、


「うお!俺のケツマンコ!見てくれ!毛深いケツマンコ!うお!花開く!」


と絶叫しているのだ。


止められない。


体は勝手に動き、声も、勝手に出てくる。


どういうことなのか。


多くの老若男女が、この晴れ渡った、実に美しい透き通るような青空の下、この路において、男は毛深い肛門、女は肥大化したマンコを強調して、うお、花開く!と絶叫しているのである。


もちろん、全員、全裸。


「君!止めなさい!」


警察官たちに言われ、私は立たされ、両脇から確保された。


「最悪な奴だ!交通事故の被害者に対し、お前はものすごく酷く、不謹慎なことを言ったのだ!」


警察官の中でも一番年が上であるらしい小太りで口の周りが異様に青い中年男性が述べた。


そのようなことを、いつ言ったのだろうか。エビデンス、と言った途端、最も若い背の高い警察官に頬をぶん殴られ、私の全裸の体は路上を転がった。


私のチンポコはコンクリート地面に思い切り擦りつけられた。


「痛い!」


私は叫んだ。


「お前に蹂躙された交通事故被害者遺族の方々の心の痛みはこんなもんじゃないんだ!お前はこれからギロチンでチンポコを切断されるのだ!」


先ほど述べた最も年が上であるらしい、異様に口の周りが青い小太りの警察官が言って、私のケツを蹴った。


「大手動画サイトの生中継でお前のチンポコがギロチンに切断される公開処刑を放送するからな!」


「嫌だ!」


私が絶叫すると、もう一人の若い警察官(こちらは柔道家のようなずんぐりした体型)が私の頬を平手打ちした。


「嫌とか言うな!傷つくだろうが!バカ!」


彼はそのように強い抗議の声明を発した。


どこの広場かわからない。


広い空間で、ぐるりと人々が囲んでいた。


凄く、盛り上がっている。


みんなスマートフォンを手にして撮影に勤しんでいる。


広場の真ん中には大きな舞台が設置されている。

階段があり、その先にギロチンがあるのだ。


私は全裸で、階段の前に立たされていた。

風が吹いていた。


みんな盛り上がっている。

スマートフォンを掲げ、叫んでいる。


空が物凄く青く、透き通っていて、美しい。


なんかポジティブな気分になる。


夢を諦めないで、とか。


希望の光めざして飛び立とうファラウェイ、とか。


明日は必ずやって来るよ、だから、頑張ろう、とか。


そんな言葉を想起する。


でも、その途端に、吐き気。


全部嫌い。全部死ねと思う言葉だ。なんだよ、明るい言葉を連呼されると気が滅入るって気持ちがわかんねえのかよ。うんざりする。あと甘ったるい恋愛物語とか、もうさっさとホテル行って一発やってこいよ、としか思えない。そのセックスの様子を克明に記録した映像を流した方がみんな喜ぶよ、くだらないイチャイチャなんて見せるな、背景のお涙頂戴エピソードもどうでもいい、興味ない、セックスだけ見せればいいんだよ。


吐き気がする。


複雑に絡み合うそういうエピソードに惑わされている。良く見てみれば古典的なわかりやすい構造の物語様式でしかない。


君をポジティブな気持ちにしてあげる。「あげる」とか上から目線もうんざりだ。


吐き気がする。


でも世の中の主流派のみなさんはそういうのが好きなのだ。まあ、手軽に気持ちよくなれるから、その気持ちはわからないことはない。


私自身、オナニーは好きであるし……。


でも、公共の場に「手軽に気持ちよく感動できる」いわば「オナニー機械」を設置、さあみんな公共の場で一斉にオナニーしましょう、みんなで一斉に「イク!」って叫びましょう、とするのは、あまりにも下劣に感じるが……。


どうでもいいのか。ただ、吐き気だけが続く。


「おらっ、さっさと行けよ。」


野太い声に言われて、背中を押された。

私は、一歩、階段に足を踏み入れた。

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