第6話 レイプ推進法案可決

日々の罵倒や暴力により衰弱していた男は会議に呼び出され複数の高級スーツ着用の老人たちに、お前死ねよ、そこから飛び降りて死ね、と命令を受けました。


男はすでにかなり疲労し衰弱しており、まともな判断能力を有していませんので、当然のように、頷いて、ふらふらと窓から飛び降ります。地上50階です。もちろん、男の身体はぐしゃぐしゃとなり、色々と飛び散りました。


ちょうど路上を歩いていた人々はスマートフォンを、ぐしゃぐしゃの肉塊に向け、撮影にいそしみました。


特に赤黒い大きな臓物を撮影する人々のテンションが著しく高まっているのが印象的でありました。


男の肉体はもはや使い物にならないのは事実でありますので、彼の魂は即時、その場から離れ、異世界転生をしなければならない。


それは問答無用のことでありました。


異世界のどこぞと知れぬ赤い砂漠のテントの中に眠っている屈強な全裸の男、全身が毛むくじゃらな男の股間の毛の中にいる一匹の丸っこい虫のような、虫でないような生き物に彼は転生、もぞもぞと動いたのでした。


「かゆいぞ!」


屈強な毛深い男は、全裸でムンムンとオス臭いフェロモンを撒き散らしている人物は叫びながら股間の毛をいくつか摘まんで掌で潰しました。


オス臭い毛と一緒に、転生したばかりの男、小さな丸っこいよくわからん生き物は潰れて、やはり、ぐしゃぐしゃになりました。


死骸からはなんか緑色の汁が出ていました。


毛むくじゃらな男は顔を近づけて臭いを嗅ぎ「くせえ!」と叫び、テントを出て、水場で手を洗ったのでした。


「なんかムラついてきた」水場から去り、全裸、毛むくじゃら、屈強な肉体の男は村の方に向かいました。大いにレイプを楽しむつもりでしょう。


その異世界ではレイプ推進法案が可決されたばかり。


少子化を解決する手段として女性を積極的にレイプしたものには支援金を出すと政府が表明したのである。


レイプによって沢山の子供が生まれれば少子化はすぐにでも解決するだろう。


みんな潜在的にはレイプしたくて仕方ないという感じが、この異世界においてはみなぎっているのである。


もちろん女性たちは拒絶の姿勢を示しはしたが、他人の考えていることや、他人の苦痛など、所詮は理解できるものではないし、理解する必要もないのだ、という思想が、ちょうど、かなり流行っている時期だったので、完全に、女性たちの態度は無視され、あまりにも煩い場合には、その女性はぶん殴られ、鉄パイプで原型がなくなるくらいにボコボコにされ、家畜のエサにされたのだった。


そして、結果として民主主義の手続きを経た総選挙の後、公約通りにレイプ推進法案が圧倒的多数の賛成で可決されたのだ。


屈強な全裸の男はペディゴロ・フンディゴロ・ボノタ50歳。


実はこの異世界における王族の一人であり、レイプの達人。

(息子はボンゴゾ・クヌレゾ・ボノタ24歳であり、生まれながらに股間に8本のチンポコを持つ人物。一回に8人の女性をレイプし孕ませることから、史上最高のレイパーであると言われる人物。)


「レイプするくらい元気がある男はすげえモテるんだ。女なんてぶん殴って押し倒してそのまま入れて、ズコバコ、種付けしてトンズラでいいんだ。それがいいんだ。文句あんのか!ぶっ殺すぞ!」


反論する人物を、ことごとく殺害し、男女問わず死体をレイプしてきた男である。


「種付けすれば妊娠して子供生まれて、良いだろうが!つべこべ言わずレイプ!レイプ!レイプだ!この野郎!文句ありそうな顔しやがって!俺は男でも関係なくレイプするからな!ケツ出せ!ボケ!!」


常にイライラした感じ。激しい攻撃的な口調。


勃起したチンポコ。


オス臭いフェロモンを撒き散らす英雄として名高い。


ペディゴロ・フンディゴロ・ボノタ。覚えていて欲しい。


赤い砂漠には風が吹き、その風は大男の太く長い、赤黒いチンポコを揺らしました。


さて、異世界転生してさっそく死んだ男のことですが……。


二度もぐしゃぐしゃの汚らしい気持ち悪い死に方をし、世界の美的価値観を著しく下げたことで、男の魂は異世界転生の裁定者の不評を買い、こいつは永遠に異世界転生させなくて良いと、判断がなされました。


男の魂は鷲掴みにされ、どこかわからない臭くて湿っていて、勃起したチンポコによく似たキノコが大量に生えている谷間に遺棄されました。


そういう魂は多くあります。いや、ほとんどの魂が、そういう魂であり、派手な物語や冒険譚や面白いコンテンツになりうる魂は、本当に僅少なのです。


その谷間には、もちろん常に、イカのような臭いが、濃厚に、漂っております。

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